はじめての水中写真上達サプリ(第3回)

水中でカメラとハウジングを水没から防ぐためのメンテナンス術

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はじめての水中写真上達サプリ

デジカメも買ったし!ハウジングも買ったし!さーてLet’sフォトダイブ!
ちょっと待ってくださーい!
あなたのハウジングちゃんとメンテナンスしてますか?

はやる気持ちを抑え、「失敗しないためのハウジングのメンテナンス」が今回のテーマ!

カクレクマノミとイソギンチャク(撮影:大川拓哉)

水中撮影で一番大きな、そして悲しい事件は「水没」。
ハウジングの中に浸水してしまう事を俗にそう呼ぶのですが、その程度も様々です。

軽微な例だと、わずかに浸入した水分でハウジングの中やレンズ部分が曇ってしまう程度の水没もあれば、カメラが浸水による動作不良を起こしてズーム操作が効かなくなったりボタンが反応しなくなったり。

もっとひどい状況になると完全に浸水してしまい、ハウジングの中が水で満たされるほどの「ジャブジャブ」状態。
こうなると残念ながらカメラさんは即死してしまいます。

軽微な水没の場合でも、塩分を含んだ海水であるため電子機器であるカメラは大きなダメージを受けることが多く、修理ができない、もしくは修理費用が購入価格を上回ってしまう「全損」扱いになることも少なくありません。

また、「乾かしたら直っちゃった!」という場合や、修理して帰ってきた場合でも、海水の影響は時間がたってから出てくることも。
なんだか調子が悪いカメラを我慢しながら使い続けている人も見かけます。

せっかく休みを取ってダイビングに行っても、トラブルで写真が撮れなくなってしまったら楽しみも半減してしまいますよね。
そうならないためにも潜る前のメンテナンスがとても大事なのです。

ハウジングのメンテナンスはOリングが超重要!

メンテナンス=「Oリング」(オー・リング)のメンテナンスと考えて良いでしょう。

Oリングとはハウジングを開けた時に見えるゴム製のリングです。
このOリングが水の侵入を防ぐ密閉機能を担ってくれているわけですから慎重に…。

まずは、ハウジングからOリングを外します。
ほとんどのハウジングにOリングを外すヘラのようなパーツが同梱されているはず。
ヘラや爪などでキズをつけないように、慎重に外してください。
外したOリングは、埃やゴミなどがつかないようにポリ袋やアルミホイルを敷いた上に置くのが良いでしょう。

まずハウジングのOリングがハマっていた溝を清掃します。

カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉)

ふき取りにはケバの出ない素材が良いため、レンズクリーナーペーパー(あぶら取り紙のような素材)や、紙製ウエス(製品名:キムワイプ)などを用いるのが最適だと思います。
…が、花粉症の私は高級ティッシュペーパーを使っています(笑)。

写真は4ダイブ(2ダイブ×2日間)後の様子で、途中で開閉したのは、SDカードとバッテリーを取り出して再度セットするための数回ですが・・・

カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉)

思った以上に汚れていますね!
Oリングのミゾ側だけでなく、反対側の面も忘れずにふき取りを行いましょう。

カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉)

次にOリングの清掃ですが、拭き取るときに強く引っ張らないよう注意してください。
伸びてしまいますからね。

カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉)

ちなみに、このOリングは約半年使用、60ダイブほどですが…、

カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉)

新品と比べるとこんなにも直径が違います~!!!
気を付けていてもこんなに伸びてしまうものなのですね。

Oリングもやはりこのくらい汚れています。

カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉)

ゴミが残っていないか目視や指の感触で確認してくださいね!
ふき取り紙のケバやチリ、髪の毛、海水の塩の結晶、砂などすべて大敵です。

グリースアップで長持ちするOリング

清掃が終わったら、次はグリースアップです。
ここでゴミを付着させては元も子もありませんので、私は一度石鹸で手を洗います。

どのくらいグリースを付ければ良いのかと言う質問をよく受けますが、少ないよりは多めのほうが良いと思います。
Oリング全体にしっかり馴染むようグリースを伸ばして塗って下さい。

足りないようであればもちろん追加して塗ってかまいません。

カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉) カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉)

ここで注意なのですが、グリースは必ずメーカー指定のものを使いましょう。
Oリングはほとんどのものがシリコーン製なのですが、ゴム製のものもあったり、同じシリコーンでも成分や割合が違うと、合わないグリースが原因でOリングを痛める事があります。

トラブルを未然に防ぐポイントは“指の腹でなぞる”

ハウジングの溝にOリングをはめ込みます。
この時もあまり強くOリングを伸ばさないように気を付けてはめて下さい。

はめ終わったら、ここが最後の大事なポイント!
指の腹で軽く一周なぞってください!!
右回り、左回りの最低2回がお勧めです。

カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉)

なぞることにより、Oリングがしっかり溝にはまっているかの確認が出来ると同時に、余分なグリースをふき取る事ができます。
指の腹の感覚はとても繊細ですので、何か異物などがあれば感触でわかるはずです。

忘れずに、Oリングのついていない側も同様に指の腹でなぞって下さい。

カメラハウジングOリングの掃除(撮影:大川拓哉)

この「指の腹でなぞる」作業を、ハウジングを開け閉めするたびに必ず行う習慣をつけることによって、異物の付着やOリングのズレ、よじれなどを原因とするトラブルを未然に防ぐことができると思います。

その他、注意点は……。

  • ハウジングの開け閉めは水分を十分にふき取って乾いてから。
  • 明るいところで行う。
  • 風のないところで行う。(エアコンの風など)
  • 酔っぱらって作業しない。笑

最後にカメラがしっかりハウジングに収まっているか、乾燥剤が入っているかをチェックして、ハウジングをゆっくり、そしてしっかり確実に閉じればおしまいです。
くれぐれも乾燥剤やストラップのひもなどを挟まないように、しっかり確認しながら行いましょう。

最初は面倒な作業に感じますが、手順に慣れればほんの数分の作業です。

しっかりメンテして、水没とは無縁のたのしいフォトダイブlifeを!

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PROFILE
グアムでCカードを取得~沖縄リゾートダイバーだったはずが、新千歳-那覇直行便が廃止となったのを機に?北海道で潜り始める。
 
セルフでしっかり潜りたくてプロダイバーになったはずなのに、インターンで目覚めて?ガイド業へ。

テレビのカメラマンだったはずが、水中デジフォトインストラクターに。
 
積丹半島をベースに、北海道を幅広く潜っています。
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