美しすぎる飛行機の残骸が沈む、PNG・ケビエンの海
先日開催されたパプアニューギニアナイトで、話題の中心となったケビエン・リセナン島。
「行きたくなった」と同時に、「もっと詳しく知りたい」との声も多く、イベントでは、伝えきれなかった情報をお伝えします。
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以前、リセナン島付近での一番の人気ポイント「アルバトロス・パッセージ」についてご紹介しましたが(パプアニューギニア・リセナン島、一番人気のポイントの実力)、私が取材で訪れて最も興奮したのは、実はレックダイビングポイント。
パプアニューギニアの沈船や沈飛行機は、ほとんどが第二次世界大戦の時に沈んだもの。
その中で忘れることのできないレックダイビングポイント2か所をご紹介します。
Deep Pete(ディープピート)
水深40mの真っ白な砂地に眠る飛行機
沈んでいるのは旧日本軍の三菱重工製の飛行機だと言われており、水深は40m。
取材陣に今までにない緊張が走りました。
減圧の関係で、水深40mにいることが許されるのはほんの数分。
15分の時間差で2班に分かれて潜ることとし、私はカメラマンの中村卓哉さんと共に先行チームになりました。
時間を守ること、砂地を荒らさないことなど注意事項を確認しながらも、「飛行機が真っ白な砂浜に横たわっているポイント」だと聞いていたので、エントリー前から胸が躍っていたのは正直なところ。
沈飛行機Deep Peteは美しすぎた
その日は天候にも透明度にも恵まれ、水深25mの地点で眼下に飛行機を確認することができました。
母体、翼、プロペラは想像以上に原型を留めており、飛行機の”残骸”というにはもったいなすぎるほど美しく、初めのうちは雰囲気に圧倒され、近づくのを躊躇。
飛行機の周りを一周するのには1分ほどかかり、機体の周りのヨスジフエダイの群れが華を添えていました。
7分ほどすると無減圧潜水時間が限界に近かったので、名残惜しくも浮上を開始。
19mで1分間減圧してから浮上を再開し、5mで安全停止したのちにエキジット。
全員の第一声はそろったことは言うまでもないかもしれません。
「ここは、何としてでももう一回潜りたい!」。
長年水中で活躍しているプロの水中カメラマンたちでさえ、神秘的なその姿を目の前に、興奮しているのが伝わってくる、そんなポイントでした。
カタリーナ
空中分解し水深25mに沈んだ沈飛行機
2つ目にご紹介するポイントは「カタリーナ」。
その名の通り、アメリカ軍の飛行機が沈んでいます。
このカタリーナ、第二次世界大戦の際にはケビエンからトラック諸島(チューク)に視察のために飛び立ったものの、離陸直後に空中分解を起こして沈んだとのこと。
カタリーナはプロペラを2つ保有しており、その2つともが残っていることなどから、こちらも予想よりは原型を留めていたのですが、それでも、弾はあっち、タイヤはこっち、拳銃はそっちのように、バラバラと海底に散らばっているといった印象。
空中分解ののち墜落するとこうなるのか・・・という現実を目の当たりにし、戦争の生々しさを痛感させられました。
残ったプロペラとボディーは、すでに多くの魚の漁礁になっており、プロペラの裏にはイソギンチャクが住みつき、その中には可愛らしいカクレクマノミも。
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Deep Peteとカナリーナはポイントが近いので、水面休息さえきちんと取れば続けて潜ることも可能。
両機体共、南太平洋に面して沈んでいることから、透明度にも恵まれることが多く、水は薄い水色。
さらに白砂の上にふわっと乗っているので、俯瞰して見てみると、未だに空を飛んでいるかのようにも見えてきます。
叶うならもう一度潜りたいポイントです。