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水中写真家・茂野優太の「GO DIVE!~大瀬崎から世界の海まで~」(第7回)

僕らは“奇跡の海・ラジャアンパット”を見せられている!?ベストタイミングで奇跡に導く、ダイビングガイドの凄み閲覧無制限

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行ってきたレポ

僕らは奇跡の海
“ラジャアンパット”を見せられている!?

“奇跡の海”と讃えられるインドネシア珠玉のダイビングポイント・ラジャアンパット(以下、ラジャ)。
このラジャ、僕が修行時代を過ごした思い入れの強い場所でもあります。

ラジャの海が、複雑な流れにより、海況の把握が難しいことはご存知でしょうか?
今回、改めてラジャに行き……、ベストタイミングで水中へと案内してくれるダイビングガイドの方々がいるからこそ、奇跡の海と言わしめるほどの光景を目にすることができるのだなと気がつきました。

そう、僕らは奇跡の海“ラジャアンパット”を見せられているのかもしれません。

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ラジャアンパットに半年間こもった日々

改めまして、こんにちは!
水中写真家の茂野です。

先述の通り、僕は、今から4年前、銀行を辞めてダイビングの仕事に本格的に挑戦する前に、このラジャアンパットの海で修行をしていたんです。

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地形や魚の特徴を書いたり駆け出し感満載のログブック。まだ1073本しか潜っていない頃

この当時はまだ水中写真も全然撮れないのに……

「水中写真家になりたいです。半年間ラジャの海で働かせて下さい。」

とか言ってインドネシアの海に飛び込んでしまう若気の至り真っ盛りでした。

編集部注)今もあまり変わっていない気が。

当時は朝からナイトまで1日5本とにかく潜りまくっていました。

そんなラジャの海に潜り込んだ僕が、改めて水中写真家としてラジャに訪れて1番、読者の皆様に伝えたいなと思ったことがあります。

それは魚が壁のように群れる光景でも独特の固有種でも圧巻のサンゴでもありません。

ただ誰よりもラジャの海を愛し、誰よりもラジャの海を魅せることにこだわった唐澤さん率いるダイブドリームネシアの姿でした。

時に強く流れる潮流の激しいエリア

まるで生物が交差するように多種多様な生物が混じりあい、世界に生息する2/3以上のサンゴが見られ、未だに新種が発見され固有種の多い独特な生態系を持ちます。

ラジャの海は本当にすごい。
これは訪れたダイバー全員が口にする言葉かもしれません。

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魚圧という言葉がピッタリなダイバーに突進してくるかのようなタカサゴの群れ。

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浅場の美しいサンゴの群生。世界の3分の2のサンゴがこの海には生息する。

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海底を歩くことで有名なラジャエポーレットシャーク。独自の進化を遂げた固有種が多い。

この、ラジャのあるインドネシアは、赤道付近で強い海流が発生しやすい上に島が多く潮がぶつかり複雑に入り交じることが特徴です。

この複雑な流れがあるからこそ栄養が豊富に流れ込むことが間違いないのですが、1歩間違えると流れに飲み込まれ、とにかく辛かったダイビングになってしまう可能性があります。

また逆に流れていないと魚が散らばってしまって奇跡の海と呼ばれるようなラジャらしい景色は見れません。

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大きなウチワが強い流れによって曲がっている

この難しい選択で、出来るだけ流れのないタイミングでベストな魚影を魅せてくれるのがダイブドリームインドネシアなんです。

毎ダイブ必ず潮汐のデータを残している資料

毎ダイブ必ず潮汐のデータを取っている資料

オーナーの唐澤さんはインドネシアの海に潜って20年以上、そして日本にラジャやコモドの海を知らしめたパイオニア的存在です。

その唐澤さんの蓄積したデータが他のスタッフにも共有され、いまだにシーズンごとに微妙に変わる潮に対応するため毎ダイブ後に流れの方向や強さを潮汐表と合わせ照合しています。

このデータの蓄積こそが、ベストタイミングでダイビングが出来る理由!

