サイドマウントが向かない様々なダイビング環境とは
最近、色々海外の方とお話する機会が増えてきました。
国際派になった気分です(笑)
さて、海外といえば、海外のバレンタインデーは日本と異なっているのをご存知でしょうか?
日本では女性が男性に愛の告白をしますが、海外ですと男性が女性に愛の告白をする日です。
海外の女性に好意を寄せている男性諸君!バレンタインデーはチャンスですよ!
相手の気持ちを待つのではなく、是非積極的な行動を!!
さて、今回も日本でのサイドマウントダイビングの問題についてお話させていただきます。
前回に引き続き、ダイビング環境を中心にデメリットをいくつかあげますね。
日本のダイビング環境は海外に比べると、色々な部分で大きく異なります。
レクリエーションのサイドマウントダイビング自体が海外の環境で育っていますので、日本では現地の環境や実施方法、考え方を適応しなければならないと思っています。
タンクのバルブ
前回の記事(サイドマウントのデメリットとなる不向きな環境とは)に続いて、タンクについても少しお話しさせていただきます。
皆さんはDINバルブってご存知でしょうか?
オープンウォーターの講習で名前だけでも聞いた事ある方が多いと思います。
日本では、みなさんご存知のヨークバルブが主流になります。
海外でもヨークバルブは多いですが、テクニカルダイビングに対応しているサービス等はDINバルブを置いています。
で、このバルブ、サイドマウントにはDINの方が適しています。
まず、ヨークバルブだと、バルブの後方に止めネジ部が突出します。
これがサイドマウントだとバンジーをかける際に邪魔になるし、止めネジ部にバンジーが挟まる事がよくあります。
その点、DINバルブだとバルブ後方はすっきりしている為、ストレス無くバンジーの取り外しが容易にできます。
前にもお話しましたが、「ストレスを少なくする」事はサイドマウント問わずダイビングでは重要な事ですよね。
そう考えると、ヨークバルブよりDINバルブの方がサイドマウントには向いています。
ただ、ご存知のとおりDINバルブを置いている現地サービスは少ないですね。
漁船でのボートダイビング
以前、ボートダイビングにサイドマウントは適している、とお話させていただきました。
タンクを外して楽々とエグジット可能!サイドマウントのメリット | オーシャナ
ですが、日本の環境ですと、これが少し変わってきます。
何故か?
それは日本でボートダイビングに使用する船に理由があります。
日本で、特に本州や東伊豆ではダイビング専用ボートでは無く、漁船を使う事が多いからです。
漁船は大きさによりますが、水面から船のへりまで高さがあります。
大抵は船のへりの一部が取り外されて、そこからジャイアントスライドエントリーするでしょう。
ですが、混雑時など、そのまま船べりからバックロールエントリーする事も多々あります。
まず、サイドマウントでのジャイアントスライドエントリー。
船べりが高い場合や混雑時等、ダイバーだけ先にエントリーして後からタンクを受け取る事が困難になる事があります。
その場合はビーチエントリーのようにタンクを陸上で装着しなければなりません。
ビーチエントリーの時にもお話しましたが、サイドマウントは陸上でのタンク装着は難しいです。
まして揺れる船の上、ちょっとやっかいですよね(特に神子元等のドリフトダイビングでは全員一斉にエントリーしなければなりません)。
タンクを装着して、そのままジャイアントスライドエントリーをするのは、少し大変です。
次にバックマウントエントリー。
実はこれ、あまりお勧め出来ません。
私自身も何度か体験しましたが、痛いです(笑)
バックマウントですと着水時に水面と体の間にタンクがあります。
ですから、着水時の衝撃を和らげてくれます。
ところが、サイドマウントですと、そのタンクがありません。
その為、着水時の衝撃がもろにきます(笑)
これ、かなりのものですよ…。
角度によっては後頭部にも衝撃がきます。
そしてエキジット。
サイドマウントはタンクを付けたままのボートエキジットはかなり大変。
ですので、殆どが水面でタンクを外します。
そして、タンクを船上にいる方に受け取ってもらうのですが、ここでもいくつか問題があります。
先にも水面から船べりまで高さがある、と言いましたよね。
まず船べりから水面まで船上にいる人は手が届かないでしょう。
ではどうするか?
