ラバー(ゴム)フィン好きは日本人だけ?日本と海外、フィンの違い
以前、実体験をもとに、日本人ダイバーの視点から、おもしろおかしく外国人ダイバーの様子を紹介しました。
先週、今週と、逆に外国人ダイバーの声を、ボニーさんが紹介していました。
主にダイビングスタイルの話が多かったのですが、装備に対する好みも違います。
特に、海外で感じる外国人ダイバーとの違いは、“フィン”。
日本人ダイバーはラバー(ゴム)フィンが大好き。
かくいう自分も長年フルフットのラバーフィンを愛用しているのですが、「なんで、日本人ダイバーはみんな、そのフィンはいてんだ!?」と外国の方に言われたことが何度かあります。
実際、市場における反応はどうなんでしょうか?
ということで、日本はもちろん、ヨーロッパ、アメリカ、オセアニアと世界に市場を持ち、プラスチックフィンはもちろん、フルフットのラバーフィン「カイル」を販売している器材メーカーTUSAの開発担当者さんに市場についてお聞きしたところ、こんなお答えが。
「ラバーフィンは完全に日本市場向けのみです。海外にはゴムの市場性がまったくなく、完全にプラスチックフィンだけです。国内ではご支持いただいているカイルも、そもそも欧米では販売していません」
需要が無い、というかまったく市場がない!?
これまで、外国人は構造上テクニカルで「かっちょいい!」を求めて、日本人は無駄をそぎ落とした機能美というベクトルなのかな、と何となく解釈していましたが、実際、海外市場と日本市場で求められているものの違いは何でしょうか?
「日本向けは柔らかくて、足の負担のかからないもの。海外では、逆に硬くて、パワーで蹴るフィンが好まれます。硬度調整する際、海外からは“もっと硬く”、国内からは“もっとやわかく”と正反対の要求が来ることあります。なかなか、2つの生産ラインを持つのも難しいので、そうするとどこに落としどころを作るかという板挟みの時があります」
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外国人は「このフィン履くと進むんだぜー」とフィンによる“パワーアップ”に、日本人は「自分の体に合ったフィンで効率よく進みたい」とフィンとの“一体化”に重きを置いているということなのでしょうか。
何となくわかるような気もするのですが、一方で、あくまで「マーケティングの結果じゃね?」という意見も。
確かに、GULLのような昔からラバーフィンにこだわりつづけているメーカーの努力も大きいですが、ダイビングメディアのスキル企画なんかの影響も大きかったように思います。
当時、雑誌の情報が大きな力を持っていた時、『マリンダイビング』のおタハラ部長がラバーフィンを勧めていたのを見て、ゲストにラバーフィンをオススメするイントラやベテランも増えましたし、自分がスキル連載していた時もかなりオススメしていました。
今では、浮力のあるプラスチックフィンが良いと思う場面もありますし、実際、日本でもバブルのころはカラーバリエーションのあるプラスチックフィンがよく売れて、むしろ主流になったこともあるそうです。
逆に、越智カメラマンがイルカやクジラと泳ぐ際に、外国人にラバーフィンを貸してあげると「ワンダフォー!」と気にいることも多いようです。
そういう意味では、日本人、外国人、関係なく、フィンを目的別で選べる、ニュートラルな情報は大事ですね(企画せねば…)。
やっぱり、華奢な女性がイルカと泳ぐのに、でっかい先割れフィンなんかを履いてくるのをみると、「一回、こっち使ってみては?」と言いたくもなります。
フィンは“泳ぐ”というダイビングの根幹部分ですが、フィンによって、快適度はかなり異なります。
機会があれば、フィンの履き比べをぜひしてみて欲しいと思います。