それに加え、唐澤さんやスタッフの方々は、最後は実際に目で見て確認をするそうです。

緻密な計算と経験から最高の状態で届けてくれるガイドがいること。
ダイビングをするのに最高な環境を整えているクルーがいること。

この存在こそが、ラジャアンパットを奇跡の海と言わしめるのでしょう。

ガイドのジョリーがカレントチェックをする様子

ガイドのジョリーがカレントチェックをする様子

ダイブドリームインドネシアではダイビングを始める時間が大体13時からなど、ゆるく決められています。

というのも最高のタイミングでダイビングを始めるため30分前からガイドがカレントチェックに入り初め何度も確認しながら流れの止まるタイミング、だけどまだ魚がバラけていないタイミングを見極めるのです。

そしてベストなタイミングが来たらウエットスーツに着替えてエントリーする、これがクルーズ流のラジャアンパットの潜り方なんです!

快適な船の上にいるからこそ時間を気にせずエントリー時間を自由に変えられる。そしてエントリーした瞬間から魚に囲まれるこんな贅沢ないですよね。

ちなみにガイドのジョリーのカレントチェックについていった時には「流れはないんだけど魚がいない。違うポイントも見よう」といって3箇所くらい見て回ってどこに魚が集まっているかも合わせてチェックしていました。

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エントリー直後に現れたイエローフィンバラクーダの群れ

この地道な努力とデータの蓄積、そしてガイド陣のラジャの海を魅せたいというアツい気持ちがある。

だから僕らは奇跡の海と呼ばれるラジャアンパットを体験することができているんだなと実感しました。

ラジャアンパットは伝統的な帆船スタイルで

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インドネシアの伝統的な木造船、ペニシスタイルのダンシングウィンドウ号

このクルーズ船がカッコいい!

まるで海賊船のような見た目のこの帆船は、ダイブドリームインドネシアのクルーズでも利用されることのあるダンシングウィンドウ号です。
普段はハティク号という船になる場合が多いのですが、今回はダンシングウィンドウ号でした。

正直、木造船は普通のクルーズ船よりも速度が遅いし、どんなに新しい船でも大雨にあうと水漏れする可能性があります。

しかし、ダイブドリームインドネシアではインドネシアの海を味わうには伝統的な木造船のスタイルがいいと強いこだわりを持って木造船を利用しているそうです。

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船の先端から全体を見渡した写真

晴れた日にデッキに立って外を見渡すと本当に冒険をしているようで、めちゃくちゃ気持ちいいんです。

こんな感じの景色の中を進んでいきます。

ラジャアンパットのお勉強

ラジャアンパットとはインドネシア語で「4人の皇帝」という意味です。
ラジャアンパットは4つの島からなるエリアでその島ごとに4人の王が治めていたという伝説が残っています。

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ラジャアンパットの環境について説明するミキさん

こういったラジャアンパットにまつわる歴史や、奇跡の海と呼ばれる由縁を大陸移動や氷河期による海面の上下までさかのぼり解説してくれます。

こういうローカルの情報を知ってから潜ると水中で納得できる光景や島ごとに海がガラッと変わる理由がわかり、楽しいだけでなく学びにもなります。

ただし、この環境ブリーフィング長いことでも有名です。
オーナーの唐澤さんがやる場合、1時間を越えることも……笑

でもそれだけこの海を知ってほしい、この海の魅力を伝えたいというアツい思いがじわじわと伝わってくるんです。

ちなみに毎ダイビング見どころや、今回見れる生物の豆知識なんかもスライドを使ったブリーフィングで紹介してくれるのでラジャの海の知識がなくても帰る頃には、他人に自慢したくなるくらいラジャの知識が付いちゃいますよ!

ワイドだけじゃないマクロも面白いラジャの海

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ラジャアンパットコーラルゴビーというラジャの固有種

ラジャアンパットの海といえばよくバラクーダやギンガメアジにブッラクマンタや、カーペットシャークなどワイドなイメージを持っている方が多いですが、実はマクロも超面白いんです!

