Green Fins 連載(第6回)

魚にエサを与えてはいけない5つの理由

魚の群れを観察するダイバー
©The Reef-World Foundation

シュノーケリングやダイビングの醍醐味の一つは、海の生き物の世界に浸れることです。色鮮やかな熱帯魚に囲まれるのは、とても感動的な体験です。そのため、ダイバーやシュノーケラーの中には、魚にもっと近づいてもらおうと、ご飯やパンなどのエサをあげる人がいます。

しかし、このような行為は魚や環境に害を与えていることをご存知ですか?ここでは、魚にエサを与えてはいけない理由をいくつかご紹介します。

1.生態系のバランスを崩す

海洋生態系は水中のコミュニティであり、すべてがつながっている生命のネットワークです。つまり、一見小さな変化が、大きな影響を及ぼす可能性があるのです。シュノーケラーやダイバーが魚にエサをあげると、魚の本来生まれ持つ行動が変化し、生態系の微妙なバランスが崩れてしまいます。その結果、サンゴ礁そのものが破壊され、サンゴ礁が支えるさまざまな生命が失われる可能性があるのです。

2.サンゴが藻に覆われてしまう

藻類は、私たちにとってはあまりおいしいものではないかもしれませんが、多くの魚にとっては主食です。藻類を食べることは、魚の日々の食生活を支えるだけでなく、藻類の成長をコントロールする、一種の庭師のような役割を果たしています。つまり、もし魚が人間から与えられたエサなど、本来の採餌場所以外からエサを食べるようになると、サンゴ礁についている藻類が増加し、サンゴを窒息死させる可能性があるのです。

3.巣が捕食者に狙われやすくなる

ダイバーやシュノーケラーが魚にエサをやるところを見たことがある人なら、それが魅了される体験であることをご存知でしょう。魚はエサに群がり、互いに競い合って、できるだけ多くのエサを食べようとします。しかし、普段は単独で行動している種がこのような集団捕食行動をとると、巣が無防備になり、外敵に狙われやすくなります。

4.餓死させる可能性がある

少し変に聞こえるかもしれませんが、魚にエサを与えると、実際に餓死してしまうことがあります。というのも、ほとんどの海洋生物は、とても特殊な多種多様の腸内細菌を持っているからです。本来食べるべきではない種類のエサ(米やパンなど)を与えると、お腹の中で適切でない種類の細菌が優勢になる可能性があるのです。その結果、魚は本来のエサを消化することができなくなり、餓死してしまうかもしれないのです。そんなことは誰も望んでいません。

魚のエサ付けは、生態系の自然なバランスを崩す可能性がある
©The Reef-World Foundation

5.オニヒトデの大量発生につながる可能性大量発生につながる可能性

オニヒトデとは、体や腕をトゲで覆われていることから名付けられたヒトデの仲間です。サンゴを捕食することでよく知られています。オニヒトデがサンゴ礁を捕食している様子を見たことがあるダイバーなら、数が増えすぎるとサンゴ礁にどれだけ害を及ぼすか想像できるでしょう。

通常、魚が藻類を食べながら知らず知らずのうちにオニヒトデの卵を食べることで、その数を抑えています。しかし、人間が魚にエサを与えることで、魚は藻類を食べる必要がなくなります。その結果、捕食者が増え、サンゴ礁に深刻なダメージを与えてしまうのです。

サンゴの上にいるオニヒトデ
©The Reef-World Foundation

魚に餌をやるダイバーやシュノーケラーのほとんどは、餌付けがサンゴ礁や他の海洋生物の健康に与える影響に気づいていません。
ダイビング事業者や個人ダイバーなど全ての人が、グリーンフィンズのポスターを無料でダウンロードし、掲示、共有することができます。同時に、サンゴ礁を健全に守るために、私たち一人ひとりにもできることがあることを教えてくれる便利で素晴らしい教材でもあります。

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Why We Don’t Feed Fish Infographic (Japanese – 日本人)

元記事:GREEN FINS記事「5 Reasons Why We Shouldn’t Feed the Fish」

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PROFILE
Green Fins(グリーン・フィンズ)は、 リーフワールド財団国連環境計画(UNEP)によって実施されている国際的なサンゴ礁の保全管理アプローチ。海洋観光による環境への悪影響を見える化し、削減している。海洋観光関連企業が環境に悪影響を及ぼす運営方法に対して、実用的で低コストの代替手段や戦略的なトレーニング、サポート、リソースを提供することにより、ダイバーやシュノーケラー、ダイビング業界と周辺地域のコミュニティ全体でサンゴ礁への悪影響を軽減する。
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