写真家・細田健太郎がタイの魅力・ベストな潜り方をレポート!(第3回)

タイ湾の人気№1名物ダイビングポイント「セイルロック」を潜る!

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セイルロックの常連バラクーダの群れ (Photo Hitoshi Masuko) 写真家・細田健太郎がタイの魅力・ベストな潜り方をレポート!

パンガン島とタオ島のちょうど中間地点に、海面から直径30mくらいの巨大な岩礁が突き出している「セイルロック」と呼ばれる名物ポイントがある。

周囲には何もないところにある巨大な根のため、多くの魚が集まってきており、非常に魚影が濃いポイントとして知られている。タオ島のビッグポイント「セイルロック」を潜ってみた!

■セイルロック

外洋に浮かぶ岩礁「セイルロック」を潜る!

セイルロックの常連バラクーダの群れ (Photo Hitoshi Masuko)

セイルロックの常連バラクーダの群れ (Photo Hitoshi Masuko)

取材期間中、「セイルロック」に行くことができず、やきもきした日が続いていた。

結局、タオ島の滞在期間がリミットになり、サムイ島へフェリーで移動することになった。
サムイ島で陸上の撮影を行いチャンスを待っていると、取材最終日についに風が収まった。

「やっとセイルロックに行ける!」嬉しさと同時に少しホッとした。

サムイ島からはスピードボートを使って「セイルロック」に潜りに行く。
スピードボートを使うメリットは、時間を有効に使えることだ。

エンジン3機掛けのボートでぶっ飛ばすので、朝8時に出港して片道約1時間で「セイルロック」に到着する。(ちなみにタオ島から「セイルロック」へは片道が約2時間かかる)

「セイルロック」の上部は海面に突き出ている。この岩礁の周りを潜る。一緒に写っているのはスピードボート。

「セイルロック」の上部は海面に突き出ている。この岩礁の周りを潜る。一緒に写っているのはスピードボート。

海面を滑るように進むスピードボートに乗りながら、「苦戦していたワイド系は、セイルロックで気持ちのいい絵を撮れば一発逆転できるかも」と考えていた。

体をギラギラと輝かせたギンガメアジの群れ。「セイルロック」のギンガメアジはいくつかの群れに分かれており特に数が多い。 (Photo Hitoshi Masuko)

体をギラギラと輝かせたギンガメアジの群れ。「セイルロック」のギンガメアジはいくつかの群れに分かれており特に数が多い。 (Photo Hitoshi Masuko)

まるで壁のように視界を覆うテルメアジの群れ。群れが一斉に動くとザザッという音が聞こえることもある。

まるで壁のように視界を覆うテルメアジの群れ。群れが一斉に動くとザザッという音が聞こえることもある。

群れの数は半端じゃないが、ワイド撮影で苦戦。

(Photo Hitoshi Masuko

(Photo Hitoshi Masuko)

「セイルロック」に到着して海面を見ると「これはヤバイ」。
見るからに水が濁っている。
「一発逆転どころか撮影にならないかも」と思うほどだ。

考えていても仕方がないのでエントリーすると、長く吹き続けた風の影響なのだろうか、水中は白濁していて透明度は5~8mくらい。
ワイドを撮るには非常に厳しいコンデションの水だ。

やがてテルメアジの大群に遭遇した。
噂に違わずものすごいボリュームだ。

少し引いて群れの全体を見せたいところだが、そうすると霞がかかったようになり、群れ全体が見えなくなる(苦笑)

そうかと言って近づくと、単に群れの一部分だけのアップになってしまい、こちらもあまり良くない。
透明度が良くない中、何度も群れと格闘したが満足のいく写真は撮れずじまい。

今回は現地ガイド・サムイダイビングサービスの増子さんが、コンデションがいい時に撮った写真を紹介します。

ツバメウオの大編隊が泳いでいく。ここのツバメウオの数も半端じゃない。(Photo Hitoshi Masuko)

ツバメウオの大編隊が泳いでいく。ここのツバメウオの数も半端じゃない。(Photo Hitoshi Masuko)

キンセンフエダイの群れに包まれる巨大なヤイトハタ。(Photo Hitoshi Masuko)

キンセンフエダイの群れに包まれる巨大なヤイトハタ。(Photo Hitoshi Masuko)

ハナビラクマノミの産卵の瞬間に遭遇!

ハナビラクマノミと卵

ガイドの増子さんが「ハナビラクマノミが卵を産んでいますよ!」と教えてくれた。

よく見るとメスのクマノミのお腹の部分から輸卵管が出ていて、岩肌に黄色いツブツブの卵を産み付けていく。
めったに出会えない瞬間に興奮してしまった。

また周囲には、すでに産み付けてから数日経っている卵があり、発眼している様子が見られた。
近いうちにハッチアウトして巣立っていくのだと思う。

ハナビラクマノミがヒレで新鮮な海水を卵に送って世話をしている。

レアなリボンリーフゴビーも!マクロ系生物もあなどれない。

透明度が悪いためワイド系の撮影を一段落させ、マクロ系を狙うことにした。
ここにはリボンリーフゴビーというレア系のハゼが生息している。

このハゼは岩礁の亀裂の中、それも深い亀裂の奥を好むようで見つけるのがなかなか大変だ。
ガイドの増子さんがライトで照らしてくれるが、どこにいるのか分からない。
岩肌に付く腔腸動物が保護色になっていて判別ができなかった。

普通、一度でも見た生物は目が慣れるせいか(リボンリーフゴビーは、以前、他の場所で撮影したことがある)、すぐに気がつくことが多いのだが、今回はかなり苦戦。

ジタバタしているうちに警戒されてしまい、やっと姿を確認した時は、岩陰に潜れてなかなか出てこなくなってしまった。

写真はそんな状況でやっと撮った中の1カット。

イレズミハゼ

イレズミハゼの仲間で、背ビレの一本が刺のように長くピンと伸びている。
体長は1cm程度とかなり小さいハゼだ。

シマシマ模様が綺麗なので、これもぜひ見てほしい魚だ。

「セイルロック」は沖合にあって群れや大物ポイントと思われがちだが、貴重なマクロ系生物も生息しているのである。

「セイルロック」ではゴルゴニアンシュリンプの姿も見られる。(Photo Hitoshi Masuko)

「セイルロック」ではゴルゴニアンシュリンプの姿も見られる。(Photo Hitoshi Masuko)

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タオ島・サムイ島のツアー

サムイダイビングサービスの自社ボート

今回の取材でお世話になったサムイダイビングサービスの自社ボート。2Fに広々としたスペースがあって快適! タオ島でのダイビングはこの船を使ってダイビングを使う。

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PROFILE
1970年、東京生まれ。写真家。ダイビング雑誌で、スタッフフォトグラファーと編集者の仕事を並行して携わる。その後、写真一本で活動するため2008年独立し、細田健太郎写真事務所を設立する。
独立後は、水中撮影だけでなく、ライフスタイルマガジンや建築系、広告系等、幅広く撮影活動を行なっている。現在は世界遺産と絶景を求めて全世界を撮影中。今までに訪問した国は約70カ国。
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