東北のボランティアダイバーが考える今とこれから。「宮城県行方不明者捜索チーム」始動。

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2014年3月11日から3日間に渡って、東北の海でボランティア活動をしている3人のダイバーを取材してきました。
詳しくはこちらをご覧ください。

それぞれのダイバーに、現状と2014年の目標を伺いました。

陸前高田・佐藤寛志さん、南三陸・勝又三成さん、石巻・高橋正祥さん

左から、陸前高田・クマさん、南三陸・かっつんさん、女川・マサさん

南三陸・勝又三成さん

――

昨年はどんな年でしたか?

勝又

2013年は海の清掃はもちろん、子供たちと海水浴場もオープンさせることが出来ました。
しかしまだ瓦礫はたくさんあるし、骨や衣類そのほかたくさんのものが残っています。

今までは単に「瓦礫撤去」という気持ちで行っていましたが、初めに財布が見つかってそれが持ち主に帰ったと聞いた時に、単なる瓦礫撤去ではなく「捜索活動」に心持ちが変わったんです。

瓦礫撤去は迷惑がられることもありました。
でもそれが養殖場の下にあったら?やはりそれは取り除かないと養殖ができない。

でもダイバーを密漁者だと思っている人もいるし、そういった反対する地元の人たちの意見も無視できない。
しかし今、潜水士として出来ることは「捜索」だと思っています。
うまく歩みよって続けていくことが大切だと思います。

東北ボランティア団体TSUNAGARI

――

去年は、ダイバーになりたい人へCカード講習も始めていましたよね?
いつから始めたのですか?

勝又

はい、去年はダイビングのライセンスを取りたいという遺族の方や、語り部やボランティアをしている地元の女性など、自分から取りたいと言われた方にCカード講習を行っていました。

また、高校生で将来漁師になりたいから、親が漁師だから、親を海で亡くしたので将来は警察官になりたいから、だからCカードが欲しいと言ってきた子もいました。

ライセンスの発行は2013年の7月から始めました。
2014年は、「宮城県行方不明者捜索チーム」もできましたし、捜索も含め、これらの行動を続けていきたいと思っています。

※宮城県行方不明者捜索チームに関しては後述します。

女川・高橋正祥さん

ハイブリッドの高橋正祥さん

――

2013年はどうでしたか?また、現状はどんな感じでしょうか?

高橋

ハイブリッジがオープンしてから約1年半ですが、多くの方にきてもらっていると思います。
昨年は「石巻海さくら」の活動が月に1回+αで年間約20回ありました。
(編注:石巻海さくらは、水中にある大切な物の回収と、海を汚す水中のゴミの撤去、海岸にあるゴミを拾うなどの活動をしている高橋さんが代表努める団体です。(海さくらHPより)
また、ボランティアだけでなく、ファンダイビングにも力を入れていました。

――

この1年半ほどで何名くらいの方がボランティアやファンダイビングでこられたんですか?

高橋

水中約500人、陸が1000人くらいです。
現在ファンダイビングは竹浦がメインのポイントです。

――

2014年の目標はありますか?

高橋

“ダイバーを増やしたい”というのがまずあります。

単純に石巻で潜ってくれるダイバーが増えればボランティアのスピードも上がるので、まずは、講習に力を入れていきたいと思っています。

そしてファンダイビングのポイント開拓もしたいと思っていて、狐崎浜を2014年以内に正式にオープンさせられたらと思っています。

陸前高田・佐藤寛志さん

三陸ボランティアダイバーズの佐藤寛志さん

――

三陸ボランティアダイバーズを始めてから3年が経ちますが、何人くらいの方がいらっしゃっていますか?

佐藤

ファンダイビング、ボランティア合わせて潜ってくれたのは約3000人です。
全国各地からたくさんの方が来てくれて、海や陸が綺麗になっていくのが実感できているのでとても嬉しいです。

――

今もまだ大きい瓦礫などは残っていますか?

