水中写真家・茂野優太の「GO DIVE!~大瀬崎から世界の海まで~」(第2回)

小笠原のダイビングベスト3はコレだ!!圧倒的魚影に大物三昧で楽しむ、ワイドな海の見どころランキング

この記事は約7分で読めます。

こんにちは!水中写真家のしげです!

前回から連載、水中写真家・茂野優太の「GO DIVE!~大瀬崎から世界の海まで~」が始まりました。第2回となる今回は、東京から船に乗ること24時時間、東洋のガラパゴスとも言われる小笠原諸島の父島に旅してきたので、そのレポートをお送りします!

早速ですが、みなさん、小笠原の海ってどんなイメージでしょうか?

魚影がドーーン!!
壁のように魚が群れ、大物うじゃうじゃ!

こんなイメージでしょうか?

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文字通り、壁のように群れるウメイロモドキとアタックするカンパチ

正直、僕は小笠原に来るまではワイドはあまり好きじゃなかった。完全なマクロ派ダイバーでした。

なぜなら、ワイドはとにかく当たり外れが大きい。光の加減や魚の動きによって写真が撮れなかったり、そもそも魚がいない可能性も。
流れによってはダイビング自体が難しい時もありますね。

しかし!
今回の小笠原旅で価値観が180°変わりました!

とにかくワイドは冒険要素が強いんです!良い時もあれば悪い時もある。そういう不確実性があるからダイビングって楽しいし、辞められないんだな。ダイビングはレジャーであり冒険なんだなと改めて実感しました。

そんな僕にワイドの魅力を気づかせてくれた小笠原の海。その中でも特に感動して心が動いた、ワイドな海ベスト3を【魚影編】【大物編】に分けてご紹介していきます。

群れ群れ!小笠原で感動した【魚影編】ベスト3

まずは小笠原で見つけた魚が、群れに群れている光景です。今回訪れた2月は水温も低く、1年でも魚が少ない時期だというから末恐ろしい。

第3位 ヨスジフエダイを中心に多種多様な魚ぐっちゃり!

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「北一つ岩」でダイビング中ずっと見られた根魚たちの群れ

小笠原ではヨスジフエダイやアカヒメジ、ノコギリダイなどの根魚がめちゃくちゃ多いんです。しかも、それぞれ違う場所に固まっているわけではなく、写真のように1か所にぐちゃっといることが多いんです。違う群れがぐちゃぐちゃと混じっている多様性は、小笠原諸島の特徴の1つです!

第2位 日本では珍しいアジアコショウダイ玉

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同じく「北一つ岩」で出会ったアジアコショウダイの玉

日本でアジアコショウダイがこんなに群れている場所は珍しいですね。今回は流れが緩やかなタイミングだったため、まとまりが悪かったですが、潮ががかるともっと塊になります!

色合いは地味ですが、カラフルな魚の多い沖縄の海と違ってまた渋みが出てますね。反対側が見えないくらいぎゅっと固まっていて見応えがありますよ!

第1位 巨大な壁のよう“ウメイロウォール”

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小笠原の有名ポイント「ドブ磯」の水路を出たところに群れていたウメイロモドキ

やっぱり魚影部門No.1はこれでしょう!まさに壁といっていいほど数多く、そして密集したウメイロモドキの群れ

ウメイロモドキの鮮やかなブルーが、小笠原の深く濃いボニンブルーの海に調和し、非常に美しいグラデーションを魅せます。

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ヒレナガカンパチのアタック

ヒレナガカンパチがウメイロモドキにアタックするたびに、群れの形を変幻自在に変え、華麗に逃げます。巨大な壁と表現しましたが、風に揺られるカーテンのように自由自在に動き、“ウメイロカーテン”のほうがしっくりくるかもしれませんね。

とにかくデカい!小笠原で感動した【大物編】ベスト3

先程の、ウメイロモドキにアタックするヒレナガカンパチもかなり大きかったですが…小笠原の大物は、そんなもんじゃないです。

1番小さくても1m超え、第1位はまさかの10m超え。
そうです! ダイバーの憧れ! あの生物と水中で対峙しています。

第3位 優雅に泳ぐイソマグロの編隊

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「ドブ磯」で出会ったイソマグロ!実はウメイロモドキの群れのすぐ近くにいた

夏のケータ列島で有名なイソマグロ!正直、冬は期待薄とのことでしたが、まさかの大当たりでした。
恐るべし小笠原です。ホントに次から次へと驚く光景が続きます。

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水路の影に身を潜めるイソマグロ

最初は「ドブ磯」の岩と岩の間の水路に隠れていたのですが、僕らが通るとスーーッと逃げてしまいました。この水路は波が磯を洗っていて、水しぶきが雲のようになり、地形ポイントとして非常に美しいんです。

欲を言えば完全に水路の中で撮りたかったですが、それでも全部で12匹のイソマグロに会えただけで、もうラッキーですね!

