沖縄県恩納村の海の魅力と一押しポイントを現地ショップが語る(第5回)

【恩納村】ビーチエントリーで水深40mのダイナミックな海【D.S. アークエンジェル】

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2018年に「サンゴの村宣言」を掲げ、世界一サンゴと人にやさしい村を目指す恩納村(おんなそん)。ダイビングスポットとしても人気のこのエリアだが、実際はどんな海なのか、現地で環境に優しいダイビングのガイドライン「Green Fins」を導入するダイビングショップにそれぞれインタビュー!第5弾となる今回は、恩納村で人気のスポット「真栄田岬(まえだみさき)」を中心に案内し、ネイルサロンも併設するD.S.アークエンジェルの中川清之さんと木下茉夏さん。海の魅力一押しポイント恩納村のおすすめスポット、そして海の環境の変化についてオーシャナのスイカが聞いてきました!

「青の洞窟」だけじゃない、安定の透明度と見どころ満載の海

スイカ

恩納村の海の魅力とはなんでしょうか?

中川さん

イナミックな地形と生物の豊富さ透明度も安定してキレイですし、真栄田岬はビーチからでもエントリーできるすごいダイビングポイントです。木下さん的には、内地から沖縄に来て感じる沖縄の海の良さ、福岡と違うところってどんなところですか?たとえば、うちでメインに案内している「真栄田岬」とか。

真栄田岬

真栄田岬

木下さん

綺麗しか出てこないですね。沖縄といえば慶良間諸島の透明度が高くて綺麗な海のイメージを持っている方が多いと思うんですが、恩納村もそれに負けないくらい綺麗なんです。

中川さん

そう、特に真栄田岬はダイナミックでいながらも安定していて綺麗ですよね。

スイカ

なるほど。ポイントとしては「青の洞窟」がやっぱり一番人気なんでしょうか。ダイバー以外の方もよく行く印象です。

中川さん

やっぱり「青の洞窟」がもっとも有名だと思います。ただ、人気があっていいことばかりではありません。人が多かったり、人によっては砂を巻き上げられて水が濁ったりだとかで印象が悪くなってしまっている現状もあり、「青の洞窟はいいや」っていうファンダイバーも実は多いんです。その本当の美しさを知っているがゆえに、悲しい現状ですね。

青の洞窟

青の洞窟

中川さん

実際、安全であんなに綺麗な水中トンネルを楽しめる場所って少ないと思うんです。しかもビーチから行けて。観光地化されたことで、もちろん助かっている部分もあるんですが、タイミングが悪いと、渋滞で駐車場にすら入れなかったり、洞窟の中も人が多くて本来の美しさを楽しめなかったりする場合もあるので、せっかく恩納村に来ていただいた方に申し訳ないなという気持ちもあります。

木下さん

もったいないですよね。

スイカ

確かに、人の少ない時間帯を狙っていきたいなとは思いますね。でも、真栄田岬の見どころって「青の洞窟」だけではないですよね。

中川さん

もちろんです。うちのお店では、いくつかファンダイビング用のポイントを設けていて、「ツバメの根」がビーチからも行けて有名なポイントですが、うちはボートから「真栄田ドロップ」、「真栄田コーナー」というポイントもご案内しています。カメやサメ、魚の群れも多くて楽しいポイントですよ!

ツバメの根で見られるホタテツノハゼ

ツバメの根で見られるホタテツノハゼ

中川さん

リピーターさんには、恩納村以外にも、辺戸岬(へどみさき)慶良間(けらま)残波(ざんぱ)を案内することも多いですね。残波岬のボートダイビング、魅力的ですよ。

スイカ

北にも南にも行きやすいのは、本島の真ん中あたりに位置している恩納村の利点でもありますね。恩納村の港から行けるという点でいうと、「残波岬」はどんな感じですか?

中川さん

万座はダイビングでも有名ですが、残波もゲストさんには好評です!くぐれるトンネルがあちこちにあり地形も楽しめ、ウミウシなどマクロも充実しています。戦時中の戦車銃弾など落ちているポイントもあります。

スイカ

戦車に一気に惹かれました(笑)。

中川さん

朽ち果ててますけど、キャタピラってすごくわかりますよ。残波岬は潮通しもよく、大物も狙えますロウニンアジ、ホワイトチップシャークは常連で、ナポレオンフィッシュも出現します。マクロも充実していてウミウシピグミーシーホースも観察できます。水深が深めなのでアドバンスランクのCカードは必須ですね。

スイカ

なんでもいますね(笑)。

スイカ

そのほかショップとして、特にこんなお客様におすすめという点はありますか?

