水中ストロボの正しい取り付け方 ~アームから光ケーブルまで~
前回は外付けのストロボを2機種ご紹介しました。
今回はそのストロボを、カメラに取り付ける方法を説明します。
※ストロボ、フラッシュ、スピードライトなどいくつかの呼び方がありますが、本記事ではストロボで統一します。
ストロボ取り付けアームには種類がある
ストロボをカメラに取り付けるためには別途パーツが必要になります。
カメラのハウジングの多くにはアクセサリーシューと呼ばれる“取り付け座”が備わっており、このシューに対応した接続パーツでアームをカメラハウジングに接続します。
アームの先端はストロボへ取り付ける構造になっています。
この写真の形状の接続パーツを「YS」形式と呼びます。
前回紹介したストロボのうちYS-01(SEA&SEA製)はこのYS形式での接続です。
一方、S-2000(INON製)のストロボは、パーツにより接続方式を選ぶことができます。
一番左のパーツ(Zジョイント)を使うと、YS型式の接続に対応します。
真ん中(ダイレクトベース)、もしくは右側(Zアダプター)を使うと“ボール”型式の接続に対応します。
ボールはクランプと呼ばれるパーツでボール同士を挟んで締め込み接続します。
なお、YS形式をボール形式に変換するパーツもあります。
なんだかパズルのようになってきました(笑)。
ややこしいので整理しますね。
- カメラハウジングの台座は「アクセサリーシュー」(単に「シュー」とも呼ぶ)
- ストロボ側は「YS」と「ボール」形式の2種類
- どちらも相互に変換できるパーツがある
ということで、どちらのメーカーのストロボでも、接続パーツによりYSにもボールにも対応可能なのでご心配は無用です。
光ケーブルの種類
外付けのストロボを光らせるためには“光ケーブル”でつないで、カメラの内臓ストロボの光を導いてあげる必要があります。
というのも、一見ストロボは一瞬光るだけのように感じますが、実はシャッターが切れるまでの短い時間の間に、複雑なパターンの発光を複数回行っています。
そしてカメラはこの短い時間で、光るタイミングや明るさなどを計算しつつ、ちょうど良い写りになるよう制御しながら光らせています。
光ケーブルでその光を導くことにより、外付けストロボは内蔵ストロボの光り方を真似して光ります。
つまり「なりすまし」…カメラをだましているのでした(笑)
だまされている事に気づかず、カメラは内蔵ストロボのつもりで、実は外付けストロボを細かく制御して、きれいに写すことが出来るといった仕掛けです。
その内蔵ストロボの光をこっそり横取りするための穴がこちら。
カメラハウジング側は直径6㎜ほどの丸い穴が備わっている形式がポピュラーです。
一方、ストロボ側は……。
やはり、メーカーにより接続形式が違うのでした。
ということで、光ケーブルも各メーカー対応の2種類が存在するのです。
ストロボは光ケーブルで導かれてきた内蔵ストロボの光を、光センサーで読み取って、「なりすまし」発光を行うのです。
※実際には外付けストロボ側でもメーカー独自の制御が加わります。
アーム選びは、ステップアップを考慮して!
この写真のような一体型アームでの取付方法がいちばんシンプルですが、可動範囲が前後方向に限られているのがデメリットでもあります(うっかり左右にブレてしまわないのはメリットとも言えますが……)。
将来的なステップアップを考えた場合、個人的にはボール形式での接続をお勧めしたいと思います。
その理由は、前後左右上下に可動範囲が広い事。
光を当てる角度で写真の雰囲気がガラリと変わることを学ぶのに適しています。
加えて、パーツを増やしてステップアップするときに部品が無駄にならない事。
より多彩な角度や距離から光を当てることができます。
アームや接続パーツは色々なメーカーからラインナップがありますので、お店やインストラクターさんにも相談しながら、ぜひあなたに合った一台を仕上げてみてください!
はじめての水中写真上達サプリ(連載トップページへ)
- これから水中撮影を始めたい方向け「はじめての水中写真上達サプリ」連載スタート
- 2014年版・水中写真デビューにおすすめのカメラ・ベスト3
- 水中でカメラとハウジングを水没から防ぐためのメンテナンス術
- 水没チェックからエントリーまで、水中撮影でのカメラトラブルを防ぐポイント
- 脱・ピンボケ写真!必ずマスターしたい半押しのテクニック
- フラッシュをオフにする!?水中スナップ写真を上手に撮る方法
- 無重力の世界では自由自在!? アングル(視線)を変えるだけで劇的に変わる水中写真
- 脱・オート!プロはマニュアルで撮る!? 撮影モードの謎
- “絞り優先オート”で、ふんわりボカシ写真にチャレンジ!
- 水中撮影あれこれ失敗談と対処法
- カメラが苦手な水中シーンを綺麗に撮る ~露出補正で印象的な光写真~
- ダイバーにオススメの水中ストロボ2機種 ~S-2000とYS-01~
- 水中ストロボの正しい取り付け方 ~アームから光ケーブルまで~
- 拡大レンズではなく、近寄れるレンズ!? クローズアップレンズでマクロ撮影
- クローズアップレンズの度数と撮影距離の関係とは