水中写真家・茂野優太の「GO DIVE!~大瀬崎から世界の海まで~」(第5回)

西伊豆・田子の「フト根」が今旬! 秋限定の“桜吹雪”をダイビングで見に行こう

この記事は約6分で読めます。

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今、田子の「フト根」というポイントで密かにサクラダイのベストシーズンを迎えているのはご存じでしょうか?

サクラダイはまさに今産卵シーズン真っ盛り!
赤色のオスとオレンジ色のメスが、大量に乱舞します。

その光景はまさに、桜の花びらが舞っているかのよう
秋にしか見れない“桜吹雪”なんて、心惹かれない人はいないでしょう。

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こんにちは。
オーシャナ読者のみなさま!
久しぶりの登場、水中写真家のしげです。

前回の記事からかなり間が空いてしまいました……もう忘れてしまった方もいるかも?

楽しみにしてくれた方いましたら、泣きたくなるほど嬉しいです。
本当にお待たせしました!

さて、今回は、今ベストシーズンを迎える西伊豆・田子に潜ってきました。

サクラダイのオスがこんなに群れるのは秋から初冬までの間だけ!
今しか見られないこの景色、ぜひ見逃さないでくださいね。

サクラダイが群れるのはフト根

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田子で潜るならぜひ潜ってほしいポイントはここ「フト根」!

ボートで約10〜15分の外洋エリアにあります。
水深35m前後からそびえ立つトップが8mの根で、潮通しが非常に良いポイントです。

フト根には、ブイが設置されているのでロープ潜降をすることができますし、流れが強くなってきたら根やロープに掴まることができます。
ただスムーズに潜降する技術や中性浮力など、ある程度のスキルを身に着けてから挑戦することがオススメです!

根にはソフトコーラルがびっしり生え伊豆らしいカラフルな光景があり、そこにイサキやタカベなどの群れがぐちゃり! 
まさに、駿河湾の豊かさを感じることができるポイントです。

また、イサキやタカベを狙ってワラサやカンパチ、シイラなどが入ってくると、目の前で“捕食ショー”が繰り広げられ、圧巻の光景になります

サクラダイの群れが見れるタイミング

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このサクラダイのオスが群れている光景が見られるのは「フト根」の水深35〜40m前後のダイビングでギリギリ行ける水深です(深場なので初心者は厳しいです……)。

この「フト根」の深場にサクラダイのオスが群れるのは9〜11月(長くて12月)と、秋の間だけ。期間限定なのです。

また、時間帯も、午後はサクラダイのオスはメスを求めてせっせと求愛に勤しむため、群れにならず散らばってしまうそうです。
もちろん、サクラダイ自体は年中いるのですが、写真のようにギュッと小さくオスが固まって、撮影しやすくなるタイミングは少ないとのこと。

今回お世話になった田子ダイビングセンターの吉田さゆりさんも「秋の午前が確率は良いが絶対ではないし、それ以外にも集まっていることもあり、まだ群れるタイミングが完全にはわかっていない」とおっしゃっていました。

僕が潜ったタイミングは朝イチのダイビングでしたが、同じ午前中でも11時くらいがその日は1番集まっていたようです。
タイミングが難しいので現地のガイドと打ち合わせしながら潜った方が確率は上がるかもしれないですね

季節限定で一瞬しか見ることができない。
まさに、サクラが舞い散る光景と一緒ですね。

サクラダイのオスが群れるのは世界で田子だけ!?

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サクラダイはもともと日本の固有種ではないかと言われていました。
最近では台湾やパラオでも発見されましたが、それでも日本近海の種であることは間違いありません。

しかも、日本では沖縄などの琉球列島では確認されていません。
つまり、サクラダイが見られるのは、日本の中でも伊豆や和歌山などの西日本の沿岸のみ、限られた地域のみなのです

そのサクラダイ、しかもオスがここまで群れるのは田子くらいじゃないでしょうか?
僕が普段ホームグラウンドにしている大瀬崎もサクラダイは多いのですが、ここまで密集はしません。

田子独特の光景だと思います。

この田子ならではの景色を撮りに、海外からカメラマンが来たこともあるそうです。

浅場はキンギョハナダイ天国

「深場はちょっと……」とか「サクラダイが群れてるの見ても……」なんて思った方!

田子の海を侮ることなかれ!

サクラダイの群れは確かにすごいのですが、田子の海のすごさはそれだけではありません。

このキンギョハナダイの量を見てください!!
根が見えないくらいにキンギョハナダイがぎゅーーーっと固まってます。

しかも、ここ水深10m、比較的に浅いところで見られるのです!
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しかも、「フト根」は周りにキンギョハナダイの逃げ場がないので、ずっとこんな景色が目の前にあるのです。

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“360°キンギョハナダイに囲まれる”

そんな経験をしてみたい人は今すぐ田子に潜りに行ってみて下さい。

キンギョハナダイの群れで前が見えなくなってガイドを見失うなんてことがないように注意して下さいね(笑)。

魚影の濃さは日本トップクラス!

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サクラダイ、キンギョハナダイと続きますが、まだまだあります。
田子は、イサキやタカベ、メジナ、ニザダイ、スズメダイと伊豆らしい魚たちがぐっちゃり群れているのも特徴です。

とにかく、田子の魚影は伊豆でも随一、日本でもトップクラスの魚の密集度ではないかと思います。

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ちょっとうまくいきませんでしたが、ソフトコーラルとタカベを組み合わせてみようと挑戦。

あまり群れが良い位置に来てくれず苦戦しましたが、ぜひみなさん挑戦してみて下さい。
魚だけの群れの写真は多いですが、ソフトコーラルなどを絡ませられると一味も二味も変わった写真になってきます。

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もちろん不規則に動くイサキの群れなんかも良いですね。
この日は表層に青い潮が入っていて、水温も26度とホントに南国のような海でした!

ちなみにこの光景は安全停止中。
田子では最後の最後まで、魚に囲まれて潜ります。

 

おわりに

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「青い海で圧倒的な魚影に次々と囲まれる」

こんなすばらしい経験が東京から日帰りできる伊豆半島で見れます。
しかし、いつでもこんなベストな状態かというとそうではない。

秋だからこそ魚影が濃く海が青くなるんです。
今潜らないでいつ潜るんでしょうか!

ぜひ、ベストシーズンの田子の海、楽しんでみて下さいね。

 

■協力/田子ダイビングセンター

 

茂野優太さんのプロフィール

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「まだ見たことない世界を見てみたい」をモットーにダイビングに関わることは、なんでもこなす。
学生時代にダイビングにハマり、銀行員に就職するもダイビングの魅力が忘れられず、ダイビングの世界に。

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田子に関しては茂野さんのブログでも詳しくご紹介されています。
魚影抜群!田子のダイビングは魚も心も踊る一生忘れられない経験に!

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