ダイビング教育機関「SSI」と大地自由潜水倶楽部が提供するフリーダイビングコースとは?セリーナがレポート!
静寂に包まれている水中は、喧騒と情報に揉まれる現代社会から、解放される神秘的な場のように感じる。この心地よさやリラクゼーション効果をより強く得るために、水中でより長く泳ぎ、より深く潜りたいと思う人も多いだろう。そんな思いを具現化できるスポーツとして人気が高まってきているのが、「フリーダイビング」だ。フリーダイビングは、心身のリラクゼーションだけでなく、技術向上を追求する競技性の側面もあるという魅力を兼ね備えている。一方でこのフリーダイビングを安全に行うためには、ダイビング指導団体が提供する適切な知識やスキルが必要だ。
今回は、フリーダイビングコースを提供するダイビング教育機関「SSI(Scuba Schools International以下、SSI)」に所属する大地自由潜水倶楽部のオーナーの陳大地さん(以下、大地さん)の講習を、筆者であるocean+α編集部のセリーナが実際に受けて、SSIのフリーダイビングコースの特徴を紹介したいと思う。以前、ocean+αでは「フリーダイビングを始めたい方は知っておくべき、代表的な競技種目2つをわかりやすく紹介【連載vol.08】」という記事で、SSIのフリーダイビングについて触れたが、今回はさらに詳しくSSIが提供するフリーダイビングコースの特徴を掘り下げていく。
50年の歴史を持つSSIとは?
SSIは、1970年にアメリカで設立され、世界中150カ国以上に3,500以上のトレーニングセンターとリゾートを持ち、10万人以上ものプロフェッショナルが所属しているダイビング教育機関。ダイビングの楽しさはもちろんのこと、技術習得と安全性を特に重視しており、フリーダイビングをはじめとするさまざまなダイビングコースを提供。フリーダイビングコースでは、高品質なトレーニング、厳格な基準、最新の教材を一貫して提供し、学習の効率と安全性を確保。世界的にもフリーダイビング教育のリーダーとして知られている。
また、「MySSIアプリ」を活用することで、書類の管理から、理論学習、実践トレーニングまでをスムーズに行うことができるようデジタル化を積極的に取り入れている。このアプリを通じて、学習内容の復習や進捗管理が簡単にできる点も大きな魅力だ。
レベルに応じてステップアップしていけるSSIフリーダイビングコース
ここからは、これからフリーダイビングを始める人や、新たなスキルを身につけたい人に向けて、SSIのフリーダイビングコースがどのようなものかを詳しく紹介していこう。初心者から上級者まで幅広いレベルに対応しており、以下のようなコースが提供されている(一例)。
SSI Try Freediving
入門コースである「SSI Try Freediving」では、4〜5時間の講習で、基本的な呼吸技術、耳と副鼻腔の均衡方法、リラクゼーション技術、効果的なフィンキック技術など安全にフリーダイビングをおこなう上で最低限必要な知識とスキルを学ぶ。
•深度制限:5m
•前提条件:特になし。10歳以上であれば誰でも参加可能。
•承認されるための必要条件:学科セッション、および少なくとも1回の水中セッションと評価を完了すること。
2024年9月7日(土)にSSI Japan主催の「SSI トライ・フリーダイビング講習会」を特別価格で開催!
