【恩納村】テクニカルダイビングとスローライフが楽しめる!?【TAKE DIVE】
2018年に「サンゴの村宣言」を掲げ、世界一サンゴと人にやさしい村を目指す恩納村。ダイビングスポットとしても人気のこのエリアだが、実際はどんな海なのか、現地で環境に優しいダイビングのガイドライン「Green Fins」を導入するダイビングショップにそれぞれインタビュー!第3弾はテクニカルダイビングも行い、いち早くGreen Finsにも取り組み始めたTAKE DIVEの吉村秀信さんへ、海の魅力や一押しポイント、恩納村のおすすめスポット、そして海の環境の変化についてオーシャナのスイカが聞いてきました!
海人が守ってきた豊かな漁場がダイビングポイントに
スイカ
吉村さんが感じる恩納村の海の魅力ってどんなところでしょうか。
吉村さん
リーフが広がる海で、インリーフとアウトリーフで表情が違うことや、地形が好きな人、まったりが好きな人にも、ボートを使って機動力良く5~10分の範囲で案内できるところですね。
スイカ
吉村さんは沖縄の中でもずっと恩納村を案内されてるんですか?
吉村さん
はい、恩納村を案内して13年です。その前は東京でプライベートインストラクターとして知人や家族の講習をやっており、どこかに所属していた訳ではありませんが、沖縄が大好きでこちらに移住し、ショップをオープンしました。
スイカ
大好きな沖縄の中でも、恩納村を選んだ理由は何だったんですか?
吉村さん
沖縄で初めてダイビングをしたのが恩納村だったんですが、その時の感動が大きくて。目の前がダイビングサイトで、ここに住んだら毎日歩いて行けるという立地にものすごく憧れて。自分がこんなに興奮するんだから、絶対にお客さんも喜んでくれると思いました。
スイカ
恩納村はすぐにきれいな海に行けるのがいいですよね。
吉村さん
漁師さんの話を聞いたり、潜るのに良い場所を教えてもらったりすると奥深さを感じますね。漁師さんが活用している場所はちゃんと守られていて、基本的に魚が多いわけなんですよ。「青の洞窟」で知られる真栄田岬に魚が多いのは餌付けされているからですが、それ以外の場所はネイティブな魚が非常に多いんです。
スイカ
守られているというと?
吉村さん
漁師さんにとって魚は生活の糧です。なので、獲り過ぎないように昔ながらの方法で、自然を残しつつ漁を行っているんです。
スイカ
そういう場所がダイビングポイントにもなっているんですね。
吉村さん
基本的に恩納村は漁師さんの船を使ってダイビングポイントに行くので、漁師さんと仲良くなると良いところに連れて行ってもらえます。漁場なので、魚がたくさんいるのは当然で、隠れる場所もある。つまり、地形もサンゴが生き生きしていてきれいな場所なんです。
スイカ
吉村さんイチオシのダイビングポイントはどこですか?
吉村さん
谷茶の沖合ですね。チャネルがいっぱいあってサンゴが抜群に多いです。慶良間よりもあるんじゃないってくらい。ここは本当にきれいですね。
スイカ
具体的にはなにサンゴが多いんですか?
吉村さん
ユビエダハマサンゴや、ミドリイシ系も結構多いですね。潮通しが良いところなので、陸からの養分が豊かなのもありサンゴの数も種類もすごい多くてカラフルなわけですよ。ミドリイシ系でも、個体が詰まっているので色がすごく鮮やか。水深も6mくらいで光も入るし魚も多いし、チャネルでケーブみたいなところもある。そういうところに入っていくと伊勢海老マンションみたいなところもあったり。
スイカ
聞いてるだけでテンション上がりますね。
吉村さん
ドリフトで少し上級者向けですが、ぜひ案内したいポイントです。
テクニカルから基礎まで
スキルアップにもうってつけ
スイカ
吉村さんのショップ・TAKE DIVEは、どういうダイビングスタイルなんですか?
吉村さん
ふたとおりありまして、ひとつはサイドマウントやリブリーザー、ケーブダイビングなどのテクニカルダイビングです。もうひとつは、ファンダイビングで写真が好きな方に向けています。一眼ユーザーが多いですね。それ以外のダイビングを楽しんでくれている方も、恩納村はバリエーションが豊富なので、毎月来てくださる方もいらっしゃいます。
スイカ
毎月違うポイントに?
吉村さん
同じポイントでも見せ方が違うとまた違った楽しみ方ができるので、同じポイントに行くこともありますよ。その辺はインストラクターのスキルが問われるところだと思っています。たとえば、息子は生き物探しがすごく得意なので、生き物を見せることに特化したガイディングが多いです。逆に自分は生き物を見つけるのが苦手なので、スキルアップに特化しています。生き物をゆっくり観察したり探したい、漠然と潜っているけど全然上達している気がしない、与那国でハンマー見たい、ドリフトで潜りたいといった、スキルに関する悩みを目的に合わせ解決し、個々が目指すダイビングスタイルに向けてトレーニングを行うことが得意です。
スイカ
なるほど。トレーニングはどういった方が希望されることが多いんですか?
吉村さん
千差万別ですね。テクニカルダイビングであればサイドマウントを始めたい方や、私のYouTubeを見て、トリムがきれいだからあれをできるようになりたいとか。レクリエーショナルダイビングであれば、適正ウエイトなど基本から教えることもあります。
スイカ
トレーニングの際に大事にしていることはありますか?
吉村さん
「楽しいことが一番」ということですね。楽しくなるためにはどうするかっていうのをポイントと考えています。今までできなかったことがすごくスムーズにできたと実感してもらえると、今日は楽しかったって思ってもらえるし、自分の中で成果が掴めるのが上達の一歩だと思うんですよね。
スイカ
具体的にはどんな工夫を?
