サステナビリティ・インタビュー vol.1「Bali Scuba」
Green Finsのネットワークには約600のダイビングセンターが加盟しています。各メンバーは、持続可能なダイビングやシュノーケリングを通じて、サンゴ礁の保護に取り組んでいます。
ネットワークの一員として、ダイビング会社は環境への影響を軽減するための戦略的なトレーニング、サポート、リソースの恩恵を受けることができます。Green Finsは、ダイビングやシュノーケリングを行う企業が持続可能な活動を改善できるよう支援します。これは、アンカーの設置、魚の餌付け、化学物質汚染などの害を及ぼす習慣を確かな評価によって特定し、実用的で低コストの代替案を提供することによって行われます。
Green Finsのメンバーとはどのようなものなのかをより詳しく知るために、UNEP(国連環境計画)とのパートナーシップのもとGreen Finsの活動を牽引するReef-World財団のチームは、2019年にこのプログラムに参加した、バリ島サヌールのBali ScubaのVirginie Casse(以下、カッス)氏にお話を伺いました。
――Bali Scubaのチームにとって、持続可能なダイビングの実践を通じてヌサペニダ(バリ島の南東沖に浮かぶ3つの島のうちの1つ)のサンゴ礁を保護することが重要なのはなぜですか?
カッス氏
ヌサペニダに行く多くのダイバーが、サンゴを尊重していないことが明らかになりました。サンゴの上に登ったり、蹴ったり、壊したりしているのをよく見かけます。ヌサペニダはバリ島で最も健康的なサンゴ礁があることで知られています。リーフがあるからこそ、小さなリーフフィッシュがやってくるということを覚えておいてください。その結果、マンタや有名なマンボウのような大きな海洋生物もやってくるのです。ダイバーがバリ島周辺のサンゴを軽視し続ければ、そのダメージは取り返しのつかないものになるかもしれません。そして、未来の世代のダイバーは、私たちのような素晴らしいものを見ることができなくなるのです。ダイバーとして、私たちは海とサンゴを守る責任があります。次回のダイビングの際には、私たちのサンゴ礁がいかに傷つきやすいかを心に留めておいてください。
――サンゴ礁に接触する回数を減らしたいダイバーに、どのようなことを推奨しますか?
カッス氏
浮力コントロールが未熟な場合は、ピーク・パフォーマンス・ボイヤンシー・スペシャリティーを受講すれば簡単に改善できます。リーフに触れることなく、リーフのそばで楽に潜れるようになるだけでなく、より多くの空気を節約するすべを学びます。これにより、ダイビング時間が長くなります。もしあなたがカメラマンで、リーフにつかまらずに撮りたい写真を撮るのに苦労しているなら、PADIデジタル水中写真スペシャリティーを受講してみてはいかがでしょうか。このコースでは、最小限の接触で最高の写真を撮影する方法を学ぶことができます。
――サステナビリティに積極的に取り組むことで、どのようなメリットがあると感じますか?
カッス氏
環境とビジネスを守ること、意識の高い市場に参入すること、持続可能な価値観をもったビジネスを拡大すること、マーケティング戦略を再定義すること、などが挙げられます。
――Green Finsのメンバーになったことで、どのような変化がありましたか?
カッス氏
ポスターやパンフレットなどのオフラインのマーケティングツールを使って、スタッフやゲストがダイビング中にもっと持続可能な行動を取るよう意識するようにしました。さらに、ダイビングのブリーフィングに持続可能な推奨事項を追加しました。現在では、スタッフやゲストが問題点を認識し、良い行動をとるようになったことがわかります。
――現在、改善に向けて取り組んでいることは何ですか?
カッス氏
現在、すべての使い捨てプラスチックをやめることに取り組んでいますが、物流上の問題もあります。そのため、使い捨てプラスチックを使用しない新しい方法を確立し、すべての労働システムに支障をきたさないような解決策を模索しています。
――サステナビリティへの取り組みに対して、お客様からの反応はいかがですか?
カッス氏
ダイビングセンター、バス、ボートで、ダイビング中の行動規範やリサイクルに関する情報を積極的に示すことで、意識を高めてきました。お客様もこの状況に関心をお持ちのようで、私たちの取り組みに賛同してくださっています。
元記事:GREEN FINS記事「The Sustainability Interview: Bali Scuba」
翻訳:Yuki Tanaka
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