【恩納村】こんなサンゴの群生見たことない!? 水深40mに広がるレアサンゴ【ベントスダイバーズ】
2018年に「サンゴの村宣言」を掲げ、世界一サンゴと人にやさしい村を目指す恩納村。ダイビングエリアとしても人気のこのエリアだが、実際はどんな海なのか、現地で環境に優しいダイビングのガイドライン「Green Fins」を導入するダイビングショップにそれぞれインタビュー!第8弾は22年にわたり恩納村を案内し、サンゴの研究も行ってきたベントスダイバーズの大原拓さんへ、海の魅力や一押しポイント、恩納村のおすすめスポット、そして海の環境の変化についてオーシャナのスイカが聞いてきました!
思わず研究を始めた、水深40mに広がる多種多様なサンゴの群生
スイカ
大原さんの感じる恩納村の海の魅力とはなんでしょうか。
大原さん
恩納村の海はとても狭いエリアの中にいろんなロケーションがあって、いろんなダイビングが楽しめることです。真栄田、瀬良垣、万座、恩納とざっくりとエリアが分かれると思うのですが、僕のショップが位置する瀬良垣から近いのは「ナカユクイ」や「クロスライン」。ここは白い砂地が気持ち良いポイントですが、その先に行けばドロップオフやケーブもあり、すごい迫力です。生物も大物で言えばロウニンアジやウミガメ、マダラトビエイ、ネムリブカやカマストガリザメなんかも現れ、見渡す限りのサンゴ礁も見られる。こんな狭いエリアにいろいろあるのはすごいことだと思います。
一本行って帰ってきたり、午前だけ、午後だけ潜ったりという離島みたいなスタイルができるのも良いところです。
スイカ
大原さんはずっと恩納村で潜っているんですか?
大原さん
はい、1999年から恩納村でダイビングショップをやっています。今年リニューアルしましたが、22年やっていることになりますね。
スイカ
長いですね!そんな恩納村を知り尽くした大原さんの一押しポイントはどこですか?
大原さん
難しいですね(笑)。シークレットポイントとかでもいいんですか?
スイカ
もちろんです!
大原さん
「RYUGU」というポイントで、僕が琉球大学の大学院に入ったきっかけとなった場所です。
スイカ
研究を始めたということでしょうか。どんなポイントなんですか?
大原さん
見つけたのは、ポイント調査で潜っていた時で、水深40mくらいの何もないところをドリフトしていたんです。そしたら突然魚が現れて。と思ったら、サンゴが現れ、そこから先はもうずーっとどこまで泳いでもいろんな種類のサンゴが広がっていました。回りきれなかったです。
こんな場所は見たことなかったので、どれくらいの広さなのか調査したいと思ったというのが大学院へ入ったきっかけです。
スイカ
実際に調査されてみていかがでしたか。
大原さん
琉球大学准教授でスナギンチャク研究の権威でもあるジェイムス・デイビス・ライマー理学博士と調査をしたところ、実はそこにあったサンゴが、日本ではそれまで見つかっていなかったPachyseris foliosaというリュウモンサンゴの1種だったんです。それが水深30~45mに広がっています。さらに、水深20〜30mくらいのエリアには直線距離で言えば300mくらいの幅に多種多様なサンゴが生息していて。これも本当に貴重なものだそうです。
スイカ
そんな深いところに珍しいサンゴが群生しているなんて…。見てみたいですね。
大原さん
ここはきちんと中性浮力が取れて、エアもちもよく、ディープに慣れている方しか連れて行けません。深いところのサンゴは普通に見るサンゴと違ってガラス細工みたいに枝が長く伸びるんです。その繊細なサンゴの上を中性浮力をちゃんと取って壊さないように泳げる人にはご案内しています。
大原さん
自分のベストダイブの一つが「RYUGU」を見つけた時ですね。「万座ドリームホール」とか「オーバーヘッドロック」とか「ナカユクイ」とかみんな楽しいんだけど、自分が一番好きなポイントです。
スイカ
ベストダイブ、素敵ですね。
大原さん
他にもクサビライシというサンゴがずーっとあるエリアもあります。クサビライシを知らない方も多いんですが、移動するサンゴなんです。そのエリアにはいろんな種類のクサビライシがあって、何が驚いたってケンカしないんですよ、彼らは。違う種類のサンゴはケンカするのにクサビライシはお互い重なり合って仲良くしてるので、おもしろいなーと思って。RYUGUの研究の後は3年くらいかけてクサビライシの研究をして大学院を出て、5年くらい経って最近論文として発表もされましたので、興味ある方は読んでみてください。
スイカ
へーすごい!そんなにいっぱいいるなら見てみたいですね(笑)。
大原さん
名前も変なのがいっぱいいますよ。ヘルメットイシとかキュウリイシとかゾウリイシとか…。
スイカ
覚えると見つけたとき嬉しくなりますね。
大原さん
はい。そういうものにも興味を持ってほしいなと思っています。いわゆるアイドル的な魚を追っかけるだけじゃなくて、いろんなものに興味を持ってほしいんです。いろんな楽しみ方をしてほしいと思います。
スイカ
てっきりテクニカルダイビングのショップだと思っていました(笑)。
大原さん
(笑)。普通のファンダイビングを普通にやっていますよ(笑)。海が好きなので、どんなスタイルでもいいんです。最近はスキンダイビングも案内していて。
スイカ
両極端ですね(笑)。
大原さん
身軽にフィンとマスクだけでいける解放感も超幸せですし、テクニカルダイビングでいろんな装備を駆使して目指すのも楽しいんです。
ダイビング後はビーチを眺め、お昼はタコライスを
スイカ
アフターダイブのおすすめはありますか?