佐藤

はい、全く手が付けられていないところもありますよ。
まだ遺留品や金庫、車などが上がってきます。

しかし、ほとんど残っていない場所もありますし、生物が豊富に戻ってきているところもある状況なので、2つの面を一緒に見ることができます。

――

漁業はどんな様子ですか?

佐藤

毎年戻ってきています。
昨年はワカメ、今年はホタテ、来年はホヤが初物になります!
ぜひ食べに来てほしいです。

――

今、海の生物は何が見られますか?

佐藤

今の見ごろは、イナダ、イワシ、ダンゴウオとかですね。
ダンゴウオは浪板海岸に行けば20匹は見れますし、1m以内に5匹はいますよ!

――

2014年の目標はありますか?

佐藤

ファンダイビングで来てくれる方が増えると嬉しく思います。

今ボランティアで来てくれてる方たちにも海をもっとファンダイビングとして楽しんでもらって、どんどんレジャーにしていきたいです。
また漁師さんの仕事なども手伝って、関わっていけたらいいなと思っています。

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宮城県行方不明者捜索チームに関して

2014年3月11日より、宮城県行方不明者捜索チームが始動しました。
メンバーは今回取材をした方々を中心に構成されています。

宮城県行方不明者捜索チーム

宮城県行方不明者捜索チーム。左から、宮城さん、飯田さん、高橋さん、斎藤さん、勝又さん、石田さん

2014年3月11日現在で決まっている活動内容(一部)は以下の通りです。

  • 活動回数は最低月1回
  • 活動場所は石巻か南三陸
  • 基本的には依頼があってから行動する

南三陸の勝又さんは、「宮城県にはまだまだ探してほしいという声がある。宮城で水中を探してくれるボランティアの人たちがいるんだって思ってことをまず知ってもらいたいと思い、このチームを立ち上げました」と話してくれました。

そのため名前も至ってシンプルに、誰が見てもわかり易くということで付けられました。

女川の高橋さんは「続けて、見つける事の大変さもあるので、根気よく活動を続けて行きたいです。まず沿岸部が終わったら、ボートでの沖野捜索も視野に活動範囲を決めて行きます。少人数精鋭の方が見つけやすいかと思います」と意気込みを語ってくれました。

宮城県行方不明者捜索チームは立ち上げられたばかりなので、今後様々に変わっていくと思います。
また進展があればお伝えします。

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3日間、ありがとうございました。

取材協力

3.11取材/南三陸・TSUNAGARI・勝又三成
TSUNAGARI project

3.12取材/女川・ダイビングサービス ハイブリッジ・高橋正祥
宮城県石巻市ダイビングサービス | High bridge(ハイブリッジ)

3.13取材/陸前高田・三陸ボランティアダイバーズ・ダイビングショップRias・佐藤寛志
ダイビングショップ みちのくダイビング RIAS

また、こちらの3名が4月5日に「JUCEフォーラム2014」に登壇予定です。

詳細はこちらをご覧ください。

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PROFILE
成蹊大学文学部国際文化学科卒業。
ナレーター、司会、ダイビング・モデルとして、TV、雑誌、モーターショー、トークショーなどで活躍。宝くじのキャンペーンガール「幸運の女神」では、46都道府県を旅する。

2013年からは、大物運・海況運をつかさどる「海の女神」へと転身し、舞台を海に変えてオーシャナの突撃体験レポートを担当。
潜水士資格も取得し、2014年は伊豆大島復興観光大使「ミス椿の女王」として、伊豆大島をはじめとした被災地復興支援活動にも尽力する。

「ダイビングがきっかけで、物の見方も感じ方も生き方も180度変わり、自分の周りまでもキラキラ輝き出したことを実感。 
いろんなことを体験しながら、たくさんの“きっかけ”を届けていきたいです」

【経歴】
・第25期 日本テレビイベントコンパニオン
・第11~12期 スバルスターズ
・第33期 宝くじ「幸運の女神」
・第23代 ミス椿の女王(2014.2~)
・第29代「ミス熱海・桜娘」(2016.1~)
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