ダイバー自身がタンクをある程度水面から上げなければなりません。
アルミタンクならまだしも、スチールタンクは結構大変です。
(特に女性や力の無い方は大変でしょう)
また、その際にタンクの取り扱いに慣れていない漁師さんだったりすると、ファーストステージやゲージ等のホースを持って引き上げる場合もあります。
これは次のダイビングに影響する程ダメージを受ける事があります。
ただ、これはやり方によってはある程度解決できます。
私の場合は水面でタンクを外した後、タンクの中央部を持ってタンク下部を太ももにあてます。
そしてタンクを引き上げる際に、太ももでタンクを押し上げます。
(長くその姿勢を維持する事はできないのでスピード勝負でもありますが)
その時に大きな声で「バルブを持って下さい!」と叫びます(笑)
うまくタイミングがあえば、船上の人がバルブを持ってタンクを引き上げてくれます。
後は通常のボートダイビング同様にそのままエキジットします。
バディシステム
バディシステムでの大事な要素の一つに「バックアップ空気源の確保」があげられると思います。
でも、このバックアップ空気源の共有、オープンウォーター講習でしかやっていなくないですか?
または講習後に自主的にトレーニングをされている方は何人いるでしょうか?
もし、本当に緊急時の際に的確にバディと共有できますか?
サイドマウントダイビングの場合、バックアップ空気源の共有方法が通常のオクトパスの使用方法とかなり異なります。
サイドマウントダイバー同志であれば問題は無いと思いますが、もしバディがバックマウントダイバーだと、その手順を先に説明しなければなりません。
また、その手順も慣れないと複雑な事もあり、へたをすると供給者自身もトラブルを起こすかもしれません。
もちろん、これはサイドマウントダイビングだけに言える事ではありませんが、二つのセカンドステージを使用するサイドマウントではより複雑になります。
(ここの部分はとても重要な事ですので、後日改めてお話しさせていただきたいと思います)
解決方法ですが、これはいたってシンプル、ダイバー自身が徹底して練習し理解するしかありません。
ちゃんと理解していないと、相手に説明できませんよね?
減圧ダイビング
これはレクリエーションとは関係ありませんが、デメリットの一つとしてサラっと説明させていただきます。
これはテックの帝王、田原浩一さんとよくお話させていただいていますが、サイドマウントダイビングは優れたダイビングスタイルではありますが、全てのダイビングに適用される訳ではありません。
特に減圧ダイビングのように複数のタンクを取り扱う場合、本来減圧用タンクがある位置にメインで使用するタンク(プライマリータンク)がある訳ですから、例えば減圧用にガス内容が異なるタンク(デコタンク、又はステージタンク)を3本使用する場合、バックマウントですと3本を脇に着けるだけで済みますが(これはこれで結構大変ですが(笑))、サイドマウントの場合5本のタンクを脇につけなければなりません。
しかも減圧ダイビングの場合、ダイビング内容によりますが10L以上のタンクを使用する事が多いです。
そうなると結構大変ですよね。
想像してみて下さい。
水中で水平になった自分の脇から下に大きなタンク5本つけている姿を(笑)
ただ、そうはいってもダイビング内容によってはサイドマウントが適している場合もあります。
(例えば水深40m以深で沈船等へ内部へ侵入するダイビング等)
つまり、ここでもダイビング内容と自分の器材構成等を考慮して、どのようなスタイルで潜るのが一番ストレスなく適しているかを判断しなければならない訳です。
サラッとと言ったわりには複雑な話ですみません(笑)
さて、いかがだったでしょうか?
2回に渡り、思いつく範囲でサイドマウントのデメリットをあげさせていただきました。
ですが、何度もいいますがデメリットは解決できますし、そのデメリット(環境)が合わなければ無理にサイドマウントで潜る必要はありません。
全てダイバー自身が自分で選択していいのです。
もし、デメリットを解決できなければ、無理に潜らずに、デメリットが解決できるまでしっかり練習し、そして解決に向けて自信が持てれば、その時にサイドマウントで潜ればいいのです。
是非、自由な発想と自由な気分(笑)でサイドマウントを楽しんでもらえれば、と思います。
次回はサイドマウントの講習についてお話させていただきたいと思います。
この記事を書いている時に一番頭を使っているのが冒頭のバレンタインネタになってきました。
まさに本末転倒もいいとこ。
ただ、寺山編集長のご期待に応えるべく頑張ります!
(この意識の変化もまさに本末転倒)