三陸・宮古の海を語る!海のヒーロー・佐藤寛志氏×水中写真家・鍵井靖章氏講演会

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4月23日(日)、岩手県宮古市のイーストピアみやこ(市民交流センター)にて、みちのくダイビングリアス・通称クマさんこと佐藤寛志氏と水中写真家・鍵井靖章氏の講演会「海の豊かさを守ろう」が開催される。日本の海、世界の海を知る2人が語る海の環境問題と、三陸の海の今についての貴重な話を聴きに行こう。

「春の藻場」撮影:佐藤寛志氏

いつまでも豊かな海と共存していくために

三陸海岸に面した宮古市は、2011年3月11日に起きた東日本大震災で甚大な被害を受けた。あれから12年、ずっとこの海を定点観測しながら撮影してきた水中写真家の鍵井靖章氏と、ガレキ撤去などに尽力してきた三陸ボランティアダイバーズの代表を務める佐藤寛志氏の2人が、今回の講演会では話を聞かせてくれる。

このイベントは宮古市が主催。宮古市企画部 企画課 企画調整係 係長の中村尚道氏に、どのような意図で企画したのかを伺ってみた。
「宮古市は地図を見ていただけばわかるとおり海に面していて、海からの頂き物で生活をしています。今回の講演会はその海について、より深く知っていただきたいということで、震災以来ずっと撮影してきてくださっている水中写真家の鍵井さんと、三陸全般をフィールドに活躍されているダイビングガイドの佐藤さんに登壇していただくことにしました。

私たちは普段、普通に魚を食べたり、海の景色を見たりしていますが、実は海の中がどんなふうかということは、宮古市民の方もよく知らなかったりします。例えば漁獲量が減ってきているとか、磯焼けが起きているなどの環境問題は、なかなか知ることがありません。ALPS処理水の課題にも直面しています。宮古市が海から受けている恩恵を見つめ直す機会を作りたくて、講演会を企画しました。地元の方はもちろん、多くの方にお越しいただき、宮古の海について知っていただけたらと思っています」。

中村氏は、今回一度きりではなく、今後も継続的にこのイベントを続けていきたいと考えているという。ぜひ第一回となる今回、多くの方に参加していただきたいと思う。

三陸の海とともに生きてきた佐藤寛志氏

今年1月アメリカの月刊誌「スキューバダイビングマガジン」で、日本人初の「海のヒーロー」に選ばれた佐藤氏。彼は三陸の海で育ち、三陸の海に生きるダイバーだ。自身が経営するダイビングショップ・みちのくダイビングリアスでは「里海ダイビング」を提唱し、社会や環境に役立つダイビングを積極的に行っている。また代表を務めるNPO法人三陸ボランティアダイバーズでは、東日本大震災直後から海のガレキ撤去などを行っている。

「三陸の海の復興活動を続けて12年、震災当初はガレキの引き上げを続け、現在は海水温上昇に伴う磯焼け対策として藻場再生に取り組んでいます。100年後も豊かな海であることを目指して活動をつなげていきます」と佐藤氏。
三陸の海に寄り添い、三陸の海に生きるとは?佐藤氏が現場の声を語る。

震災直後から撮影を続けてきた鍵井靖章氏

撮影:鍵井靖章氏

日本のみならず、世界中の海を撮影している鍵井氏。彼は東日本大震災以降、岩手県や宮城県の海を記録に残し、かつての美しい海に再生していこうとする海の力や生命の力を伝えてきた。海の中に残るガレキなどは、魚のすみかとなっているものもあり、撤去するのが難しいものも。鍵井氏が肉眼で見た震災後の宮古の海や海洋ごみ問題について語る。

「宮古市は私が震災以降、12年間、海中撮影を続けてきている場所です。ですので、地元の方に、地元の海が、どんな感じで変化してきたのか?などお話したいと思っています」と鍵井氏。

また、講演終了後には佐藤氏と鍵井氏の対談と質疑の時間が設けられている。参加したら、ぜひ積極的に質問もしてみてはいかがだろうか。

鍵井氏の作品による「海の写真展」も同時開催

今回の講演にあわせ、4月11日~23日に鍵井氏が震災以降撮影し続けた宮古の海を伝える「海の写真展」も開催中だ。
鍵井氏によれば「震災直後から生き物が戻ってくる様子の展示になっています」とのことで、とても興味深い。場所は講演会場と同じ市民交流センター。講演と合わせて見ておきたい。

この講演会は、震災を経て変化してきた岩手県宮古の海について知る、めったにないチャンス。東北の皆さんだけでなく、多くの方に参加していただきたいと思う。

イベント詳細

【講演会】海の豊かさを守ろう
日時:2023年4月23日(日)13:30〜16:20
講演1:13:40〜 佐藤寛志「三陸の海に生きる」
講演2:14:40〜 鍵井靖章「東日本大震災を経験した宮古の海と海洋ごみ問題」
対談:15:40〜
質疑:16:10〜
場所:市民交流センター 2階多目的ホール
定員:180人
入場料:無料
※事前申し込み不要

【写真展】海の写真展
開催期間:2023年4月11日(火)〜23日(日)
場所:市民交流センター フロア

問い合わせ
【講演会】宮古市 企画部 企画課 電話:0193-68-9064
【写真展】宮古市つなげるいのちの写真展実行委員会事務局 長澤 
電話:090-8787-9707
▶関連サイトはこちら


 

佐藤寛志
1974年、花巻市生まれ。大船渡市在住。
NPO法人三陸ボランティアダイバーズ代表。
東日本大震災直後から水中がれき撤去を続ける。
養殖漁場の見学や藻場再生や磯焼け対策など、漁業と環境に積極的に関わる「里海ダイビング」を提唱し、海を耕す毎日。
第1回グッドライフアワード環境大臣賞最優秀賞、日本トルコ交流会日本復興の光大賞18、アメリカ月刊誌「スキューバダイビングマガジン」Sea Heroなど受賞。

水中写真家 鍵井靖章
1971年、兵庫県生まれ。1993年よりオーストラリア、伊豆、モルディブに拠点を移し、水中撮影に励む。
1998年に帰国し、独立。自然のリズムに寄り添い、生き物に出来るだけストレスを与えないような撮影スタイルを心がける。多彩な視点と色使いが人気で、大胆かつグラフィカルな水中写真で多くの人々を魅了する。一方3.11以降は、震災を経験した海に生きる生命を定期的に記録している。主な写真集に『unknown』(日経ナショナルジオグラフィック社刊)、『不思議の国の海』(PIE International)など多数。
2013年、2015年 日経ナショナルジオグラフィック優秀賞受賞など受賞歴多数。TBS「情熱大陸」、TBS 「クレイジージャーニー」などにも出演。

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