シェルドライorネオプレン論争に最終結論!?それぞれの長所と短所を、ダイビングガイドが本音でアドバイス

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ドライスーツを買いたいけれど、シェルドライとネオプレンって何がどう違うの?

ということで、前回は、メイドインジャパンのダイビングスーツメーカーとしてプロダイバーからも絶大な支持を得る、ワールドダイブ株式会社の高橋信弘さんからそれぞれの特性についてお話を伺いました。

ワールドダイブの高橋さん(左)と金津さん(右)

ワールドダイブの高橋さん(左)と金津さん(右)

さぁ、そろそろ決着をつけなければいけませんね……
シェルドライorネオプレン論争に、いよいよ最終結論が!?

1年を通してほとんどのダイビングをドライスーツで潜り、かつシェルドライとネオプレンを使い分けているという現地ダイビングガイドのお2人から、それぞれの使い心地や長所、短所について伺いました!

自分は断然シェルドライ派
耐久性、機動性ともに非常に優れたスーツ

コンカラー 田中幸太郎さん

コンカラー田中様sumb
八丈島で20年以上、第一線で活躍し続けるスーパーガイド。ゲストの興味を引き出しながら水中撮影やフィッシュウオッチングをサポート。ビギナーも万全にケアしている。より安全に撮影ができるようにと、使用しているタンクはすべてナイトロックス(無料)。多くのフォト派やベテランダイバーから支持され、リピーターも多い。

ーー田中さんがメインで潜られているのは伊豆諸島の八丈島ですが、1年のうち、どれくらいの期間をドライスーツで潜っていますか?

田中さん

本当は1年間ずっとドライスーツで潜り続けたいのですが、八丈島の7〜9月上旬頃はどうしても陸上が暑くなるので、この期間はウエットスーツで潜っています。というわけで、ドライスーツの期間は10カ月前後ですね。

ーーウエットスーツとドライスーツ、衣替えをする際の目安はありますか?

田中さん

気温が27〜28℃を超える汗ばむ季節は、陸上でインナーが湿って水中で体が冷えてしまうので、ウエットスーツを着ています。私の場合、水温は関係ありません。

ーードライスーツで潜るメリットは何でしょうか?

田中さん

一番のメリットは、体力の消耗を抑えられることですね。私はガイドを中心に、年間700〜800本のダイビングを行っているので、健康や体調の管理は必須だからです。
また、ドライスーツは脱ぐだけでスピーディに着替えが終わるので、ランチの準備や送迎など、ダイビング後すぐに次の動きがとれる点も大きいですね。

ーー普段から、ネオプレンとシェルドライを併用していると伺いました。それぞれの長所と短所を教えていただきたいです!
まず、シェルドライについてはどうですか?

田中さん

私はほとんどシェルドライで潜っています。最大の理由は、ここ数年でワールドダイブ製のシェルドライの性能がグンと上がったことです。
表生地は耐久性がアップしてスレに強く、防水シールの性能が上がり、不意な浸水がなくなりました。一般ダイバーにとって、シェルドライという選択肢がかなり具体的なものになったと思います。

さらに、素材が軽く動きやすいことも大きなメリットです。ネオプレンに比べて水中での機動性が格段に高く、フロントファスナーを使って一人で着たり脱いだりできる点も外せません。

また、水中でスーツの浮力がほとんど変化しないので、リブリーザーを装着したテクニカルダイビングなど、浮力の変化をなるべく抑えたいときに活躍します。

スーツをゆったりめに作るので、インナーをたくさん着込むこともできますしね。

短所は、素材に保温性がないため、水温がそれほど低くなくても、そこそこ厚めのインナーを着る必要があることです。気温が高いときは、陸上でインナーを着替えないと暑い思いをしてしまうこともあります。

ワールドダイブのシェルドライスーツを着て、ゲストの撮影アシストをしている田中さん

ワールドダイブのシェルドライスーツを着て、ゲストの撮影アシストをしている田中さん

ーーでは、ネオプレンの長所と短所はどんなところでしょう?