中川さん

少人数なのと女性スタッフが多いので、女性一人でも安心してこられるところです。うちはファンダイビングはリピーターさんが多いのですが、がっつりカメラとか持って潜るというより、カップルとか友達同士でダイビングを楽しむような方が多いです。自社専用ボートがあるところも喜ばれています。最近は水中スクーターを使ったコースも人気です。

ダイビング後はリゾートと自然をゆったり楽しんで

スイカ

アフターダイビングの一押しポイントを教えてください。

木下さん

ご飯だったら私がおすすめするのは「チルコリーノ」っていうハンバーガー屋さん。結構ボリュームあっておいしいです。海を見に行きたいとかだったら、「ビーチ51」。
白砂でサンゴ礁の跡がいっぱいあって、上から見たらほんと綺麗なんです。

スイカ

夕陽も綺麗そうですね。個人的には、ショップでネイルができるのもおすすめしたいです。

中川さん

ありがとうございます(笑)。最終日や海が荒れた日の過ごし方としてもぜひ。ダイビングショップならではのデザインも承ります。

スイカ

マニアックで最高です。

ウミウシをあしらったネイルも

ウミウシをあしらったネイルも

中川さん

あとは、家族で来るなら恩納村に泊まることを勧めています。那覇付近は意外と都会だったりするのですが、恩納村までくると沖縄っぽいリゾートを感じられる。リゾートホテルもいっぱいあるからアフターダイブでのんびり体を休めて、沖縄の自然を満喫して欲しいですね。

現場から見る海の変化

スイカ

海の環境の変化について感じる部分はありますか?

中川さん

恩納村でショップを始めて7年くらい経ちますが、大きく感じる海環境の変化はないですね。いつも潜っている青の洞窟近辺の話をすると、魚が多いなって印象はあるんですけど、それは餌付けのせいかもしれない。コロナ禍でサンゴが元気になったとは聞きますが、自分としてはあまり変わった印象はないです。1年でそんなに大きく成長はしないと思いますし。真栄田岬の名物だったツバメウオがいなくなってしまったのが寂しいですね。

スイカ

サンゴの大きさはあまり変わってないかもしれないですね。

中川さん

でも、「ホーシュー」というポイントの浅場は、台風によってサンゴが破壊されたところが、また戻ってきているんです。それは変化と言えるかもしれません。ただ、台風でダメになるのは、自然の摂理なので、一概にサンゴが減って悪いと捉えてはいなくて、意味があってそうなったのではないかなと。

スイカ

台風でやられたのって何年前ですか?

中川さん

3年以上前ですかね。慶良間のサンゴもなくなりましたしね。真栄田岬の地形も変わりましたね、岩の場所とか。

スイカ

ものすごい威力ですね。地形も変わると生き物にも影響はありましたか?

中川さん

必ずここにはピグミーシードラゴンが6匹くらいいるという場所があったんですが、その岩の横に船用のトーンブロックが沈んでからは、そこからいなくなりました。あとは、「山田ポイント」のトウアカクマノミも、なぜかいなくなりました。

ピグミーシードラゴン

ピグミーシードラゴン

スイカ

昔はいたんですか?

中川さん

トウアカクマノミが棲むイソギンチャクがある魚網があって、卵を生んだりもしていました。1年くらい前までいたと思うんですけど。水深も20m以上あるので、台風でいなくなることはないはず。僕も詳しくないので、なんでいなくなったのか分からないですが。ただ、ピグミーシードラゴンは場所は変わりましたが今でもいるんでご紹介しますよ。

スイカ

そうなんですね。理由はわからなくても変化は現れているんですね。

中川さん

サンゴに関していうと、浅場で復活してきているエリアがだいぶ確認できるようになったりました。今後ますます昔の海に戻るよう、自分たちもサンゴを守る覚悟を強くしていけたらいいなと思います。

スイカ

ありがとうございました。

恩納村で人気の「青の洞窟」が位置する真栄田岬、そしてその付近を楽しませてくれる中川さん。スクーターやネイルなど楽しみ方も様々なので、家族や友人、カップルでダイビングを楽しみたい方は訪れてみては。

取材協力:D.S.アークエンジェル

アークエンジェルダイビング

アークエンジェルダイビング

真栄田岬のすぐそばに位置し、ネイルサロンも併設。申し込んだグループごとで案内してくれるので、仲間同士で気兼ねなく潜ることができる。女性のダイビングインストラクターが常駐しているので女性一人参加やシュノーケリングでの参加の方も安心だ。

Green Fins


UNEP(国連環境計画)とイギリスのReef World財団によるサンゴ礁保全の取組み。環境に配慮したダイビングやシュノーケリングのガイドラインの作成と、それを遵守しているダイビングショップの評価・認定を行なう。世界ではフィリピン・ベトナム・タイなど11カ国、約600のダイビングショップに採用され、日本では沖縄県の恩納村が本格導入を進めている。

ガイドライン一例

ガイドライン一例

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writer
PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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