はじめての水中写真上達サプリ(第8回)

脱・オート!プロはマニュアルで撮る!? 撮影モードの謎

カメラ(提供:大川拓哉)

「プロって、マニュアルで撮るんですよね?」

プロカメラマンのフォトセミナーなどで、こんな質問を耳にすることがあります。

「オートじゃぁ、いい写真は撮れないんですよね?」

フォト講習をしていると、こんな質問を受けることがあります。

上達のための「脱・オート」は、ある部分では正解ですが、オートという言葉が関わる範囲はひとくくりにはできないほど広いのです。

オートの謎を解く特集、撮影モードの秘密に迫る!

カメラのさまざまな機能で使われる“オート”

オートと名のつく機能、実はいろいろあるんです。
最初に思いつくのは「オートフォーカス」ではないでしょうか、つまりピントですね。
(連載5回目「脱・ピンボケ写真!必ずマスターしたい半押しのテクニック|オーシャナ」で取り上げましたのでご覧ください。)

そのほかにオートと言えば「オートホワイトバランス」。

これは色合いを整える機能です。
光には色合いがあり、例えば白熱電球は赤っぽく、蛍光灯では緑っぽく、太陽光はナチュラルで、日陰は青っぽい、といった感じです。

人間の目には、どんな光の環境下でも極端に色が偏らないように調整する「順応」機能が備わっています。
カメラのオートホワイトバランスも同じような機能です。

ちなみに「水中モード」の色合いは「水中ホワイトバランス」という機能が働いています。
連載6回目「フラッシュをオフにする!?水中スナップ写真を上手に撮る方法|オーシャナ」で説明しましたが、水中は水の影響で赤系の色が失われる特殊な環境ですので、それを補正する特殊なホワイトバランス機能です。

ほかにも「ISO感度オート」や「ストロボオート」「オート調光」などあるのですが、今回取り上げるのは「撮影モードのオート」です!

基本的な撮影モードは全部オート⁉

カメラ(提供:大川拓哉)

カメラの撮影モードはこんな感じでダイヤルやメニューの中にあります。

いろいろありますが、基本的には写真の露出(=明るさ)を決めるための2大要素である<絞り>&<シャッタースピード>をカメラが決めてしまうのが「AUTO」であり、言ってみればフルオート機能です。

それに対し、「もう少し明るめに」や「フラッシュは強制オフ」など、撮る側の人間の意思を少しでも加えたい場合は、AUTO以外のモードを使う必要があります(メーカーや機種により、AUTOで動作する範囲に若干の違いがあります)。

AUTO以外の基本的な撮影モードはP・A(Av)・S(Tv)・Mの4種類です。

Mはビギナーが恐れるマニュアルモードです(笑)。今回は除きますね。
でも、ほかのPもAもSも、機能としては実はオートなんです。

■Pはプログラムオート
■Aは絞り優先オート
■Sはシャッタースピード優先オート

ということで、全部オートなんですね~。

「そんなこと言って!だまそうとしていませんか!?」
いえいえ、それでは各モードで同じものを撮ってみましたのでご覧ください。

撮影テスト(提供:大川拓哉) 撮影テスト(提供:大川拓哉) 撮影テスト(提供:大川拓哉) 撮影テスト(提供:大川拓哉)

※作例はすべてISO感度はオート、ストロボはオフに設定しています。

どうですか?

写真の明るさは全部同じですよね?
前述したとおり、写真の露出(=明るさ)を決めるためには、<絞り>&<シャッタースピード>の2大要素があります。

■Pは絞りもシャッタースピードもカメラにお任せ
■Aは絞りだけ自分で決めてシャッタースピードはカメラにお任せ
■反対にSはシャッタースピードだけ自分で決めて絞りはカメラにお任せ

結局、AUTOもPもAもSも、最終的にはカメラが明るさを判断して制御するので、どのモードを使って撮っても「写真の明るさ」については、同じになるのです。
(Mだけは絞りもシャッタースピードも人間が決めるので、マニュアルというわけです。)

ということで、信じていただけましたか?

冒頭での質問「プロって、マニュアルで撮るんですよね?」
プロカメラマンに聞き取り調査をしていないので、正確なところはわかりませんが……「その場に適したモードを使う」というのが正解だと思います。

例えば越智さんがめずらしく撮影モードについて解説している記事があります。

この記事の中で、シャッタースピード優先モードについて触れていますのでぜひご覧ください。

もちろん「俺はプロを目指すからマニュアルでしか撮らねぇ!」というこだわりがあっても構いません(笑)。

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PROFILE
グアムでCカードを取得~沖縄リゾートダイバーだったはずが、新千歳-那覇直行便が廃止となったのを機に?北海道で潜り始める。
 
セルフでしっかり潜りたくてプロダイバーになったはずなのに、インターンで目覚めて?ガイド業へ。

テレビのカメラマンだったはずが、水中デジフォトインストラクターに。
 
積丹半島をベースに、北海道を幅広く潜っています。
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