魚にエサを与えてはいけない5つの理由
シュノーケリングやダイビングの醍醐味の一つは、海の生き物の世界に浸れることです。色鮮やかな熱帯魚に囲まれるのは、とても感動的な体験です。そのため、ダイバーやシュノーケラーの中には、魚にもっと近づいてもらおうと、ご飯やパンなどのエサをあげる人がいます。
しかし、このような行為は魚や環境に害を与えていることをご存知ですか?ここでは、魚にエサを与えてはいけない理由をいくつかご紹介します。
1.生態系のバランスを崩す
海洋生態系は水中のコミュニティであり、すべてがつながっている生命のネットワークです。つまり、一見小さな変化が、大きな影響を及ぼす可能性があるのです。シュノーケラーやダイバーが魚にエサをあげると、魚の本来生まれ持つ行動が変化し、生態系の微妙なバランスが崩れてしまいます。その結果、サンゴ礁そのものが破壊され、サンゴ礁が支えるさまざまな生命が失われる可能性があるのです。
2.サンゴが藻に覆われてしまう
藻類は、私たちにとってはあまりおいしいものではないかもしれませんが、多くの魚にとっては主食です。藻類を食べることは、魚の日々の食生活を支えるだけでなく、藻類の成長をコントロールする、一種の庭師のような役割を果たしています。つまり、もし魚が人間から与えられたエサなど、本来の採餌場所以外からエサを食べるようになると、サンゴ礁についている藻類が増加し、サンゴを窒息死させる可能性があるのです。
3.巣が捕食者に狙われやすくなる
ダイバーやシュノーケラーが魚にエサをやるところを見たことがある人なら、それが魅了される体験であることをご存知でしょう。魚はエサに群がり、互いに競い合って、できるだけ多くのエサを食べようとします。しかし、普段は単独で行動している種がこのような集団捕食行動をとると、巣が無防備になり、外敵に狙われやすくなります。
4.餓死させる可能性がある
少し変に聞こえるかもしれませんが、魚にエサを与えると、実際に餓死してしまうことがあります。というのも、ほとんどの海洋生物は、とても特殊な多種多様の腸内細菌を持っているからです。本来食べるべきではない種類のエサ(米やパンなど)を与えると、お腹の中で適切でない種類の細菌が優勢になる可能性があるのです。その結果、魚は本来のエサを消化することができなくなり、餓死してしまうかもしれないのです。そんなことは誰も望んでいません。
5.オニヒトデの大量発生につながる可能性大量発生につながる可能性
オニヒトデとは、体や腕をトゲで覆われていることから名付けられたヒトデの仲間です。サンゴを捕食することでよく知られています。オニヒトデがサンゴ礁を捕食している様子を見たことがあるダイバーなら、数が増えすぎるとサンゴ礁にどれだけ害を及ぼすか想像できるでしょう。
通常、魚が藻類を食べながら知らず知らずのうちにオニヒトデの卵を食べることで、その数を抑えています。しかし、人間が魚にエサを与えることで、魚は藻類を食べる必要がなくなります。その結果、捕食者が増え、サンゴ礁に深刻なダメージを与えてしまうのです。
魚に餌をやるダイバーやシュノーケラーのほとんどは、餌付けがサンゴ礁や他の海洋生物の健康に与える影響に気づいていません。
ダイビング事業者や個人ダイバーなど全ての人が、グリーンフィンズのポスターを無料でダウンロードし、掲示、共有することができます。同時に、サンゴ礁を健全に守るために、私たち一人ひとりにもできることがあることを教えてくれる便利で素晴らしい教材でもあります。
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元記事:GREEN FINS記事「5 Reasons Why We Shouldn’t Feed the Fish」
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