そりゃ固有種も多くて独自の生態系を持つとか説明してるのにマクロが面白くないわけないんです。

例えば上のラジャアンパットコーラルゴビーなんかは一見すると普通のオヨギイソハゼと違って尾びれの手前に黒点が2つあるんです。

こういう地味な違いを持った固有種は本当に多い。
(なぜかは実際にクルーズに乗ると説明してくれるので行ってからのお楽しみに。)

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ラジャアンパットの島の名前が付いたバタンタドティバック(固有種)

バタンタ島というラジャアンパットの島で初めて見つかったので、その島の名前が付いたメギスの仲間です。

ラジャの海にはメギスの仲間が多く他にもスプレンディッドティーバックやフロッピーテイル、サンギヘドティバックなど美しいメギスが多いです。

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イエローディップドダムゼル(固有種)

ラジャの海には多いけど、他の海にはあまりいない個体を準固有種なんて表現して紹介されることも。
イエローディップドダムゼルはその名の通り、体の半分を黄色いペンキにディップ(浸ける)したような模様からそう呼ばれています。

今紹介した固有種なんかは特別めずらしいわけでもなく、クルーズに乗った1本目のチェックダイブのポイント(流れのない内湾の浅瀬)で普通に見れるんです。
この見どころの多さがラジャアンパットの魅力でもあります。

ニシキテグリの色違いピクチャードラコネット

ニシキテグリの色違いピクチャードラコネット

もちろん、ちゃんとわかりやすい人気者もいます!
カニハゼやマンジュウイシモチ、ジョーフィシュやピグミーシーホースなどなど。

でも、みんなラジャの海に来ると人気生物よりもこの海にしかいない独特なマクロ生物に夢中になります。
このマクロも楽しめるのは、やはりラジャの海に長年潜っているガイドだからこそ知っている魅せ方があるからですね!

 それでも奇跡が起きないことも……

ラジャといえばパッセージと言われるほど有名なポイントがあります。
マングローブの隙間から入る木漏れ日が非常に美しく、ナショジオやNHKの特集でもトップを飾った場所です。

しかしこのポイントに僕が行ったときは、ずっと雨……

雨の日のパッセージの現実

雨の日のパッセージの洞窟…やはり光が足りない。

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ソフトコーラルに木漏れ日が当たって美しいハズの景色

こんなに太陽が出ていることが大事なポイントでずっと雨だったんです。

クルーズディレクターのミキさんも天候を見ながらパッセージの日をずらしてくれたり、近くにボートを止めて雲がなくなるのを待ってみたり最大限の努力はしてくれたのですが、晴れる気配は一切なし。

パッセージにめちゃくちゃ多いギンガハゼ

パッセージにめちゃくちゃ多いギンガハゼ

そんな時はマクロに転向!

パッセージは実はマクロもめちゃくちゃ面白くてホヤが多くカラフルな背景やウミウシ、そして砂地には共生ハゼ…
珍しいところだと、口から吐いた水で虫を落として捕食するテッポウウオなども見れちゃうんです!

いやっ……
でもやっぱり悔しいです。

エキジットしたあと、あまりの天気運のなさに「しげちゃん持ってないね〜雨のパッセージ潜るなんて数年ぶり…」と言われてしまいました。笑

悔しいので来年また行ってきます。

おわりに

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自然のことに絶対なんてない。

人間に出来ることは少ない。

だからといって何もできないわけではない。
最大限努力をすることによって不確かな自然と向き合い、それを魅せることが出来るかもしれない。

うまくいっても傲慢になってはいけない。
海に関わるものとして常に海と向き合い続けなければいけない。

こんな大事なことを僕に教えてくれたのがラジャの海でした。

ラジャの海の魅力については僕自身のブログでも紹介しています!
もし興味ある方いたら読んでみて下さい。

僕が世界で1番好きなラジャアンパットのダイビングの魅力を伝えたい

ぜひ皆さんも奇跡の海ラジャアンパットを体験しに来てみて下さい。

茂野優太さんのプロフィール

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「まだ見たことない世界を見てみたい」をモットーにダイビングに関わることは、なんでもこなす。
学生時代にダイビングにハマり、銀行員に就職するもダイビングの魅力が忘れられず、ダイビングの世界に。

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