田中さん

長所は、素材に保温性があることでしょうか。気温と水温がそれほど低くなければ、薄手のインナーで潜って、そのまま陸上でも過ごせるので便利です。初夏など気温が高いときに、海までTシャツと短パンで行って、そのままインナーにして潜るようなときにも適していますね。

短所は、素材に気泡が含まれているため、深い場所へ潜ると浮力が減り、浅い場所へ戻ると浮力が増すため、水中での浮力変化が激しいことです。

夏場はネオプレンタイプも使用

夏場はネオプレンタイプも使用

ーーシェルドライとネオプレン、どちらを購入するか迷っているダイバーに、アドバイスをお願いします!

田中さん

ドライスーツの経験が少ないビギナーには、ネオプレンをおすすめします。スーツ内のエアコントロールがしやすいので、浮力調整のストレスが軽減されるからです。
シェルドライは、スーツの構造上において上半身にエアがたまりやすいので、排気に的確なスキルが必要となります。また、厚手のインナーに含まれたエアを抜ききるまでに少しタイムラグが生じることを覚えておきましょう。

対して、ドライスーツの扱いに慣れている方や、本格的に水中写真を楽しみたい方には、シェルドライが適していると思います。
陸上や水中での機動性はもちろん、フロントファスナーを採用したシェルドライは、上半身や肩が動かしやすく撮影姿勢を選びません。

最近は充電式の電熱ベストが販売されていますが、例えば併用がデフォルトになれば、インナーが薄手で済み、ウエイトも減って重さから解放されるため、ドライダイビングの革命が起きると思っています。

普段はシェルとネオプレンを併用
2着目以降でシェルドライの選択肢を

ダイビングサービス シーキング 赤堀智樹さん

シーキング赤堀様smb
西伊豆の大瀬崎でガイドを続けて30年の大ベテラン。ゲストのニーズやリクエストに合わせ、癒やしやドキドキなダイビングを提供。フォト派からの信頼が厚く、浮遊系撮影にも力を入れている。サイズは限られるものの、シェルドライのモニター使用も可能。ショップで着てみるだけでもイメージがつかめるはず。詳細はお問い合わせを。

ーー赤堀さんがメインで潜られているのは伊豆半島の大瀬崎ですが、1年のうち、どれくらいの期間をドライスーツで潜っていますか?

赤堀さん

その年の気候にもよりますが、伊豆の大瀬崎では7〜8月の夏場を除いた10ヵ月前後は、ドライスーツを着ています。

ーーウエットスーツとドライスーツ、衣替えをする際の目安はありますか?

赤堀さん

私の場合、水温23〜24度以下だとドライスーツですね。ただ水温が高くても気温が涼しいときは、ダイビング後に体が冷えてしまうので、ドライスーツで潜ります。

ーードライスーツで潜るメリットは何でしょうか?

赤堀さん

身体が濡れないので、あまり疲れを感じないのが最大の長所です。寒い中でウエットスーツを着て潜るのと比べて、ダイビング当日はもちろん、翌日の疲労感も全然違います。
また、ドライスーツは、海から上がってシャワーで頭を温め、タオルで拭くだけで暖がとれるので便利ですね。

ーー普段から、ネオプレンとシェルドライを併用していると伺いました。それぞれの長所と短所を教えていただきたいです!
まず、シェルドライについてはどうですか?

赤堀さん

7〜8年前からシェルドライスーツ自体や、専用インナーのバリエーションが増え、ネオプレンと併用するようになりました。
シェルドライの長所を挙げると、フロントファスナーが搭載されていて、自分ひとりで脱ぎ着ができるので、調査で潜るときや、体験ダイビングなどでお客さんにファスナーの開閉をお願いできないときに便利なんです。

また、生地が薄くて軽いので、水中でも陸上でも非常に動きやすいですね。陸上でのフィンの着脱がしやすいことも魅力です。
身体より少し大きめに採寸するので、大柄な体格の人にも適していて、体重が少し増えても使い続けられるというメリットもあります。

短所は、ネオプレンと比べて、デザインのバリエーションが少ない点と、値段が高価という点でしょうか。

愛用のワールドダイブのシェルドライスーツ

愛用のワールドダイブのシェルドライスーツ

ーーでは、ネオプレンの長所と短所はどんなところでしょう?

