沖縄ダイビング・シュノーケリングで会える海の生き物10選! 初心者〜上級者必見ガイド

②ウミガメの仲間3種

座間味島で撮影されたアオウミガメ。腹部に付く魚はコバンザメ

座間味島で撮影されたアオウミガメ。腹部に付く魚はコバンザメ

世界に7種ほどいるウミガメの仲間のうち、沖縄でコンスタントに見られるのは3種。

そのうちメジャーなのはアオウミガメとタイマイ。ウミガメの仲間はいずれも絶滅危惧種とされていますが、沖縄ではよく見られます。

アオウミガメは温帯にも適応し、最近は伊豆半島などでもしばしば見られますが、サンゴ礁が広がる沖縄のような暖かい海のほうがお好みのようで。
より暖かい水温を好むタイマイは熱帯性。しばしばアオウミガメと混同されますが、特徴である尖ったクチバシに注目すれば識別は容易です。このクチバシで、ガレキサンゴなどに付着したカイメンなどをつまんで食べる習性があります。ガレ場の海底にうずくまっているタイマイを見つけたら、静かに観察してみましょう。食事シーンが見られるかもしれませんよ。

3種目のアカウミガメはやや冷たい海を好むため、沖縄ではかなり珍しい。もし出会ったらラッキー!そっと見守ってあげましょう。

ウミガメについて徹底解説! 種類、生態、繁殖、保護活動まで

③サンゴと原色の魚たち

枝状サンゴを隠れ家とするデバスズメダイ

枝状サンゴを隠れ家とするデバスズメダイ

沖縄のダイビングポイントによくある浅いサンゴ礁や穏やかなインリーフは、のんびりフィッシュウオッチングをするには最高のシチュエーション。特に枝状サンゴの群落があったら、デバスズメダイの「カクレンボ」を見るチャンス。

デバスズメダイは4~6cmほどの大きさで、枝状サンゴ周辺に群れています。中層に泳ぎ出て、流れてくるプランクトンを捕食するシーンがよく見られますが、危険を察知すると一斉にサンゴの枝内に突入! さっきまで楽しげに乱舞していた青い小魚たちが瞬時に消える様は魔法のようです。

潮通しのいいサンゴ礁では、アカネハナゴイの乱舞も! 特に久米島や八重山諸島には大きな群れが見られます。
アカナハナゴイはハナダイの仲間で、大きさは8~9cmほど。しばしばオスが見せる、真っ赤な背ビレと長い腹ビレをパッ、パッと大きく広げる行動はメスへのディスプレイ(求愛行動)。複数のオスが競い合うように求愛するときなど、海中で火花が散っているようで見飽きません。

サンゴ周辺の原色の魚といえば、チョウチョウオの仲間も外せません。沖縄で見られる種類を挙げていくとキリがありませんが、注目したいのはサンゴのポリプを主食とするチョウチョウウオたち。
例えば、黄色のボディに青い墨を一筆乗せたようなスミツキトノサマダイやミカドチョウチョウウオ、ミスジチョウチョウウオなどが沖縄で見られる代表的なポリプ食の種類です。
サンゴを突いて食事をするシーンや、枝状サンゴの隙間に潜む幼魚を探すのも楽しいですよ。

アカネハナゴイのオス

アカネハナゴイのオス(写真/堀口和重)

サンゴのポリプを食べるスミツキトノサマダイ

サンゴのポリプを食べるスミツキトノサマダイ

④世界一美しい青いウツボ

ハナヒゲウツボの成魚(雄相)

ハナヒゲウツボの成魚(雄相)

「海のギャング」というイメージのウツボの仲間ですが、何事にも例外はつきもの。
ハナヒゲウツボというスレンダーな種類は、青いボディに黄色の顔という派手な「衣装」が人気。浅いサンゴ礁に生息し、岩の隙間や穴から顔だけをのぞかせています。細いけれど長さは1mを超え、たまに獲物を追ってかニョローンと上半身を乗り出すことも。

その美貌だけではなく、成長につれて体色が激変&性転換することでも知られています。幼魚のときは全身が黒いのですが、成魚になるとブルーボデイに変化。この青い時期は雄相(ゆうそう)と呼ばれ、さらに成長すると黄色の雌相(しそう)というステージになるのです。

黄色の個体は青に比べると数が少なく、特に沖縄ではレアケース。必ずしも青がオス、黄がメスというわけでもないようで、青い個体同士のペアも見かけます。

⑤テッポウエビと共生するハゼたち

ヤノダテハゼ

ヤノダテハゼ。右側のエビはコトブキテッポウエビ

魚類の中でも巨大なグループであるハゼの仲間は、沖縄にも様々な種類が生息しています。その中から「テッポウエビと共生する」というユニークな生態をもつハゼたちを紹介します。

共生ハゼは浅い砂地やサンゴ礁外縁の砂溜まりなどに生息しています。一見日向ぼっこでも楽しんでいるようですが、危険を察知すると一瞬で巣穴に逃げ込みます。この巣穴は同居するテッポウエビが作ったもので、砂中のスペース拡張や保全もこなします。

一方、ハゼは門番。巣穴の外に陣取り、外敵を見張っているのです。じっくり観察していると、巣穴の奥からテッポウエビが大きなハサミ脚で土砂を押し出してくるところも見られます。このとき、エビの長い触角は必ずハゼの体に触れています。触角を通じてハゼから何らかの合図を受け取っているのでしょう。もしかすると「今は安全」とか「不審者発見! 逃げろ!」とかかも。

というわけで、両者の関係は互いにメリットがある相利共生。その行動を見ているだけでも楽しいし、共生ハゼもテッポウエビもともに種類が豊富ですから、生き物オタクにはたまりません。

大きな背ビレのホタテツノハゼ

大きな背ビレのホタテツノハゼ

ヤシャハゼ

ヤシャハゼ。海底近くでホバリング

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PROFILE
東京水産大学(現東京海洋大学)在学中、「水産生物研究会」でスキンダイビングにはまり、卒論のサンプルであるヤドカリ採集のためスキューバダイビングも始める。『マリンダイビング』『マリンフォト』編集部に約9年所属した後フリーライターとなり、現在も細々と仕事継続中。最近はダイビングより弓に夢中。すみません。
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