大原さん
ベントスといえば、ショップ目の前のダイヤモンドビーチかな。このロケーションが何よりもいい。
スイカ
宿泊場所が近かったら、ここで飲んで歩いて帰ってってできますね。
大原さん
そうそう。今コロナ禍だからできないけど本当はバーベキューやりたいですね。
スイカ
大原さんが経営しているタコライス専門店の「きじむなぁ」は勧めなくていいんですか?(笑)
大原さん
勧めてください(笑)。恩納村のきじむなぁは1号店で、昔はベントスダイバーズの2階にあったんですが、そっちもリニューアル・移転して昔よりもアクセスが良くなりましたのでぜひ。
サンゴの死滅と復活を目の当たりにして
スイカ
22年も恩納村を潜られている中で、海の環境の変化はどう感じていますか。
大原さん
昔、目の前のダイヤモンドビーチがすごく綺麗だったので、体験ダイビングをここでやっていたんですが、98年にサンゴの大白化があって、その後もよくない環境が続いたのかどんどんサンゴが減っていきました。魚もいなくなり、体験ダイビング自体、ここでやるのをやめてしまったくらいでした。
スイカ
どんな状況が続いていたんでしょうか。
大原さん
海水温が高い状態が続いていました。それから、大きい台風も来ており、その年はサンゴがたくさん死にました。具体的には、「ホーシュー」というポイントのサンゴがなくなって、ツルツルになっていました。「RYUGU」も水深40mもあるのに、4分の1くらいは破壊されちゃってたんじゃないかな。
スイカ
すごい威力ですね。
大原さん
ただ、おもしろいのが、台風だけだったら根っこが残っているのでまた蘇るところがあるんですよ。深い方のサンゴは折られただけで、転がされたりしていないのでずっと生き続けます。折られたところからまた伸びてくる。
なので、台風は確かにサンゴを壊すけど、それは新しいサンゴの成長を促しているという部分もあります。ただ、強すぎる台風が毎年来るとなくなってしまいますし、これは温暖化のせいで、人間のせいかもしれないので注意は必要だと思っています。本当のことなんて誰もわからないので難しいけど。
スイカ
破壊されたサンゴは元に戻っていないんでしょうか。
大原さん
いえ、ここ数年ですごくサンゴが増えました!魚も戻ってきて。目の前のダイヤモンドビーチでも大好きなテングカワハギとかデバスズメとか浅いところでもたくさん見られるようになったので、またここで体験ダイビングをオススメしたいです。
スイカ
嬉しい変化ですね!ビーチクリーンも定期的にされていますが、ゴミ問題も気になる点はありますか?
大原さん
そうですね、シーグラスが見つからなくなったと思います。昔は歩いていたらきれいなシーグラスをたくさん見つけて拾っていたけど、最近はないです。飲み物がペットボトルに変わったせいですよね、きっと。ガラスがたくさん落ちているのもとんでもないとは思うけど、明らかにそういう違いはあったのかなと。あとはどうしても北風が吹くと漂着ごみでビーチが汚れちゃうので、会社の人を集めてビーチクリーンはしています。お客さんも参加できる「MANATII」というプログラムもあるのでよかったら参加してみてください!
スイカ
ありがとうございました。
恩納村を知りつくし、海と生き物、そしてそこでの遊び方への想いを熱く、そして優しくほわーっとした雰囲気で話をしてくれた大原さん。一緒に潜れば、「RYUGU」はもちろん、恩納村の海の魅力を存分に教えてくれるに違いない。
取材協力:ベントスダイバーズ
恩納村で22年のキャリアを持つガイドの大原さんが運営するベントスダイバーズ。シュノーケリングや体験ダイビングからファンダイビング、テクニカルダイビングなど幅広く案内する。海や生き物へのリスペクトを忘れない、穏やかな大原さんとダイヤモンドビーチを望む絶好のロケーションはダイバーを惹きつけて離さない。
Green Fins
UNEP(国連環境計画)とイギリスのReef World財団によるサンゴ礁保全の取組み。環境に配慮したダイビングやシュノーケリングのガイドラインの作成と、それを遵守しているダイビングショップの評価・認定を行なう。世界ではフィリピン・ベトナム・タイなど11カ国、約600のダイビングショップに採用され、日本では沖縄県の恩納村が本格導入を進めている。
沖縄県恩納村の海の魅力と一押しポイントを現地ショップが語る(連載トップページへ)
- 【恩納村】身近なサンゴが魅力!次世代に繋げる学びも【沖縄ダイビングサービスLagoon】
- 【恩納村】初心者から上級者まで幅広く楽しめる懐の深い海【ピンクマーリンクラブ】
- 【恩納村】テクニカルダイビングとスローライフが楽しめる!?【TAKE DIVE】
- 【恩納村】青の洞窟だけじゃない、真栄田岬に惚れた!【マリンクラブ ナギ】
- 【恩納村】ビーチエントリーで水深40mのダイナミックな海【D.S. アークエンジェル】
- 【恩納村】目の前のビーチで回遊魚にサンゴ礁。身近な自然を感じられる【SeaTrust】
- 【恩納村】まだ開拓できる!? 写真家も魅了するダイビングポイント【Pro Scuba Team SEALs】
- 【恩納村】こんなサンゴの群生見たことない!? 水深40mに広がるレアサンゴ【ベントスダイバーズ】