カメラが苦手な水中シーンを綺麗に撮る ~露出補正で印象的な光写真~
写真のことを英語で「photograph(フォトグラフ)」と言いますが、語源は「光を描く」だそうです。
なんとも的を得た、とってもいい言葉だと思いませんか?
今回は、この「光」を捉える技法のひとつ、「露出補正」の活用をお話ししてみようと思います。
写真の基本“露出”ってなんだ?
“露出”という言葉で何を思い浮かべますか?
これは寺山編集長の大好きな露出です。
露という漢字は、露出、露呈、露骨などに使われますが「あらわ」と訓読みしますね。
寺山編集長の露出は「お○ん○ん」や「おケツ」を露わにする事ですが……。
写真の露出は、レンズがとらえた光(景色)をどのくらいの強さで、どのくらいの時間、フィルムに当てるか、言い換えると“フォルムをどれだけ光に露わにするか”ということになります。
(もちろんデジカメはフィルムではなく撮像素子などと読み替えてください)
光の強さは「絞り」により、光のあたる時間は「シャッタースピード」によりコントロールされ、最終的な光の総量は写真の「明るさ」となって写真に写し留められます。
広義にはこの“写真の明るさを露出”といいます。
また、写真の明るさを決める3大要素である「絞り、シャッタースピード、感度」の数字の組み合わせを総称して露出と表現することもあります。
ということで、原理をひも解くと、寺山編集長の露出も写真の露出も同じという事が分かりましたね(笑)。
露出はカメラがコントロールしてくれる!?
連載8回目で撮影モードのお話をしました。
AUTOモードも、PモードもAモードもSモードも、結局はオートモードなので、写真の明るさ(=露出)はカメラが自動的に決めてくれる、どのモードを使っても同じ明るさに写ります、ということを説明しました。
そして、「撮る側の人間の意志を少しでも加えたい場合は、AUTO以外のモードを使う必要があります」とも説明しました。
今回は“露出補正“、つまり“露出”を変化させて写真を撮るので、P・A(Av)・S(Tv)のいずれかのモードを使ってみましょう。
特に意図がなければPモードが最適です。
(ISO感度はオートにしておくのがベターです)
※メーカーや機種により、AUTOモードで露出補正のできるものもあります。
水中写真を撮るなら、知っておきたい“露出補正”
なんだか難しそうな操作をするように感じるかもしれませんが、たいていのカメラの場合、露出補正を行うには露出補正マークのついたボタンを押せばOKです!
(ボタンの場合もありますし、液晶画面の中のアイコンかもしれません)
露出補正が使える状態になったら、あとはカーソルやダイヤルなどで“+”や“ー”の方向に操作すると写真の明るさをお好みに合わせて変えることができます。
ちなみに、露出補正が0(ゼロ)は、補正なしという事です。
カメラが自動的に決めてくれた明るさ(=露出)です。
これを基準に、好みに応じて明るく(+)、もしくは暗く(-)することができる機能が露出補正というわけです。
カメラが苦手なシチュエーションを露出補正で克服!
カメラが自動的に露出を決めるうえで苦手なシチュエーションがあります。
そのひとつが「画面の大部分を白い景色が占める状態」
陸上で背景がくもり空や雪原の場合、もしくは室内で窓を背景に写真を撮る場合に顔が暗く写ってしまうことがありませんか?
海では白い砂が例として分かりやすいと思います。
一見、このままでも綺麗な写真に見えるかもしれませんが、露出補正をプラスにした写真も見てください。
どうですか?
実際の海の中での印象に近いのはプラス補正をした方の写真ではないでしょうか?
白砂がまばゆいくらいに白く、陽のさした明るい海にサンゴが映える写真になりましたよね!
カメラは、画面の中に白い部分が占める割合が多いと、「うはっ! 明る過ぎるかも!!」と思ってしまい、全体を中途半端に暗めに写るようコントロールしてしまうのです。
もうひとつ、カメラが苦手なシチュエーションを……。
「画面の大部分を黒っぽいものが占める状態」です。
まあ、これもこれで綺麗な写真に見える気もしますが……。
こちらは露出補正をマイナスにした写真を見てください。
どうですか? 岩肌がより黒くなり、光と影のメリハリが増して、洞窟内に差し込む光芒が印象的な写真になったと思いませんか?
また海の青が濃く(より青く)写る事にも注目してください。
カメラは画面の中に黒っぽいものが占める割合が多いと「やばっ! 暗いかもっ!」っと思ってしまい、中途半端に明るく撮ろうとしてしまうのです。
露出補正を使って自由に撮ってみよう!
ということで、露出補正を使うことによりスナップ的な写真が、グッと作品的になることがわかって頂けたのではないかと思います。
注意することはストロボ(フラッシュ)を使わない=OFFにするという事です。
ストロボを用いる場合は、これとは別の理屈が必要となるため割愛しますが、ライトを使ってマクロ撮影する場合などはこの手法が使えます。
なお、シャッターを半押しすることで、カメラはピントと露出を決めます。
露出補正を使うときは、まず構図を決め、とりあえずシャッターボタンを半押し。
すると、液晶画面で確認ができますので、あらためて補正を加えれば良いでしょう。
もちろん、まずは1枚撮ってしまってもOKです。
また、大きく構図を変えるとカメラがコントロールする露出自体も大きく変わるかもしれません。
その場合はあらためてシャッターボタンを半押しして確認してください。
デジカメは液晶画面で結果をすぐに見ることができますし、メモリーの許す限り何枚でも試すことができます。
プラスにマイナスに、どんどんトライしてみてください!
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