海中クリーンアップを成功させるためのポイント
毎年増えている海中ゴミは、海の環境と海にまつわる全てのコトに対して深刻な問題となっているが、海のゴミの約80%は陸上から流されているという事実から、私たちが防止していくことは可能だといえる。
例えば、使い捨てアイテムの使用回数を減らす、普段からゴミを減らす、ゴミをリサイクルして再利用するなどのアクションを起こすことで問題解決の一部になることができる。またビーチに行く際や、水中にいる際にできる範囲でゴミ拾いをすることでもクリーンアップに貢献できる。
今回はリーフワールド財団のチーム(グリーンフィンイニシアチブを国連環境の支援を受けて実施する)が、クリーンアップを成功させる為のコツと海洋ゴミを除去する際に珊瑚に損傷を与えないためのポイントをいくつか紹介。
ダイビング中、良好な中性浮力を維持する
ダイビング中は、中性浮力を保つことが重要。ただし、クリーンアップダイビング中はゴミを集めることによりゴミ袋が徐々に重くなるので、浮力が変化する。そのため、ダイビング中はリーフに近づかないように浮力を調整して注意しよう。
フィンに注意
サンゴ礁に触れたり、海洋堆積物をかき回したりしないように通常時よりフィンに注意しよう。クリーンアップダイブではゴミの発見と収集に重点が置かれますが、ダイビング中はすべての機器、特にフィンについては常に意識することが必要。
機器がキチンと取り付けられ、
ゲージが押し込まれていることを確認
機器がぶら下がっていると、リーフに損傷を与える危険がある。すべての機材がしっかりと固定されていることを確認しよう。
ゴミのみタッチ
ごみを拾う際に、海洋生物に触れたり、動かしたり、操ったりしないように注意しよう。
クリーンアップを始める前に状況を判断する
その日の海の動きにより、クリーンアップダイビング中に環境へのダメージを避けることが難しい状況もある。そのため、クリーンアップを開始する前に状況を観察し、条件が適切であることを判断することが大切。海流が強すぎる場合、または波が大きすぎる場合は、条件が改善するまでクリーンアップを延期しよう。
ゴミ袋を適切に持つ
ごみ袋が海底またはサンゴ礁に触れたり、底に引きずられたりして、海洋環境に損傷を与えていないことに注意。バッグをリーフから離し、後ろに何も引っ張っていないことを確認しよう。
頭を下にして潜る
これは、海洋堆積物をかき回したり、フィンが底に触れるのを防ぐのに役立つ。
バディチームでゆっくりと慎重に作業する
バディチームで作業し、各ダイバーに特定の役割を割り当てる。1人が手袋を着用してゴミを収集し、もう1人がゴミ袋を持ちながらゆっくりと注意深く作業するなど、収集中にリーフに触れたり、損傷したりしないように注意しよう。
簡単に持ち上げられないゴミは無理に拾わない
タイヤや自動車のバッテリーなど、サイズが大きかったり、重いものを見つけることがある。簡単に持ち上げられないゴミは、見つけた場所に置いたままにしよう。無理に取り外そうとすると、さらに損傷を与える可能性がある。 また、BCDを使用して重いアイテムを持ち上げようとすることは絶対にNG。
適切な機器を使用する
クリーンアップダイブをする時には普段のダイビング機材に加えて、次のものが必要です。
・ごみ収集用メッシュ袋
・ゴミや鋭いものから手を守るための手袋
・釣り糸やブリキ缶などのアイテムを切るためのはさみ。
※ダイビングナイフよりはさみの方が適当。
《拾うもの》
海洋動物は、ビニール袋などのアイテムを通常の食料と混同してしまい、食べることにより窒息してしまう可能性がある。以下のリストの、非生分解性のアイテムは特に水中から取り除きたい。
・すべてのプラスチック(プラスチックバッグ、食品包装紙、プラスチックボトル、ボトルキャップ、プラスチック容器など)
・衣類
・釣り道具(釣り糸、網、壊れた魚のわななど)
※釣り糸は引っ張ってはいけない。代わりに、その周りに生育している生物への損傷を避けるために、小さく切り取って取り除こう。ナイフではなくハサミを使い、ラインを物に巻き付けて制御しよう。
・バッテリー
・ガラスびん
・アルミ缶
・たばこの吸い殻
《何を残すか》
ゴミを海中に残しておく必要がある場合がある。
海洋生物を含むアイテム、またはすでに環境に組み込まれ、何らかの形で生命をサポートしているアイテムは拾わないでおこう。缶は一度切り開いて、中に生物が住んでいないことを確認する必要がある。
《拾わないもの》
・生物に覆われたガラスびん
・カップまたは缶の中に含まれる砂とシルト(これらを海底の砂の部分に近づけて、内容物を慎重に振り落とします)
・生物の成長により海中の一部になってしまったもの
・どんなに汚くても、海洋生物で生い茂いているもの
・危険または怪我をする可能性のあるもの
・重いアイテム(BCDを使用して重いものを持ち上げようとしないでください)
・危険物を含む可能性のある金属ドラムまたは容器
水中クリーンアップ中にこのガイドラインに従うことで、海洋環境の保護に貢献し、サンゴ礁へのさらなる損傷を回避できる。
クリーンアップをしている写真がある場合は、Twitter、Facebook、またはInstagramでGreen Finsにタグを付けると、他のGreen Finsネットワークと写真を共有できる。
翻訳:Naomi Tashiro
元記事:GREEN FINS記事「Top Tips for a Successful Underwater Clean-up」
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