赤堀さん

ネオプレンの長所は、デザインやカラーバリエーションが豊富なことだと思います。また、素材に保温性があり、インナーが薄手で済むので、初夏など気温が高いときの水面休息もラクですね。

短所は、重いので電車で運ぶときや宅配便で送るときにかさばること。また、しばらく使わないと素材のゴムが硬くなり、劣化につながることでしょうか。

ーーシェルドライとネオプレン、どちらを購入するか迷っているダイバーに、アドバイスをお願いします!

赤堀さん

ダイビング経験が少なくて初めてドライスーツを買うのであれば、ネオプレンがおすすめです。
安価なラインナップも販売されているので、まずはリーズナブルなモデルを手に入れて、ドライの操作や潜り方に慣れることが理想だと思います。

そして5年後や10年後に2着目を考えたとき、動きやすいシェルドライを検討してみてはいかがでしょうか。身長や体重が大きめな人や、体が硬い人にも適しています。

ちなみに、ドライの基本的なスキルがあれば、ネオプレンもシェルドライも、水中での給排気や浮力コントロールの難易にそれほど違いはないと思います。適正ウエイトも、シェルの方が少し軽いかなという程度で、ほぼ変わりませんよ。

シェルドライorネオプレン論争
最終決着はいかに!?

というわけで、結論は……

シェルドライとネオプレンにはそれぞれの特性があり、「こちらの方が優れている!」と言い切ることはできませんが、ワールドダイブさんと現地ガイドお2人のアドバイスをふまえると、

「1着目はネオプレン、2着目からシェルドライという選択肢も!」

とまとめることができそうです。

ドライのスキルや冬のダイビングスケジュールが確立していないビギナーのうちは、浮力コントロールがしやすくリーズナブルなモデルもチョイスできる、ネオプレンで経験を積むのが一番。

そして、5年ほど経ってスキルもダイビングライフも充実した頃に、「もっと潜りたい」「もっと撮りたい」「プロっぽくてカッコいいスーツを着たい」と思ったとき、動きやすくハイグレードなシェルドライを手に入れてみてはいかがでしょうか。

5年後にはドライスーツダイビングをもっと快適にする便利アイテムが登場しているかもしれませんね。

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ワールドダイブのドライスーツ

今回インタビューに答えてくださったコンカラーの田中さん、シーキングの赤堀さんともに着用しているシェルドライスーツが、ワールドダイブの「シェルドライスーツ IC9000」

シェルドライスーツ IC9000(ワールドダイブ)

シェルドライスーツ IC9000(ワールドダイブ)

「ダイビングスーツ専門メーカーとして、ウエットスーツとドライスーツの品質には絶対の自信を持っている」との高橋さんの言葉のとおり、素材や品質、機能性などあらゆる面で海のプロフェッショナルから高い評価を得ています。

興味を持った方はダイビングスーツを取り扱う販売店などで手に取れるほか、モニターも可能。ぜひ一度試してみたいという方は、販売店までお問い合わせください!
▶ワールドダイブのドライスーツを扱う販売店はこちら

また、ワールドダイブのネオプレンタイプドライスーツは、現在、期間・着数限定スペシャルデザインのスーツが購入できるというキャンペーンを実施中!

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2020年2月末日までのキャンペーンで、プレゼントもついてくるというお得な内容になっているので、ネオプレン派のダイバーはこちらもチェックしてくださいね♪

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ワールドダイブ

「あらゆる環境で快適なダイビングライフをお届けすること」をモットーに、国内生産にこだわり、自社工場でスーツを製造している総合スーツメーカー。設計、素材、装備、そして技術のすべてにおいて、現在得られる最上のクオリティで仕上げ、その名の通り世界の海で通用するスーツを作り上げている。

■本社
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PROFILE
学生時代にアルバイトをしながらダイビングを始め、『マリンダイビング』編集部を経て独立。2007年にオーシャナの前身となるダイビング・ドット・コミュを立ち上げる。
現在はフリーライターとして活動。旅行ガイドブックや企業インタビュー、WEB記事など、多くのジャンルとメディアにおいて、取材・撮影・執筆を行なっている。
モットーは「楽しく安全なダイビング」。苦手なスキルは耳抜き……。
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