どこまで知っている? イルカの豆知識10
AFP通信からこんなニュースが出てきました。
ロシア政府は9日、軍用目的でイルカ5頭を購入する方針を明らかにした。
出典:http://www.afpbb.com/articles/-/3079889
水族館で大人気のイルカ。
もちろんその賢さは誰もが知るところではありますが、軍用イルカなんているんですね!
実は軍用イルカ、今に始まったものではありません。
アメリカと旧ソ連の両国はイルカの軍事利用を盛んに研究していた過去があり、アメリカ海軍では現在でもダイバーの救助、及び、機雷の探知等にイルカやアシカ達が活躍しているのです。
『そんなことをしたらかわいそう』という意見もあるかとは思いますが、軍用犬が一般化していることを考えると、同じこととも言えるかもしれませんね。
ところでそんなイルカ、人間との関わりが深いようにも思いますが、あなたは本当のイルカのこと、どこまでご存知でしょうか!?
どこまで知ってる?イルカ豆知識
①クジラとの違い
イルカとクジラ、どちらも海獣の代表格ですが、違いはどこにあるのでしょう?
答えは、大きさ。
分類学上イルカとクジラに差はなく、日本語や英語の場合は概ね4mを境に大きいものにクジラ、小さいものにイルカ、という名前がついています。
ちなみに分類学上シャチもイルカの仲間です。
体長は4mを超えるのですが、シャチだけはなぜかクジラとは呼ばれず、別グループかの様に呼ばれていますね。
②モーレツ社員垂涎!身体の半分ずつ眠ることができる。
イルカは右脳と左脳を交互に眠らせるという特殊能力を持っています。
つまり個体として完全に寝ている時間は無い、ということです。
1964年にイルカが片目で泳ぐことが初めて発見され、70年代にロシアの研究者が発表、その後も脳の半分ずつ細切れに睡眠を取っていることを示す研究結果が多く発表されています。
人間でも実践する研究を行っている機関もあるそうですが、人間にはなかなか難しいようです…残念。
ちなみに眠るときはある方向に回転しながら眠ることが知られているのですが、この方向は北半球なら反時計回り、南半球なら時計回りと決まっているのだとか(※諸説あり)。
なんとも不思議ですね。
③漁船顔負け!超ハイスペックソナー。
イルカが音波を利用することはよく知られているかもしれませんね!
その音波を使って、反射した音からエサなどの形を掴むことができます。
このソナー能力が機械も叶わないほどのものなので、冒頭の軍用イルカのような活躍が期待されるわけですね。
ちなみにこの音波を強く発した物を使って小魚を気絶させることもあるとか…
さながら、かめはめ波ですね。
④イルカにも言語!?驚異的なコミュニケーション能力
ソナーとして利用する音波は、もちろんコミュニケーションとしても使用されています。
英セントアンドルーズ大学の研究チームが2013年にProceedings of the National Academy of Sciencesで発表した論文によると、ハンドウイルカは個体特有の音を持っており、その音を名前の様に利用しているのだそうです。
なんでも仲間のイルカが自分を示す音を発した時にだけ反応するのだとか。
超音波を含めて膨大な種類の音を使い分け、エサの特徴を仲間に伝えることも出来るという説もあるなど、イルカのコミュニケーション能力は常に研究の対象となっています。
⑤発達の代償?イルカ社会にもイジメが…
すぐれたコミュニケーション能力を持つイルカですが、やや悲しい方向にも発達しています。
イルカ社会にも弱い者いじめの様に、同種の小さい個体や弱った個体に噛みつく、という行動が見られるのだとか…
群れで行動する以上、共通の敵を作ることで結束力を作る、また劣った個体を排除することで種の質を保つという考え方もあります。
論理的には理解できるのですが、イルカファンの方々には受け入れがたい事実かもしれませんね…
⑥お母さんに怒られるよ!食べ物で遊ぶ。
ちくわをストローにしておでんの汁を飲み、怒られた経験は皆さんにもおありでしょう。(無いですかね。)
イルカはエサとして魚を食べるだけでなく、おもちゃとして弄ぶことがあるのだとか。
さらに、遊んだ後は食べずに捨ててしまうことも…
他にもクラゲをボールのようにして遊んだり、環境への問題は心配なものの、ビニール袋のゴミで遊んだりすることがあるそうです。
ビニール袋で遊ぶ様子は2015年10月にOcean+αの越智カメラマンが取材に行った際にも見られた光景ですね。
⑦時にはアブナイ遊びも…フグ毒でトランス状態に。
猛毒で知られるフグの毒。
微量であれば麻酔作用があるのですが、これを利用してアブナイ遊びをしているのだとか。
2014年、英BBCの海洋ドキュメンタリー番組で、フグを甘噛みしたり弄んだりしたりして、僅かに放出された毒によって恍惚とも言えるような表情で海面に浮かぶ姿が捉えられているそうです。
⑧鋭い歯はハリボテ?エサはいつでも丸飲み。
イルカは肉食獣。口には鋭い歯が生えています。
その本数は種類によって数本~100本以上と差がありますが、エサを食べる時には歯を使わずに丸飲みにします。
ではいつ歯を使うのかというと、鋭い歯はエサになる魚を仕留め、逃がさないために生えているんですね。
⑨現代の陸上動物でもっとも近いのはカバ。
これは意外なのでは無いでしょうか。
確かにカバは水辺に暮らす動物ですが、イルカのスマートなフォルムと、カバのずんぐりむっくりした体型は似ても似つかない…カバに怒られますね。
1990年代頃から分類系統的にはカバと近いことが示唆され、東京工業大学の二階堂准教授が1996年にクジラ(イルカ)とカバの詳細な系統を明らかにしました。
その後も次々とこれを支持する研究結果が発表され、ウシやカバが属する偶蹄目は、今では鯨偶蹄目、とすることが一般的となっているほどです。
実はカバも音を使ってコミュニケーションを取ることが知られており、そういわれると確かに祖先が同じと言われれば納得が行きますね。
⑩人間の生活には8000年前から関わっている。
世界各地の貝塚からイルカの骨が見つかっているそうです。
食用とされたほか、食べた後の骨は狩猟道具などに利用されていたのだとか。
日本では縄文時代、約8000年前の遺跡からもイルカの骨が発見されているそうです!(千葉県稲原貝塚)
それにしても昔の人は食べた後の骨まで道具にするとは、本当に頂いた命を大切に扱っていた様ですね。
皆さんはいくつご存知だったでしょうか?
そんなイルカに直接会いたい!
日本では石川県能登島のイルカや伊豆諸島御蔵島のイルカが有名です。
この夏、ぜひ会いに行ってみてはいかがでしょう!?
また、Ocean+αでもドルフィンスイムツアーやドルフィンスイム講習会を企画しているので要チェックですよ!
(文・写真/細谷 拓)