サステナビリティ・インタビュー vol.2「Bubbles Dive Centre」
国連環境計画「Green Fins(グリーン・フィンズ)」の国際的なコーディネーターであるReef World財団は、「グリーン・フィンズ アワード2020」の受賞者が1つではなく3つの事業者になったと発表しました。Bubbles Dive Centre、Flora Bay Divers、Tioman Dive Centreです。
このサステナビリティ・インタビュー・シリーズは、ダイビングやシュノーケルの事業者が、他のダイビングショップの成功事例を聞くことで、サステナビリティの改善について学ぶことを目的としています。そしてその成功事例は、世界で最も環境に配慮したGreen Finsのメンバーの一人から話を聞くのが一番ではないでしょうか?
というわけで、今日は「グリーン・フィンズ アワード2020」の3つの受賞者のうち1つの事業者であるBubbles Dive Centreから話を聞くことにしましょう。2004年に設立されたこのリゾートは、マレーシアのペルヘンティアン島にあります。5年前にGreen Finsに参加して以来、環境活動を大幅に改善しました。彼らの持続可能な取り組みについて詳しく聞くために、共同経営者のPeisee Hwang(以下、ファン)氏にお話を聞きました。PADI MSDT(マスター・スクーバ・ダイバー・トレーナー)、リーフチェックインストラクター、Bubbles Turtle and Reef Conservation Project(Bubbles Dive Resort が行っているカメの保護プロジェクト)の共同設立者です。
――まず最初に、バブルスダイブセンターの皆さん、フローラベイダイバーズ、ティオマンダイブセンターと並んで、グリーン・フィンズ アワード2020の受賞、おめでとうございます。受賞のお気持ちはいかがですか?
ファン氏
受賞を知って感激し、私たちの取り組みが評価されたことをとても嬉しく思っています。私たちは、より多くの事業者が私たちと一緒に環境保護に取り組むことを望んでいます。
――グリーンフィンに参加してから、ダイビングセンターの持続可能性を向上させるためにどのような改善を行いましたか?また、最も誇りに思っていることは何ですか?
ファン氏
私たちは、Green Finsの環境に配慮した行動規範(Code of Conduct)で提示されていることのほとんどを実践してきました。私たちの努力が評価されたことは素晴らしいことです。私たちが最も誇りに思うことですか?世界一になったことです!
――バブルス・ダイブ・センターのスタッフは、Green Finsの実践にどのような反応を示していますか?
ファン氏
私たちがいつも説いていることなので、実行するのは難しくありませんでした。ですから、Green Finsが来て、私たちが従うべき公式ガイドラインをくれたときは嬉しかったですね。
スタッフやクルーも素晴らしかったです。例えば、もうタバコの吸殻を海に捨てることはありません。Green Finsのトレーニングを受ける前は、私がそばにいないとやってくれなかったんです。今では、なぜそれが重要なのかが分かっています。私やGreen Finsのためだけではありません。子どもたちのためでもあるのです。また、彼らは実際にGreen Finsの取り組みを称賛するようになり、村に帰っても、そのような行動をとるようになりました。
――スタッフやクルーに変化があったのでしょうか?
ファン氏
はい。Green Finsのおかげで、クルーは環境を守ることの重要性をより理解するようになりました。あまり教育を受けていないスタッフは、タバコの吸殻を何も考えずに海に捨てていましたが、今ではゴミ箱に捨てて持ち帰ってくるようになりました。
――それは素晴らしいですね!他と比べて、より実践が困難だった取り組みはありましたか?
ファン氏
海に安全な日焼け止めのポリシーを導入するのは、難しいことでした。私たちは家族経営のリゾートですが、子供たちに海に安全な日焼け止めを使わせるのは難しいです。製品を手に入れるのは難しく、高価です。私はクルーのために日焼け止めを手作りしていますが、この気候の中で保存するのは簡単ではありません。クルーは全員、日焼け止めを使うのをやめました。
――サステナビリティへの取り組みについて、ゲストはどのように受け止めていますか?
