写真家・細田健太郎がタイの魅力・ベストな潜り方をレポート!(第2回)

世界一寄れる!? 手のりギンガハゼ ~タオ島マクロ7番勝負!~

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写真家・細田健太郎がタイの魅力・ベストな潜り方をレポート!

今回の取材で出会い、印象に残った7種類のマクロ系の生物たちとファインダー越しに向き合ってみた。

最初は「どこまで近寄れるか勝負だ!」と思ってカメラを構えたが、彼らのあまりのフレンドリーさに闘いにならず(苦笑)。

僕がメロメロにされただけの結果となった7本勝負です。

Fight 01 ギンガハゼ 「手のりギンガハゼ」を体験!

手乗りギンガハゼ

写真はギンガハゼが手のひらに乗った時のもの。

まさに「手のりハゼ!」。
あまりにビックリしたので思わず水中で「おおっ!スゴイ!」と叫んでしまった。

通常、ハゼは巣穴の近くに外敵がいると、警戒してなかなか出てこない。
写真を撮ろうとしてハゼに近づいたら、巣穴に引っ込んでしまったという悔しい思いをした人も多いはず。

ギンガハゼとテッポウエビは共生

ギンガハゼとテッポウエビは共生している。この海はテッポウエビの警戒心も薄い。

ところが、タオの海に生息するギンガハゼは、逃げないどころか人間の手があってもお構いなしだ。もちろん、すぐに手に乗ってくれたわけではなく、慣れるまで少し時間がかかったが、それでも「もうちょっと用心したら?」と言いたくなるくらいの警戒心の緩さだった。

度胸がいいというか、何も考えていないのか、フレンドリーにも程がある(笑)

ギンガハゼとテッポウエビは共生

テッポウエビに押されるギンガハゼ。穴の中でどういう風に生活しているのか想像される扱いだ。

タオ島のギンガハゼは生息数が非常に多く、容易に近づける。
おそらく世界で最もハゼに寄れる海の一つなのではないのだろうか。

ギンガハゼは「ツインズ」、「ポッテリーピナクル」、「アオルーク」、「タノットベイ」などのポイントで見られる。

ギンガハゼ

この個体は巣穴から全身を出し、思いっきりエビ反りを繰り返した。思わず水中で吹き出してしまった(笑)

ギンガハゼ

ギンガハゼの黒化個体と黄化個体の2ショット。2匹で一緒にいる時は、どちらかが先に巣穴に引っ込むことが多い。

Fight 02 メタリックシュリンプゴビー その美しさを最接近で確認!

メタリックシュリンプゴビー

とにかく綺麗なハゼだ。
僕はこのハゼを見ると撮らずにはいられない。

遠目には黒っぽい地味な印象だが、近くでよく見ると、顔からヒレの部分に散らばる蛍光ブルーとオレンジがあるのが分かる。
これがたまらなく美しい。

写真に撮ったら一目瞭然。
名前の通り、メタリック度全開の風貌なので、ぜひ近くで見てほしいハゼだ。

この海のメタリックシュリンプゴビーもギンガハゼと同じで警戒心が薄く、巣穴に引っ込んでもすぐに出てくる。
あまりに警戒心が弱いので、レンズの最短撮影距離を簡単に突破してしまう。