•イベント名:「SSI トライ・フリーダイビング講習会」
•開催コース:Try Freediving
•日時: 2024年9月7日(土)9時集合
•場所:真鶴(琴ヶ浜)限定水域(水深5m)
•対象者:フリーダイビングに興味がある初心者
•参加費: ¥8,000(税込)の特別価格(通常価格は28,900円)
(含むもの:施設使用料)(含まないもの:器材レンタル代、ランチ代)
•内容:
-学科セッション(2時間)
-限定水域でのフリーダイビング体験(2時間)
-ランチ&質疑応答(1時間)
•持ち物:参加費、ランチ代、水着、タオル、飲み物
•特典:
-先着でフリーダイビング用のフィンとマスクとシュノーケルを無料で貸し出し。
-SSIトライフリーダイビング承認カードの発行。
SSI Basic Freediver
このコースは、6〜8時間の講習でプールや限られた水域でのフリーダイビングを安全に行うための基礎を学ぶもの。オンライン学習と実際の水中練習が組み合わさったプログラム。
•最大深度:5m
•前提条件:特になし。10歳以上であれば誰でも参加可能。
•認定されるための必要条件:学科セッション、呼吸セッション、2回のプール/限定水域セッションまたは1回のプール/限定水域セッションと1回のオープンウォーターセッションを完了すること。
SSI Freediver
3日間(16〜20時間)のプログラムで、20メートルまでのフリーダイビング技術を習得。耳抜き、効率的な体の位置とフィンキック技術、酸素レベルと二酸化炭素耐性の管理方法、リラクゼーション方法、深いフリーダイビングのための緊急プロトコルなどを学ぶ。
•最大深度:20m
•前提条件:特になし。12歳以上であれば誰でも参加可能。
•認定されるための必要条件:学科セッション、呼吸セッション、2回のプール/限定水域セッション、2回のオープンウォーターセッションを完了すること。
SSI Advanced Freediver
4日間のプログラムで、30mまでのフリーダイビング技術を習得。フレンツェルによる耳抜き技術、フリーフォールの物理学と生物学、酸素レベルと二酸化炭素保持の管理、深いダイビングのためのメンタルフォーカスと感情のコントロール技術などを学ぶ。
•最大深度:30m
•前提条件:Freediver認定を受けていること、6回以上のフリーダイビングログ記録があること。15歳以上であること。
•認定されるための必要条件:学科セッション、ファイナルエグザム、ストレッチセッション、2回のプール/限定水域セッション、4回のオープンウォーターセッションを完了すること。
SSI Performance Freediver
アマチュアの中では最高レベルとなる本コース。5日間(32〜40時間)のプログラムで、40mまでのフリーダイビング技術を習得。マウスフィルによる耳抜き技術、より深いダイビングのための専門的な呼吸方法、緊急管理とレスキュープロトコル、深度適応の生理学などを学ぶ。
•最大深度:40m
•前提条件:Advanced Freediver認定を受けていること、30回以上のフリーダイビングログ記録があること。18歳以上であること。
•認定されるための必要条件:学科セッション、ファイナルエグザム、ストレッチセッション、1回のコーチングセッション、1回のマウスフィルセッション、2回のプール/限定水域セッション、5回のオープンウォーターセッションを完了すること。
SSI Freediving Instructor Course
プロフェッショナルとしての道を歩むための本コース。約9日間(70〜85時間)のプログラムで、フリーダイビングを教えるための指導技術を習得。教育理論、インストラクションテクニック、緊急対応プロトコル、ダイバーの安全管理方法、そして指導者としての倫理などを学ぶ。
•最大深度: 30m
•前提条件: Advanced Freediver認定を受けていること(または同等資格)、100回以上のフリーダイビングログ記録があること、18歳以上であること。
•認定されるための必要条件: 学科セッション、ファイナルエグザム、実践応用セッション1-10の全ての必要条件及び評価に合格すること。
安全と技術向上を重視するSSIの教育方針とは?
今回、筆者であるocean+α編集部のセリーナはフリーダイビングを深く理解するのと同時にSSIの教育方針をよりよく知るために、SSI Freediving Instructor Courseを受講した。そして、このコースを担当してくれたのが、大地自由潜水倶楽部の大地さんだ。
SSIフリーダイビングインストラクタートレーナー(インストラクターを育成できるインストラクター)で、日本におけるSSIフリーダイビングの第一人者。もともとスクーバダイビングを入り口に海の世界に飛び込んだ大地さんだったが、パラオでイルカと泳ぎ、「いつかスキルしっかり磨き、野生のイルカと泳ぎたい」と強く思ったそう。それをきっかけにフリーダイビングに転身。フリーダイビングと親和性の高いヨガを学ぶためにインドに渡った経験も持つ。
