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川本剛志(久米島)×鉄多加志(三保)×越智隆治(オーシャナ)同級生鼎談!(第2回)

ダイビング業界におけるガイド会の価値とは?閲覧無制限

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徒然コラム
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川本剛志×鉄多加志×越智隆治 同級生対談

ガイドという枠を超え、そのプロ顔負けの写真がメディアを飾り、パーティーを開催すれば何百人ものファンが集まる“ガイド会”。
ガイド会・会長の川本剛志さん、事務局長の鉄多加志さんをお招きし、2人と同級生のオーシャナ代表・越智隆治をくわえた3人の鼎談、第2回です。

■対談ゲスト/川本剛志(久米島・ダイブエスディバン)、鉄多加志(静岡三保・アイアン)、越智隆治(オーシャナ代表・カメラマン)
■撮影/小川理志(ニューカレドニア・アリゼ)
■構成・聞き手/寺山英樹(オーシャナ編集長)

―――

さて、ここからはそもそもガイド会というものがどういうものなのか?ということを探っていきたいと思います。まずは発足のきっかけを教えてください。

川本

前提として、僕らの仕事がよく認知されていない、評価されていないのではないか?という思いがありました。

単なる縁の下の力持ちで、ただダイバーを海の中に連れていくだけの存在になってはいないか。ガイドという職業の価値が、もっと評価、認知されることによって、もっと若者がガイドという職業に憧れ、従事してくれないか、という思いがありました。

川本剛志×鉄多加志×越智隆治 同級生対談

川本

また、世代による気質の違いも感じていました。

僕らの世代だと、仕事でガイドをした後でも、潜って撮って、趣味も仕事もすべてそこにかけるという感覚の人が多かったのですが、新しい世代は、まずリゾートでは働かなくなりました。
休みの日は街で遊びましょうという感覚の人が増えてきて、僕の感覚としては、このままではガイドが育たないのでは?と危機感を感じていて、何かのきっかけとなればと思ったのです。

若い人を育てていかないと、ダイビング業界自体が成り立たない。
そこで、若い人を育てるにはどういう方法がいいだろう?ガイドとして自分のフィールドの海を表現するには、やっぱりある程度、写真が撮れるのが前提になるので、まずは、写真を撮れる子たちを集めて写真展をやってみよう、ということになったのです。

そんなとき、10年前にお台場でやっていたダイビングフェスティバルに提案したところ、場所を提供していただいたのが具体的な始まりかもしれません。
写真展では、点数が少ないと面白くないので、いろんな地域の人に声をかけて、逆に推薦があれば紹介してもらって……というふうに人数を集め始めたんです。

―――

どのような基準で声をかけて、集め始めたのですか?

写真の技術はもちろん、自分が潜っている場所に愛情を持っている人。
具体的には、少なくとも5年くらいはその海を潜っている人から声をかけはじめ、少しずつ、そのようなレギュレーションを整備しながら今に至っています。

―――

コアなレギュレーションはなんですか?

実は、そんなに難しいことはないんです。
まずは自薦。「はい、やりたい!」と手を挙げていただいた方。

それと、越智さんのような有名なカメラマンが世界の海を潜った時に、この人いいねっていう推薦。

あとは次世代ガイドを40歳で卒業するときに後任を指名する。この3つだけです。

―――

ガイド会のメンバーは今何人いますか?

37人です。(編注:2014年5月末現在)

越智

国内の人が多いですよね?

そうですね。もっと海外の人を増やしたいと思っています。

―――

ずばり、ガイド会の価値とは何だと思いますか?

川本

鉄ちゃんにやってもらっている、若手の教育システムが少しずつ育っているので、そういう具体策も前面に出していきたいのですが、その前段階として、ガイド会の価値とは“情報の濃密な共有”だと思います。

僕らの世代って、ちょっと前の人たちがダイビング界のパイオニアのような人たちで、図鑑を作ったり、ダイビングスタイルを確立したりした人たち。
僕らは彼らからフィールドや生物の情報やノウハウをもらって、生態行動学の見方なんかを勉強させてもらいました。

これを下の人が独自に習得するには時間がかかるので、皆で濃密に共有すれば、4年とか5年かかるところが、1年とか2年で済む。ガイドダイバーとしての質がどんどん向上していきます。

例えば僕が他所のフィールドに行って、産卵のプロセスの話をしたり、そのフィールドや久米島で実際に見せたら、その人がまた次のフィールドで…といった感じでつないでいく。

それに、久米島のフィールドでは数が少なくてわかりづらい生物でも、他所のフィールドでは逆転することがある。
そうするとお互いわからなかったことが共有できるようになりますよね。

川本剛志×鉄多加志×越智隆治 同級生対談

―――

なるほど。世代を超えて、海を越えて、受け継いでいくことと、共有することが大事なんですね。
それを踏まえた上で、鉄さんが手がけているという、教育システムとはどのようなものなのでしょうか?

ガイドの地位向上や社会的認知、もっとくだけて言えば、「ガイドになりたい!」という人を作りたい。
それには、僕らが先輩たちに憧れたように、僕らが尊敬され、かっこいいと思われなくてはならない。

では、自分たちがそういう風になるにはどうしたらいいかと考えて、いろんなことを伝達する中で、具体的に、ガイドってどういうやり方があるのか、というケーススタディというかマニュアルを作っています。

そういったものを使って、僕らがガイドを育成していけるようなシステムを作りたい。
例えば、ダイビング指導団体から、ダイブマスターのインターンシップをガイド会のお店でやってください、というくらいのことができればいいと思います。
下準備を少しずつやっている段階ですけどね。

―――

お二人の“ガイドを育てたい”という共通の思いをお聞きしていると、逆に、ガイドになりたいという人が減っているという実感もあるということですね?

減っているというより、自分の仲間が辞めていくとか、あるいは、あの子いいよねって言っていたのに、いつの間にかいなくなっているという寂しい思いがあって…。
きっとあいつが来るんだろうな、という有望な人材がいろいろな事情でこの業界を去っていくのを見るのは寂しいものですよ。

ただ、「続けたい」と「続けられる」は別問題で、モチベーションだけでなくお金の部分も重要です。
今後の課題として、その部分を担保するにはどうしたらいいのかを考えて踏み込んでいかないと、たぶん、カッコイイとかだけじゃ成り立たないとも思っています。

―――

具体的にいえば、資金援助とかそういう形でしょうか?

ファンドのようなことまでできたらいいんですけど、まだそこまでは至っていません。
それにはもっとたくさんの外部の協力が必要になりますし、内部的にも議論しているところです。

Special Thanks:世界のトップ水中ガイド集団![ガイド会]

※第3回に続きます。

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