奄美大島ホエールリサーチ(第2回)

奄美南部の大島海峡東側出口付近で5頭のザトウクジラに遭遇

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23日、24日は、奄美南部にあるマリンステイション奄美の畑さんのご好意で、ホエールウォッチングさせてもらうことになった。

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23日はゲスト4名とともに、午後2時に出港。
最初は、大島海峡の東側出口から出て、クジラを探した。
昨日、才さんの船でクジラと遭遇したポイントはハンディタイプのGPSでマーキングしていたので、それを目安に北上。

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GPSは、クジラ捜索には重要なアイティムのひとつ

 

しかし、クジラは見当たらず、Uターンして南を探すことに。

しばらくすると、海峡入り口手前の山並みの前で、ブローのような水しぶきが上がった。

しかし、島をバックにしてるため、それが岩礁に当たって発生した水しぶきなのか、クジラのブローなのか、断言できる自信は無かった。

トンガでは、15年近くクジラを探しているので、ほとんど地形を把握していて、どこにクジラのブローに似た水しぶきが上がる岩礁があるかも覚えているので、その違いが認識できるだけの経験を積んでいる。

しかし、奄美でのクジラの捜索はこの日で2日目。

違いを明確にすのに、あと何回か水しぶきが上がるのを確認しなければいけなかった。
距離にして、まだ5kmほど離れていた。

スキッパーの畑さんに、「あの山並みの凹んだ部分でブローらしきものが見えたのですが、岩礁なのかクジラなのかの確証が無いから、ゆっくり進んでもらえますか?」と伝えてその方向に目を凝らした。

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後方に島などがあると、水しぶきがブローなのか、波が岩礁に当たってできたものなのかの違いを確認するのが難しい場合がある。その地での経験を多く積み、地形を把握しておく必要がある

その後何度か水しぶきが上がり、複数のクジラがいることが確認できた。
結果、そこにいたのは、5頭のザトウクジラ。
かなり岸に近い所に集まっていて、僕らの乗船するボートが接近するとゆっくりと南下を始めた。

しかし、潜行して浮上してくるまでの時間が5分から8分程度と短く、後ろから静かに追跡している分には、あまり気にしない様子でゆっくりと泳いでいた。

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横に並ぶと少しスピードを上げる。
前にまわり込もうとすると、かなりこちらを意識しているのか、さらにスピードを上げた。

トンガのクジラたちのように、そう簡単には、前に回り込ませてもらえそうにない感じだった。

それに、すでに暗かったのもあり、水中へのエントリーは、諦めた。

しかし、かなり長い間、近くで観察できたし、撮影はできなかったものの、計3回ブリーチングもしてくれたり、一緒に乗船していたゲストは大喜びしていた。

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翌24日は、午後1時過ぎに出港。

最初は、昨日5頭のクジラを発見したエリアをチェックするが見当たらず、加計呂麻島の東岸をさらに南下して、請島(うけじま)まで移動した。

加計呂麻島から請島までの間は、強い北西風が吹き、小型ボートは激しく波を被った。

島の風裏に入り、さらに南、徳之島の方を見ていると、ブローが上がった。
しかし、これより南下すると、海もかなり荒れていることから、諦めて引き返す。

その帰り際、請島の北側でもブローを確認したが、すでに時間も遅かったので、こちらも諦めて、港へと戻った。

1月末といえば、南半球では7月末くらい。

南半球にあるトンガでも、8月初旬くらいから親子クジラが多く見られるようになり、ピークは9月末くらいまでが通常だ。

そう考えると北半球での奄美では、2月初旬から3月末くらいまでがピークであって、今はまだ時期的には少し早い。

 

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日が傾き、請島に雲間からの斜光が降り注ぎ、美しい光景を見せてくれた

 

2月末にもまた奄美を訪れて、ホエールリサーチを行う予定でいる。

(取材協力/マリンステイション奄美)

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PROFILE
慶応大学文学部人間関係学科卒業。
産経新聞写真報道局(同紙潜水取材班に所属)を経てフリーのフォトグラファー&ライターに。
以降、南の島や暖かい海などを中心に、自然環境をテーマに取材を続けている。
与那国島の海底遺跡、バハマ・ビミニ島の海に沈むアトランティス・ロード、核実験でビキニ環礁に沈められた戦艦長門、南オーストラリア でのホオジロザメ取材などの水中取材経験もある。
ダイビング経験本数5500本以上。
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