沼口麻子(シャークジャーナリスト)×増子均(サムイダイビングサービス)のサメ対談 ジンベエザメの謎に迫る!(第4回)

情報伝達? 匂い? ジンベエザメはどうやって集まってるの?

タオ島ジンベイ 増子さん

増子

なぜジンベエザメの数が増えるのかに疑問を持っていて。
匂いなのか、あるいはなにか他の情報伝達の手段があって「あそこのエサは美味いらしいぞ」みたいな口コミみたいなものがあるのでしょうか?
それを感じたのは、例えばオスロブ。
今10個体ぐらいいますよね。

沼口

餌付けしているところですね。

増子

餌付けしていても、最初に来てたのは1、2個体だったわけですよね。
なぜどんどん増えてるのかと考えると、ここに行けばエサがあるということを知る手段があるということなのでしょうか。
それが匂いなのか情報伝達なのかわからないですが、なにかがあるんでしょうか?

沼口

情報伝達する手段があるかどうかはわかりませんが「エサあるから行こうぜ」みたいな感じはサメの世界にはないような気がします。

ーー

生物の研究で、フェロモンを出すものもいますよね。

沼口

私が知る限りでは、サメは知らないですね。
でも、もしかしたらあるかもしれない。

増子

あるかもしれないと思っても、確認する手段がないですよね。

ーー

いろいろなものをつけて研究するしかない気がします。

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増子

やはり匂いですかね? サメは嗅覚がすごいと言われますよね。

ーー

嗅覚ってどれくらいって言われてるんですか?
ジンベイザメだけでなくても、サメはほんのちょっとの血の匂いに反応するなど言われてますよね。

沼口

よく例えるのが、プールに目薬一滴の量の血が分かるというのはありますね。
音は数kmの単位で感じることができるサメもいるようですが、嗅覚であれば数百kmまで感じることができるサメもいるようです。

ーー

そんなに。
人間で考えちゃうから、水中で何百km先の匂いってイメージわかないですね。

沼口

水中は水を介してるので、私たちの匂いとは違います。

増子

サメじゃないですが、不思議に思ってるのが例えばハゼ。
ハゼってエビのいる穴に入るじゃないですか。
なんでだろう? って疑問に思ってて、研究している先生に聞いたらやっぱり匂いらしいです。
しかも小さいエビには小さいハゼという、共生相手を見つけるみたいですね。

反射で動いている
サメの大脳の大きさについて

沼口

参考になるか分からないですが、哺乳類は大脳が大部分を占めてるんですが、サメは大脳がとても小さいんです。
ほとんどが神経系。
匂いを嗅ぐ機関が大部分を占めてます。

ーー

脳みそは小さいんですね。

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沼口

以前にメガマウスザメを解剖したことがあったのですが、全長4.46m、体重677kgだったにも関わらず、脳重量は38.3gでした。
単位はkgではなく、gですよ?(笑)
脳といっても解剖してみると、脊椎骨の先端についている膨らみのようなもので、人間のような脳の構造はしていません。

ーー

コミュニケーションというよりかは、反射的にということですかね。

増子

同種類のサメがどこにいるとかも、それで分かるんですか?
今はそこにエサがあるから集まっている可能性が高いですが、エサの匂いなのか、お互い別個体がいるので集まってきてるのか……。
例えば、繁殖のためには広い海の中で巡り会わないから、エサだけじゃダメですよね。

沼口

シュモクザメもすごい群れて沿岸にきたりしますね。
群れる理由はやっぱりエサか繁殖かですよね。
ただ彼らがどうやって集まってるかは分からないです。

ーー

魚類でも、深海生物でも、どうやって出会うのかはひとつのテーマになってますね。
なんとなく、フェロモンかという話も出てますけど……。
そのフェロモンの概念も理解しづらいですね。

沼口

不思議ですよね。
深海ザメの仲間でサガミザメという種がいます。
漁師さんによると漁獲水深が全然違うそう。
つまり、メスとオスがいる水深が異なるということ。
でもちゃんと繁殖しているわけですから、なんらかの方法で交尾する相手を見つけていることだけは確かですね。

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PROFILE
1989年生まれ。
専門学校を卒業後、歯科衛生士として歯科医院に務める。
多忙な日々を送る中で、ハマったダイビングとカメラと旅行。
オーシャナとの出会いで一念発起し、歯科医院を辞めカメラマンを目指すために東京から伊豆へ移住。
昼はダイビングサービスを手伝い、夜はアルバイトをしながら1年間で450本潜っていたが、耳の問題でドクターストップがかかり東京に戻ることに。
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