「あれ、ピントが合わない?」と思ったら、ついつい近寄り過ぎてしまっていたことが頻繁にあった。

また、巣穴から出過ぎて自分の穴に戻れず、他の個体の巣穴に入って追い出されるという、おっちょこちょいな個体もいる。

「ツインズ」、「ジャパニーズガーデン」、「タノットベイ」などで見られる。

メタリックシュリンプゴビーのペア

メタリックシュリンプゴビーのペア。このハゼが2匹一緒にいる姿は比較的少ない。

Fight 03 ゴルゴニアンシュリンプ 針のように尖った体が美しい

ゴルゴニアンシュリンプ

全身が細く頭の先がツノのように尖った姿が特徴的なエビ。
宿主であるムチカラマツに付いていることが多い。

ゴルゴニアンシュリンプはムチカラマツに同化するように上手に隠れているので、意外に見つけにくい。

群生しているムチカラマツよりも、少し離れたところにポツンとあるような環境のほうが見つかる可能性が高いようだ。

1本に最高4匹のゴルゴニアンシュリンプが着いていたこともあるという。

「ノーネーム」、「ホワイトロック」、「レムティエン」などで見られる。

ゴルゴニアンシュリンプ

非常に印象的で、美しいフォルムをしているゴルゴニアンシュリンプ。

Fight 04 イバラカンザシ カラフルに咲き誇るお花畑

イバラカンザシ

タオの海のイバラカンザシは、数が多いことと、密集度の高さに驚かされた。
狭い範囲にビッシリと群生するように生息している。

まるで綺麗な花が咲いているお花畑のようだ、色がカラフルで模様のバリエーションがすごく多いので、じっくり観察してみてほしい。

「ホワイトロック」、「グリーンロック」、「レムティエンベイ」、「ツインズ」などに多く見られる。

イバラカンザシ

イバラカンザシはゴカイの仲間。敏感なので、ゆっくり近寄らないとすぐに穴に引っ込んでしまう。

Fight05 タテジマヘビギンポ 背景が綺麗なシチュエーションで撮る

タテジマヘビギンポ

写真は「グリーンロック」にある岩礁の壁面にビッシリとついている群体ボヤの仲間と一緒のところを撮ったもの。

タテジマヘビギンポは数が多く、いろいろなポイントに生息しているので、綺麗な背景を選んで撮るとアーティスティックな写真が撮れる。
うまく狙えばイバラカンザシに乗っているシーンが撮れることも。

タテジマヘビギンポはバネじかけのようにビヨヨーンと飛んで、また元の位置に戻るという面白い行動パターンを持っている。

これを動画で撮ってみても面白い。
お気に入りの場所があるようで、同じ位置に戻ってくることが多く写真も撮りやすい。

「グリーンロック」、「レムティエン」、「ナンユアンケーブ」などで見られる。

キクメイシの上に乗ったタテジマヘビギンポ。

キクメイシの上に乗ったタテジマヘビギンポ。

Fight 06 トウアカクマノミ 極小のベイビーに出会う!

トウアカクマノミ

トウアカクマノミのコロニーのすぐ近くで泳いでいた極小の赤ちゃん。
体長は5mm強くらい。
不思議なことにイソギンチャクからは少し離れた所でずっと泳いでいた。

次の日に行ったらまた同じところで泳いでいたので、別のイソギンチャクに移ろうとしているのかもしれないが、イソギンチャクの庇護を離れ、単独で泳いでいて大丈夫なのだろうか、と少し心配になった。

トウアカクマノミは、イボハタゴイソギンチャクに着いていることがある多いクマノミだが、タオの海では、マバラシライトイソギンチャクというイソギンチャクにもついている。

トウアカは攻撃的なので、顔を近づけると、レギュレーターにポンとキスをしてくれる。
またデジカメを近づけると、指に噛み付いてくることもある。

「ツインズ」、「ヒンピーウィー」、「アオルーク」などで見られる。

アンキロメネス・ホルトハウスィ

マバラシライトイソギンチャクには、アンキロメネス・ホルトハウスィというエビの姿も見られた。

Fight 07 ヤスジチョウチョウウオ 正面顔がキュート

ヤスジチョウチョウウオ

名前の通り8本の横縞(魚は頭を上に置いた時を基準にして、縦縞、横縞を区別する)が特徴のチョウチョウウオだ。
幼魚は警戒心がとても強く、テーブルサンゴの枝の中にすぐに隠れてしまう。

また動きがトリッキーで、非常に写真が撮りにくい。
この写真は正面顔を狙っていたわけではなく、たまたま正面を向いてくれた時にシャッターを押していたというラッキーなカット。

後から見て「こんな顔をしていたんだ」と微笑んでしまった。

ヤスジチョウチョウウオ

ヤスジチョウチョウウオが泳いでいる姿を横から見ると、8本の横縞がよく分かる。

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今回の取材でお世話になったサムイダイビングサービスの自社ボート。2Fに広々としたスペースがあって快適! タオ島でのダイビングはこの船を使ってダイビングを使う。

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PROFILE
1970年、東京生まれ。写真家。ダイビング雑誌で、スタッフフォトグラファーと編集者の仕事を並行して携わる。その後、写真一本で活動するため2008年独立し、細田健太郎写真事務所を設立する。
独立後は、水中撮影だけでなく、ライフスタイルマガジンや建築系、広告系等、幅広く撮影活動を行なっている。現在は世界遺産と絶景を求めて全世界を撮影中。今までに訪問した国は約70カ国。
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