吉村さん
事前準備を徹底的にやります。スキルに不安がある方は、事前に何ができていて、できていないかが分からないことが多いので、準備の方法、手順、トリックやコツなんかもしっかりお伝えして、大丈夫だっていう状態を作った上でダイビングをします。一つひとつ、なぜそうするのかという裏付けも理解していただいて。そうすると、ご自身も納得できるので不安も減るし、きちんと手順を踏んでダイビングをするので、今までできなかったことができるんですね。さらにそれをビデオに撮って見せてあげると、ビフォーアフターも証明ができる。泳ぎやすいとか、エアの消費量が顕著に変わったりするのも体感できます。初心者からベテランまで、できるようになったことを実感するのはすごく楽しいんではないでしょうか。
スローライフを楽しめる真栄田エリア
スイカ
アフターダイブなど、海以外でおすすめの場所はどこですか?
吉村さん
場所というか過ごし方として、レンタサイクルで周遊するのがおすすめですね。景勝地なら残波岬はもちろん、恩納村内だったら万座毛まで大体40分ぐらいでいけます。うちのショップの裏を上がっていくのもおすすめで、すごく景色が良いです。フェーレー岩という昔山賊が現れたという場所や、真栄田一里塚っていう小さな遺跡がある場所から海を一望できます。
スイカ
気持ちよさそうですね!
吉村さん
ゆっくりしたい方は、かき氷を食べながらショップで過ごしていただくのも良いですね。家内が手作りしたシロップを使ったふわふわのかき氷を提供しているんです。オリジナルフレーバーのシロップは、県特産品を極力使っていて、容器やスプーンもなるべくプラスチックを使わないという工夫をしています。
スイカ
ショップの周りがとてものんびりした空気なので、それを感じながら過ごせるのはいいですね。
吉村さん
スローライフをするなら、恩納村の真栄田地区は、本当に静かでいいです。海側はちょっと賑わってる場所がありますが、白砂がきれいな真栄田ビーチもアクセス良いし。天然のビーチで護岸されていないので、毎年ウミガメが産卵に来るんですよ。
スイカ
散歩にもうってつけですね。
吉村さん
そうですね。のんびり静かに過ごしたい方は、絶対この辺のゲストハウスや民宿に泊まって過ごすのが良いです。コンビニとかは近くにないですが、売店で地元の人と交流するのも楽しみのひとつ。5月くらいにはホタルが見られる場所も近くにあったり。
スイカ
良いですね。そういう過ごし方ができる場所。
吉村さん
そうですね。逆にいうと、地元の方が生活している場所でもあるので、騒がしくなりすぎないよう、マナーを守れる人が楽しめる場所にしていきたいですね。
水温の変化が顕著に?
遠ざかる冬のクジラ
スイカ
海の環境の変化について感じることがあれば教えてください。
吉村さん
変化というか、サンゴが元気なところと減っているところが顕著だと感じています。一番分かりやすいのが真栄田岬。潜って海に向かって右に行くのか、左に行くのかでまったく様子が違います。人気の青の洞窟がある右手に泳いでいけば、人がたくさん入っているのでサンゴは少ないですが、左手に泳いで行けば、サンゴがびっしりついています。
スイカ
人が入ることによる影響はやはり大きいんですね。
吉村さん
昨年はコロナ禍で人も少なく、水温上昇もある程度のところで抑えられたので、白化もなくよかったと思います。ただ、水温に関していえば、最低水温が20度切っていないので、ちょっと上がっているのかなっていうのはありますね。真冬で20度を切らないっていうのは、自分が恩納村にきてから今までなかったんじゃないかな。
スイカ
水温の変化によって変わったことはありますか?
吉村さん
この辺りは冬場はクジラが見られるんですが、見かける率が少なくなったような気がします。水温が変わってどんどん違うエリアに行ってるんじゃないかと思います。
スイカ
目に見えて変化が現れてるんですね。
吉村さん
そうですね。私たちは海で遊ばせてもらっているので、持続可能な環境づくりをしていかないと肌で感じています。そのために、Green Finsにも取り組んでいますし、一緒にダイビングをするお客様にも、海のことを知ってもらって、自分ができることの気づきも与えられたら嬉しいと思っています。
スイカ
吉村さん、ありがとうございました。
アメリカ人の友人の勧めでサイドマウントダイビングからテクニカルダイビング、ケーブダイビングの世界へ入ったという吉村さん。青の洞窟のみならずメキシコなど海外のケーブも冒険し、今もなお冒険中だという。スキルアップをしたい人や少し上級者向けのダイビングを楽しみたい方はもちろん、恩納村でのスローライフを楽しみたい方はぜひ真栄田エリアに泊まり、TAKE DIVEで潜ってみてはいかがだろうか。
取材協力:TAKE DIVE
テクニカルダイビング、CCRダイビング、CAVEダイビング何かと敷居が高くて手が出しにくい世界のようです。レクリエーショナルダイビングのように誰でもいつでもお気軽に…というわけにはいきませんが、じっくり考えて、やってみたい、見てみたいとお考えの方は是非ご相談ください。沖縄にも未開の洞窟やダイビングポイントがたくさんあり、TAKE DIVEが発見・命名した真栄田沖の水深50m+の「Hide’s Crack」や60m+のポイントにリーフが続いている最大90m+αのトレーニングポイントも。
Green Fins
UNEP(国連環境計画)とイギリスのReef World財団によるサンゴ礁保全の取組み。環境に配慮したダイビングやシュノーケリングのガイドラインの作成と、それを遵守しているダイビングショップの評価・認定を行なう。世界ではフィリピン・ベトナム・タイなど11カ国、約600のダイビングショップに採用され、日本では沖縄県の恩納村が本格導入を進めている。
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