第2位 2m級!人より大きいシロワニ

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港から出て5分で着く「エダサンゴ」で見られたシロワニ

冬の小笠原の風物詩といえば、シロワニでしょう!大体12月頃から3月頃まで、船の出る二見港がある湾にシロワニが集まってきます。このタイミングがシロワニの遭遇率が非常に高く、多い時は5~6体がウロウロしてることも。

意外かもしれませんが、冬ならシロワニは狙って見ることができるんです!

シロワニは洞窟の中に居着くことも多く、今回も「マルベエ」という大岩が重なり合うようにできた地形ポイントを潜っている際にシロワニに出会えることが出来ました!

狙って見るのもいいですが、偶然出会った時の驚きはすごいものがあります。

ちなみにシロワニは、人を襲うことはほぼないと言われ、非常に温厚な性格をしています。

第1位 奇跡の遭遇!ザトウクジラ!

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「スターライトパレード」というポイントでガイド中に出会った、ザトウクジラの若いオスのペア

まさかの奇跡は起こったんです。

ダイビング中にザトウクジラに出会ってしまいました!

この日はガイドで潜っていたため、一眼の写真はなし。

最初は普通のダイビングをしていたのですが…。
エントリー10分後くらいに、体が震えるくらい大きなクジラの声が響き渡りました。
あまりの大きさに、チーム全員が驚くほど。

えっ!?って思うと……
その直後、とてつもなく大きなベルの音が鳴り響きます。

ガイド仲間のPAPASのエリカさんがベルを鳴らしながら、猛ダッシュしています!

まさかと思いながらもチームを引き連れながら近寄ると、2頭のザトウクジラのペアが登場!なんとかチーム全員が追いつくと、クジラは優雅に泳ぎ去っていきました。

水中で見るクジラのあまりの神々しさにカメラを構えることもせず、茫然としてしまいました。ふと冷静になった時に、クジラが見れた興奮とシャッターチャンスを逃した悔しさとで複雑な気持ちに。

が、しかし!

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ぶつかるかと思う程、近寄ってきたザトウクジラ

なっなんと戻って来たんです!!
まるで品定めをするように、じろっと大きな目で僕らを観察しています。

ホントに水中で目が合うんです。自分より大きな生物と対峙したのは初めてで、全身鳥肌が立ちました。

クジラに認められたのか、その後20分間くらい、僕らをからかうようにぐるぐると泳ぎ続けました。あまりにも近すぎて危ないので、写真よりもチームをまとめることに必死という(笑)

こんなことは、30年近く小笠原の海を見続けて来たPAPASの代表の星野さんも初めてだということ。

それくらいの奇跡に遭遇したことを改めて実感します。

 24時間の船旅をしてでも
潜らなければならない海がある

小笠原諸島に行く唯一の方法は船です。1週間に1便、最短でも24時間かかる。しかも内ほとんどがスマートフォンの電波も入らないような状況での船旅です。

やっぱり他のダイビングポイントに比べて、訪れるのにハードルが高くなります。

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しかし、小笠原には1度訪れたら絶対に好きになる大自然が待っています。

小笠原諸島では日本で1番最初にホエールウォッチングのルール作りをしたり、船のアンカーは禁止にしたり、内地の動植物を持ち込まないためのさまざまな工夫をしています。小笠原の大自然は多くの自然を愛する人の手によって守られています。

僕はそんな自然に対して紳士的な小笠原の人々、そして小笠原の大自然が大好きになりました!

そして、ワイドな海の魅力や、自然と対峙することのすばらしさを、改めて教えてくれてありがとう。これからは、ワイドの写真もガンガン撮って行きます! 乞うご期待!

今回お世話になったショップ
パパスダイビングリゾート

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パパスダイビングスタジオはダイビングだけでなく、リゾートからナイトツアーなどのアクティビティ、カフェまで小笠原の滞在中に必要なすべての設備、楽しみを兼ね揃えています。ダイビング部門を率いる店長の航星さんは、PADIのコースディレクター。ダイビング中にスキルのアドバイスを的確に行ってくれるため、小笠原の海を楽しむだけでなく、スキルの上達も期待できるかも!実は航星さんは学生時代のダイビングサークルの先輩で、個人的に古い仲なのです。

ダイビング船のパパスアルファにはドライエリアも完備されています。
寒い冬の時期のダイビングでも、快適に小笠原を楽しむことができますよ!

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PROFILE
「まだ見たことない世界を見てみたい」をモットーにダイビングに関わることは、なんでもこなす。
学生時代にダイビングにハマり、銀行員に就職するもダイビングの魅力が忘れられず、ダイビングの世界に。

■「しげのゆうたの旅ぶろぐ
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