大地さんはフリーダイビングが盛んなフィリピンといった国外で最新のフリーダイビング情報を学び、それを日本に持ち帰り、他のインストラクターが教えていないような細かい技術や最新の情報を提供することに力を入れている。大地さん曰く、記録を伸ばすことにおけるフリーダイビングレベルは、海外の方がアップデートされており、日本は遅れている部分もあるという。
ここで、私がSSIのフリーダイビングコースを受けたことも踏まえて、SSIのダイビング教育機関としての教育方針の特徴を見ていこう。SSIの教育方針は、生涯にわたるダイバーを育成するためにダイバーの安全性と技術向上を重視している。以下の要素がその中心となっている。
1、ダイバーダイヤモンド
SSIの教育は「ダイバーダイヤモンド」と呼ばれる独自の4つの重要な要素に基づいている。これらの要素が組み合わさることで、ダイバーが安全かつ自信を持って水中での活動を行えるようになるのだ。
•知識:正しい情報を学ぶことで不安や恐怖を取り除く。オンライン学習、家庭学習、伝統的なトレーニングなど、さまざまな方法で知識を提供している。
•スキル:ダイバーが実際の水中で必要な技術を身につける。これはインストラクターと受講生のインタラクティブなセッションを通じて学ぶ。
•経験:実際のダイビング経験を積むことで、技術と自信を向上させる。
•器材:適切なダイビング器材の使用方法を学び、器材の正しいメンテナンス方法も指導する。
2、繰り返しによる快適さ
SSIは、講習中にスキルを繰り返し練習することでダイバーが快適に技術を身につけることができると考えている。繰り返しの練習は、ダイバーが技術を自然に身につけ、実際のダイビング時に自信を持って行動できるようにするための鍵となる。このアプローチにより、ダイバーはスキルを無意識にできるようになり、たとえ新しい状況や環境でも柔軟に対応できる技術を習得できるのだ。
3、高い安全基準
SSIは安全を最優先に考えており、すべてのトレーニングプログラムに安全プロトコルを組み込んでいる。緊急時の対応方法や装備の正しい使用方法を学ぶことで、ダイバーは万が一の事態にも対応できるようになる。また、最新の安全基準や技術の更新も常に行われており、ダイバーは最新の情報に基づいた安全なダイビングを実践できる。
4、デジタルラーニングでトレーニングを効率的に
「MySSIアプリ」内にあるデジタル学習リソースを活用することで、ダイバーが自分のペースで理論部分をリモートで完了することができ、効率的かつ便利に学習を進められる。事前に学習しているから、水中セッションへもスムーズに移行することができる。
5、環境保護への取り組み
SSIは環境保護にも力を入れており、トレーニングプログラムの中で持続可能なダイビングプラクティスを教えている。ダイバーが海洋環境を保護するための知識を深め、実践的な行動を促す教育を行っているのだ。
これらの要素を通じて、SSIはダイバーに対して包括的で質の高い教育を提供し、世界中で信頼されるダイビング教育機関としての地位を確立しているのだ。
SSIのフリーダイビング教育を大地さんから受けてみて
SSIのフリーダイビングインストラクターコースを通じて、大地さんから直接指導を受けたことは、SSIの教育方針を理解することはもちろんなのだが、フリーダイビングの記録を向上させたい私にとって非常に貴重な経験だった。大地さんの教え方は非常に丁寧で、フリーダイビングに関する知識や技術が非常に豊富だと感じた。特に、呼吸法や耳抜き技術、フィンキックの効率的な方法など、実践的かつ理論的な裏付けがしっかりしているため、なんとなくではなく、理論的に理解することができ、自信を持って実行することができた。
また、フリーダイビングは少なからず危険が伴うのも事実。SSIの教育方針でもダイバーの安全を徹底していることもあり、大地さんからも安全管理については繰り返し学んだ。フリーダイビングを始めようと思う人も、SSIや大地さんのもとで、フリーダイビングを安全に楽しむための基盤を築くことができるはずだ。
興味のある方は、ぜひ大地さんのショップでコースに参加してみてください。初心者から上級者まで、すべてのレベルのダイバーが安心して学べる環境が整っています。
フリーダイビングに興味がある方や、すでに他の指導団体でフリーダイビングを始めていてさらにレベルアップしたい方など、ぜひこの機会にSSIで挑戦してみてはいかがだろうか。
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あとがき
このインストラクターコースを受けたことをきっかけに、今までフリーダイビングのプール競技をメインでやってきて日本代表入りも果たすことができた私だが、海でのフリーダイビングの楽しさに改めて気付かされ、大地さんからの指導を仰ぎ練習中。目標は、2024年時点で日本人の女子選手でまだ3人しか到達したことのない水深100m。大地さんから指導を受け、挑戦中!