みくらとイルカの徒然コラム ~御蔵島へ通って10年以上~(第2回)

はじめての御蔵とイルカの楽しみ方 イルカ編

この記事は約6分で読めます。

■ドルフィンスイムの真実
まず、ドルフィンスイムのリアルな姿。それは、思った以上に体力勝負
どうしてもイルカのかわいさばかりアピールされてしまいますが、
実際やってみると、そこそこ体力のある方である自分でもヘトヘト。


憧れのイルカに大接近!

「イルカちゃんに会いた〜い」とハイテンションだった子が、
船酔い(特に三宅組)&海面酔い&船への乗り降りで、
ヘトヘト&ゲロゲロになっているのを何度見たことでしょう(笑)。
また、一緒に泳ぐイメージで行ったのに、あっという間に通り過ぎてしまったり。

ただ、それでもやっぱり楽しいのがドルフィンスイムですが、
もっともっと楽しみたい人のために、ドルフィンスイムのコツとツボを紹介します。

■装備

スーツは動きやすさ重視!
保温と動きやすさは迷うところですが、
イルカとたくさん遊びたいなら動きやすさ重視がオススメ。
個人的な基準としては20度以上の海であれば、 断然3ミリがオススメです。
スプリングやシーガルでもいいと思います。
ダイビングと違って泳ぐし、ずっと水の中にいるわけではないので。

厚手の5ミリだと潜るのがちょっと大変&ウエイトが増えてしまうので、
なるべく避けています。

黒潮の当たっている23度以上の海ならラッシュ+フードベストで十分。
水着でやっている女性もいるくらい。
僕は今年、ふんどし一丁でやってみましたがまったく問題なしでした。
※注:積極的にイルカと泳がず、水面からおとなしく見るような場合は厚手のスーツがオススメです。

○水温情報を常にチェック!
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN3/kaisyo/kaikyo/temp/suion.html

 

○黒潮情報もチェック!
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/2010cal/tc/tc.html

 

あると便利なボートコート
薄手で潜る場合は水中より船上の移動中の保温が大事
水着やラッシュ、フードベストなどで潜る場合は(特にラッシュは寒い)、
ボートコートが必要かも。逆にボートコートをうまく利用すれば、
水中ではイルカと身軽に泳げるとも言えます。

20度以上というのは船上でボートコートなどで保温すれば、
スキンダイビングでは海パンでいける温度です。いや、本当に。

また、御蔵島は降水量が多いので、雨が降ることも結構あるので、
そんなときにも役立ちます。


ボートコートがあれば船上も快適

なるべく軽くしたいウエイト量
軽いほうが泳げる。でも、軽いと沈めない。
重いと沈める。でも、泳ぐのも浮上も大変。

ウエイト量は悩みどころですが、思い出してほしいのは、
正しいスキンができればウエイトなしでも潜れるってこと。

ということで、沈みたいからといってダイビングと同じウエイト量はよして、
どんなに重くても、アルミタンクでのダイビング時よりマイナス2キロがオススメです。
キックしなくても浮上できる量が鉄則で、逆にキックしないと浮上できない量はNG。

ちなみに、僕はラッシュ+フードベストでは1キロ、5ミリでは基本2キロ、
ふんどしや水着のときはノンウエイトです。

ただ、じっくり固定して写真やビデオを撮ると決め、
泳がずに待ち受けるだけになったときは3〜4キロにする場合も。
※水中で浮いて行かず、ちょっと蹴るとスゥ〜っと浮上するぐらいの量。

フィンはフルフット
キックがしやすくダッシュのきく、フルフットのラバーフィンがオススメ。
※スノーケルはもちろん必要です。

■スキル

マスターしたいヘッドファースト(ジャックナイフ)
最も水中に効率よく潜る方法・ヘッドファーストをマスターできれば
ドルフィンスイムの楽しさは倍増。

コツはぜひとも稚書「スキルアップ寺子屋」を読んでいただきたいのですが(笑)、
とりあえず、このタンクを背負ったバージョンの動画もだいたいコツは同じですので参考に。

○ヘッドファースト動画
http://diving-commu.jp/dsmovie/item_897.html

Dコミュの御蔵ツアーでは事前にスキン講習をやっていますが、
まったく潜れなかった人が最後には5メートル潜れるようになって帰っていきます。
ヘッドファーストは1日プールで練習すればかなり上達するスキルです。

水面のフィンキック
水面を泳ぐことが多いドルフィンスイムですが、
無駄に水面上を蹴っていたり、自転車こぎの人も多いです。

水面におけるフィンキックはあれこれ奥が深いのですが、
とりえずは、「蹴り込む」ことと「フィンのしなりを使う」ことが大事
そのためには、腰を入れることが大事。

目線は真下ではなく斜め前にして気持ち腰を反る感じ。
それでも腰が入らないようであれば、最初は腰の後ろで手を組むのもあり。

キックは、まずは足を棒のようなイメージでこまかく上下させると、
フィンのしなりが出て効率よく泳げます。
※棒のように意識してもヒザも使うことになるのでご安心を。

フィンのしなりを使えるようになったら、
ヒザやら足首やらの力の入れ方や抜き方の強弱を試してみてください。

息こらえ
深く潜ると肺が圧迫されてどうしても苦しくなるのは仕方ありません。
「もっと長く」と考える人が多いようですが、
これはもう意識と脱力、そして省エネに尽きます。
フリーダイバーが禅やヨガをやる理由ですね。

僕はまずは肩に力を入れないこと、転じて体の力をまったく入れないようにし、
泳いでいるときこそ呼吸を深く大きくするようにしています。

少し深く行きたいのなら水底を見ないようにしています。
顔を起して水底を見るのではなく、首を通常の状態にして、
フリーダイバーのように水平方向を見ながら潜ります。
このとき、半目でボ〜っとしていると効果的で、
あっという間に10メートルくらいいってしまいます。

あとは、水中でスノーケルをくわえずに口を閉じるとか。

船上に素早く上るプチ裏技
御蔵島の場合、船が小さいのでラダーを使わずにそのまま船上へ上がることことも可能。

1.まずは船上へカメラを置き、船の縁をつかんで水中へ沈む。
  ※船に懸垂しているような格好
2.水面に向かって思い切りキックをする。
3.腕の力で船の縁へ体を押し上げる。
※といっても、きちんとキックをすればほとんど腕力は使わない
4.足をかけて船上へ。

■動画でチェック
※すいませんすいません。身内用の不適切な動画ですが、スキルの部分だけ見てください……。

http://www.youtube.com/watch?v=Hv655YxHuD0&feature=player_embedded

■イルカの興味を引く動き
経験上、よく言われているように回転系の動きができるとイルカの興味を引くことができますが、
特にお腹を見せながら近づいて回転すると、一緒にクルクル回ってくれます。


イルカも思わず、「お! あいつ見てみろよ」

■その他
あとは、体力勝負(笑)。
無理せず、最大8回あるエントリーのうち何本かパスして体力温存するのも楽しむコツ。

以上のようなポイントを押さえれば、きっとこんなシーンが待っています(たぶん)

■こんなシーン

http://www.youtube.com/watch?v=KI2CWIlL-7M&feature=player_embedded
■はじめての御蔵とイルカの楽しみ方 旅編
http://diving-commu.jp/divingspirit/item_4165.html

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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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