ファン氏
評価してくれています。私たちがいかに環境に配慮しているか、また、私たちがきちんと有言実行していると感じているからこそ、ゲストは私たちをリピートしたり、推薦してくれたりするのです!私たちが促すことで、ゲストはストローの使用をやめたり、水筒の利用したり、環境にやさしい洗浄剤を使うようになりました。しかし、現在のパンデミックは、推奨されている消毒剤が環境にやさしくないため、環境に配慮した清掃の実践は厳しくなっています。
――パンデミックは、世界中のダイビングショップにとって大きな課題となっています。その結果、どのような変化がありましたか?
ファン氏
パンデミックによって、今年は洗浄剤など環境に配慮した解決策の多くが実践されていません。そのため、環境に良くない漂白剤を買わなければならないことが、とても心苦しかったです。私たちは、環境への影響を最小限に抑えながら化学洗浄剤を使って消毒する方法について、グリーンフィンのガイドラインを活用しています。松のジェルには天然の消毒効果があるため、漂白剤を薄めて使用しています。
また、使い捨てマスクの削減にも取り組んでいます。私たちのクルーは全員、布製のマスクにし、家族に使い捨てのマスクをやめるよう勧めています。写真は布製のマスクを着用している私たちです。手前が私、緑色の人がアーガン、後ろにいるのが夫のロニーです。
――その他、特に力を入れている環境プロジェクトはありますか?
ファン氏
そうですね。敷地内で亀の保護プロジェクトを行っています。今年は3月から9月にかけて、ビーチにある162の巣から15,299個の卵を採取し、9,446匹の子ガメを海に放ちました。
――それは大変な作業ですね!卵の採取から稚魚の放流には、どれくらいの人数が関わっているのですか?
ファン氏
2~4人のスタッフと、ボランティアで手伝ってくださるゲストで構成されるチームです。作業はとても大変です。私たちは彼らについて「夜働いて、一日中寝ている吸血鬼のようだ」と冗談を言っています!
――わあ!それはすごいですね!ゲストはその他の方法で保護プロジェクトに参加することはできますか?
ファン氏
ウミガメの保護プロジェクトは、すべてのゲストが関わることができます。プロジェクトに少額の寄付をすることで参加可能です。それと同時に、私たちは毎晩講演を主催し、カメや環境、プラスチックとの奮闘について、宿泊客全員が学べるようにしています。この講演では、ビーチでウミガメを見たときの注意点を説明します。また、自然の中で野生動物を観察する際の正しい方法として、触らない、抱かない、乗らないということを説明します。また、お客様にもカメとの正しい付き合い方を説明しました。今では、カメが餌を求めて寄ってくるような場所を訪れる際に、どうするのが正しいのかがわかるようになりました。
私たちの主な顧客は家族連れなので、リゾートに来るのは子供連れの親が多いんです。子供たちは、この話を聞いて、家に帰ると、自分の親が使い捨てのプラスチックを使わないよう、代わりに竹や金属のストローを私たちのところで買ってくれるようになります。それはとても素晴らしいことです。
――バブルスでは、意識改革が重要視されているようですね。
ファン氏
はい、それが私たちバブルスのアプローチです。意識を高めることが、環境保護に最も効果的な方法だと考えています。Green Finsの素材もその一助となっています。だからこそ、ゲストに学んでもらうため、私たちはカメの話をするのです。私は、観光客が赤ちゃんを抱えて、写真を撮っている姿を見ると、身がすくみます。彼らは何も知らされていないのですから、仕方ありません。多くのゲストは、禁止事項を知ったときに驚き、今までやっていたことを申し訳なく思うようです。でも、少なくとも、もう二度とやらないでしょう。そして、その認識を友人や家族に広めてくれることでしょう。
――とても興味深いお話を伺うことができました。改めて、グリーン・フィンズ アワード2020の受賞おめでとうございます。とても大きな功績です。これからも素晴らしい仕事を続けてください!
元記事:GREEN FINS記事「The Sustainability Interview: Bubbles Dive Centre」
翻訳:Yuki Tanaka
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