“絞り優先オート”で、ふんわりボカシ写真にチャレンジ!
前回は、撮影モードについて解説しました。
「AUTO」モード以外の、「P」も「A」も「S」も結局はオート撮影なので、そんなに怖がらなくても大丈夫!?ということがわかっていただけたと思います。
そして、こうも書きました。
「人間の意思を少しでも加えたい場合は、AUTO以外のモードを使う必要があります」
ということで、今回は「A」こと「絞り優先オート」活用の一例を説明します。
絞りで写真の雰囲気を変える
まずは、A=絞り優先オートモードを試してみましょう!
あ、ちなみにAは「絞り」の原理である「開口部」の英訳apertureの頭文字です。
撮影前の操作としては、撮影モードのダイヤルなどをA(Av)にするだけです。
また、ISO感度はオートにしておいてください(詳細は説明書をご覧ください)。
さて、絞り優先オートは、絞り値だけを撮る人が決めて、あとはカメラにお任せの撮影モードでしたね。
と言うことでオリンパスのXZ-2を使って、絞りを「8」にして写した写真がこちら。
一番手前にシーサー君、右奥にメロン熊、一番奥にウミウシがいるのが分かりますね。
絞りを5.6に変えてみましょう。
違いが分かりますか?
まだちょっと分かりづらいかもしれません。
それでは絞りを2.5まで変えてみます。
これなら違いがわかりますか?
シーサー君にはピントが合っていて、奥にいるメロン熊とウミウシはボケましたね!
このように「絞り」の数値を変えることによって、写真の雰囲気が変わるのです!
作例のとおり、Fに続く数値が小さければ小さいほど、ピントの合う範囲(奥行き方向)が狭くなり、その前後がふわっとボケる写真になるのです。
Fの記号につづく数字が絞りの値
あくまで目安ですが、絞りの数字は「3」以下に設定出来るカメラが、このようなボケを生かした写真を手軽に撮るのに向いています。
設定は、絞り値(=Fの記号がつく数字)をダイヤルや左右・上下ボタンなどで変えます。
とりあえずお持ちのカメラで設定できる一番小さな値にしてみてください。
さらにボケを生かして撮るには
ボケを生かした写真って、上級者っぽくて憧れますよね。
そして、クセになるんです。
もっとボカしたい!!!って(笑)。
実は、絞りだけがボケの大きさを決めるわけではありません。
背景をよりボカすには……
■ズームを望遠側にした方が、より効果が大きくなります。広角側(ワイド側)にするとあまりボケません。
■被写体に対して、距離が離れている背景のほうが、よりボケます。
■マクロモードにするなど被写体に近づいて撮った方が、よりボケます。
■ちなみにレンズに近いものもボケます。背景より前景のほうがボケやすいです。
例えば、上記条件を最大限に生かすとこんな感じに……。
絞り値を小さくして、望遠側にして、背景は遠いところになるよう撮影アングルを決め、マクロモードでピントの合う限界まで近づき、わざわざ手前に障害物を入れる構図にして前景をボカすという、あざとくてこざかしい撮り方です(笑)。
でもこうすることによって、まわりの雑然とした要素をボケによって印象を薄め、主人公であるウミウシを写真の中で浮き上がらせるように見えませんか?
これを、「前ボケ」(まえぼけ)と「後ボケ」(あとぼけ)と言い、定番テクニックのひとつです。
特に前ボケは普通に写真を撮っているときには、あまり入れる事のない要素だと思いますので、撮影アングルを含めて練習してみると良いですね。
なお、被写体もボケると「ピンボケ」写真になってしまいますのでご注意を!笑
さて、そろそろ2014年もそろそろ終わろうとしていますね。
寒いからとダイビングから離れている方も多いかもしれませんが、カメラの練習は陸でもできますので寝正月にせず、上達に励んでくださいね!
それでは良いお年を。
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