みくらとイルカの徒然コラム ~御蔵島へ通って10年以上~(第6回)

台風3つに囲まれてもドルフィンスイムを楽しめたわけ ~御蔵島と着岸と海況予測で大事なこと~

この記事は約5分で読めます。

台風の宮古島の海

※写真はイメージ

台風が3つ発生する中、御蔵島へ行くことに。

前日はまさに台風が本州直撃だったので、みんなから、「大丈夫なの?」「正気?」と心配されたのですが、こんな予報が出ていたので、無理はありません……。

tenki.jpより

tenki.jpより

ただ、自分としては、「どうでしょうね~?」と言いつつ、内心は「まあ、たぶん大丈夫だろう」と思っていました。

Twitter

結果、無事、着岸することができ、いつも以上にイルカと遊ぶことができたのでした。

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天気予報や台風情報だけでなく、
波浪予報をチェック!

港がひとつしかない御蔵島は、着岸できる確率が他の島より低いことで知られています(橘丸になってからはグンと確率が上がりましたけどね)。

“条件付き出航”も多く、出航したものの着岸できずに、いわゆる“八丈島流し”になり、さらに24時間船に乗るだけで東京へ帰ってくるなんてこともあります。
日曜日の御蔵島の港では、帰れなくなるとマズイ方々から、着岸に成功して拍手が起こるシーンも(笑)。

出航するかどうかだけでもやきもきするのに、出航しても着くかどうかわからない微妙なケースでは、ある程度、予想するしかありません。

そんな予想をする上で、天気予報や台風の進路予想しか見ていない方も多いのですが、大事な要素のひとつが……

波の向きと強さ

一般メディアの天気予報には出てこないですし、普段の生活では気にならない情報ですが、海に関わる方には必須な情報です。

■波浪予想(気象庁)
http://www.imocwx.com/cwm.htm

波の向きと風向きはだいたい同じだったりするので、風向きも参考になります(風向きは一般の天気予報でもよく目にします)が、風の影響を受けての最終的な波の向きや強さが重要で、言うなれば、波を予想する上で、風の予想が大事といった関係でしょうか。

それに、地形などの環境によって、微妙に風向きと波の向きは異なったりしますしね。

北西に港のある御蔵島は
南の風・波に強い!?

御蔵島への着岸予想の場合、まず注目すべきは港の位置。

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御蔵島の港は北西に位置するので、当然、北西の波(風)に弱く、逆に、南の波(風)に強いのです。

※大まかに、北東から南西にかけての風の影響を受けやすく、東から南の風には強いといった感じ

ということで、今回、関東に台風が直撃している真っ只中の波浪予報を見ると、北東の波2~2.5mほどで、台風が去っていく(海況が回復する)状況だったので、まあ、大丈夫だろうとなったわけです。

逆に、北西側で3m以上の波だと微妙で、南側ならそれ以上でも着岸できることが多いという印象ですが、橘丸になってから割と行けるようになったので、もう少しデータ(経験則)が必要かも。

実際の波浪予測と結果で
考えてみる

例えば、こんな波浪予測が出ていたら……。

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一目瞭然、台風直撃でかなり厳しい予測になり、「違う予定を立てようか……」となります。
実際、この日は着岸できていません。

では、こんな場合は……。

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この時は台風が3つもできて騒がれていた時で、着岸は無理だと考える人の方が多いのですが、北東の波で、結果は着岸できました。

とはいうものの、その6時間後の予報を見ると……。

8.21.15

台風は勢力を増して近づいてきているので、着岸できても、ただ島に閉じ込められて、滞在中に何もできないってことになりかねないので、行かない方がいいですよね。
実際、翌日は欠航となりました。

逆に、台風が去っていきそうな場合は、前日に東京で台風直撃をくらっていても、翌日に出航&着岸できてしまうなんてこともあるということです(今回の自分のケース)。

予報はあくまで予報
海のような広い心で……

もちろん、天気も波も風もあくまで予報は予報なのですが、いろいろなアプリ、海外サイトがある中、情報のひとつに波浪情報も加えると、海況が読めてくるかもしれません。

■波浪予想は6時間ごとに更新していますので、こまめにチェックを!
http://www.imocwx.com/cwm.htm

ちなみに、サーフィンの波アプリや一部ダイビングポイントが含まれる波情報が出ていて、極地情報も見ることができます。
しかし、サーフィンの場合は精度が高いですが、ダイビングの場合は、アルゴリズムで算出されているのでは? というような印象です。

ダイビングポイントは湾の形状なんかもさまざまで、そこまで正確に対応している感じでもない気がします(あくまで個人的な感想)。
サーフィンとダイビングの需要の差でしょうか……。

ですので、今のところ、ダイビングポイントの場合は、局地予報より、日本全体を俯瞰した波浪情報を参考にする方が、精度が高くなるような気がします。
もちろん、風や天気の情報もあわせて、ダイビングポイントMAPを見つつ、予測するのがベストです。
※当日の場合は、「電話して現地に聞く」がウルトラ確実です。

と、ここまで着岸できるかどうか、波浪情報を見ようなど、いろいろ言ってきましたが、とりあえず、出航するなら船に乗ってしまい、「八丈島流しになったらなったで、クルージングを楽しもう!」という、海のような広い気持ちでいきましょうよ(誰に言っているんだろ・笑)。

たまには、童心にかえってトランプを楽しんだり、飲んだくれてみるのもありですよね。ね!? (だから、誰に……)

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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