沖縄離島のダイビング旅2017(第7回)

西表島の鹿ノ川にダイバーも憧れ“ブラックマンタ”が初登場!!

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うなり西表2017

2017年5月26日、西表島の鹿ノ川中ノ瀬(かのかわなかのせ、以下、鹿ノ川)というマンタポイントに、日本では珍しいブラックマンタが登場!!

今回、西表島では、うなりざきオーナーの吉坊こと仲里吉一さんから「カスミアジをモデル入りで撮影する」という最難関とも思われるミッションを与えられ、その撮影に入っていたが、取材最終日の26日は天候が悪く、カスミアジのいるオガンまで船が出ないので、島周りのポイントにダイビング船を出すことに。

1本目ダイビングを行ったポイント「タマモクロス」と目と鼻の先にあるマンタポイント「鹿ノ川」。

エキジットして鹿ノ川の方を見ると、数隻船が見えたので、ガイドの森脇純一さんにマンタの情報を聞いてもらうと、「一度に4枚、合計6枚、うち1枚はブラックがいた」というではないか。

この日は金曜日ということもあり、ゲストは25人くらい乗船しており、“ブラックがいるかもしれない”という情報を大っぴらに公表したわけではないのにも関わらず、エントリー時にはほとんどの人が知っていたという事実。
やはりダイバーにはブラックマンタは憧れの存在だということがわかる。

1時間の水面休息後、船から静かにエントリーし、マンタのクリーニングステーションを目指して泳いでいると、左前方からマンタが2枚登場!

「マンタ2枚います!」を示すピースサインを越智カメラマンの方に向け、そちらの撮影に向かうやいなや、右側からはガイドの森脇さんの“チリン”という短いベルのサイン音が。
ブンっと首を横に振ると、うすぼんやりとマンタらしきものがこちらに向かってくる。

“え、黒い?まさかブラック?”と思い、森脇さんに「ブラック?」と話しかけると、「ブラック」との返事(※全部レギュレーター越しに会話)

きた…。

うなり西表2017

ここまで、エントリー開始からだいたい2分くらいの出来事。

ずっと見てみたかったブラックマンタが、目の前を通り過ぎていく。
それはもう、スローモーションがかかったような感じで(いや、単にめっちゃゆっくりだっただけだけど・笑)。

ブラックマンタは、クリーニングステーションでホバリングすることなく、す~と3人の前を通過。しかも、ホワイトとの演舞まで披露してから。

うなり西表2017

ホワイトとブラックのコラボレーション

ブラックマンタと人が絡んだ撮影も可能ではあったのだけど、すごくゆったり泳いでいたので、また戻ってくるだろうと予想したことと、先述の通りこの日船にはあと20人くらいのゲストが水面休息で、まだ海の中に入っていない状況だった。

ここで近寄ったら、きっと人慣れしていないであろうブラックは嫌がるだろう……驚かせてしまって、もの凄いスピードで逃げて行ってしまったら最後、もう帰ってこないだろうし、取材班が逃がしたとなって皆が見られないのも嫌だしという思いから、越智カメラマンも無理には近寄らず、私も並走して写り込むことは諦め、全員が見られてからという“2度目のチャンス”に懸けた。

懸けたのだったが……ブラック帰還ならず。

「25年ぶりに見た」
うなりざき社長に聞いた、西表島のブラックマンタ事情

うなりざき社長の大島佐喜子さん(うなりざき歴33年目)に、西表島のマンタ事情について聞いてみたところ、大島さんも西表でブラックを見たのは25年前のことだそう。
「西表にブラックマンタが登場するのは25年ぶりです。その時はヨナラ水道で見ました。でも、今年は多くて、実は3回目なんですよ」

なんと! 珍しいブラックマンタが、今年は3回も西表で見られているとのこと。

1・2回目に遭遇したスタッフに確認すると、1回目が2017年3月3日、2回目は4月23日、それで今回の5月26日で3回目。
しかも3回とも鹿ノ川での2本目のダイビングで見ているとのこと。

なにか、八重山地方に特別なことでも起こっているのでしょうか。

実は、黒島の南側で
ここ3~4年ブラックマンタは見られていた!?

石垣島にダイビングサービス「サニーサニー」を構える寺本晃洋さんによると、黒島の南側のヘリに位置するマンタが捕食をするポイント、パナリ(ショップによってはアラグスクなどの呼び方もある)で、ここ3~4年(12~3月。年明けくらいが多い)はブラックマンタを見ており、今年に至っては、4月末に2度見ているとのこと。
ただし、ゆっくりとホバリングをしているところは見ておらず、だいたい素通りしていくらしい。

この動きは、今回取材班が西表の鹿ノ川で見たマンタの動きに似ていると思っていたら、2017年1月28日に寺本さんがヨナラ水道で遭遇した個体と、今回越智カメラマンが撮影した個体は同じであることが判明。

うなり西表

寺本晃洋さんが1月28日にヨナラ水道で撮影したブラックマンタ

うなり西表2017

越智カメラマンが、5月26日に鹿ノ川で撮影したブラックマンタ。腹部中央の小さな白い部分の模様が一致する

この1枚だけなのか複数個体がいるのかは、現時点では定かではないものの、少なくとも、今年は1月~5月までの間、同じ海域に同じ個体が生息しているのは確か。

 久米島で撮影されたブラックマンタ2017

久米島で撮影されたブラックマンタ

一時期、マンタが見られなくなった時期があった

「オニヒトデにサンゴがやられたり、台風や船のアンカリングの影響などもあったりで、今までで2度、サンゴが壊滅状態に陥ったことがある」と、うなりざき社長の大島さん。

「30年~20年前くらいは、西表側のヨナラ水道にマンタをよく見に行っていました。でもそのあとでサンゴがダメになって(上記のような影響から)、それと同時にヨナラでマンタがあまり見られなくなりました。ヨナラにマンタが復活したのは、実はここ数年のことなんですよ」

「でも、見られなくなったと言っていた時期にも、小浜島の人は、春と秋にはマンタは見られていると言っていました。近いからよく見に行っていたみたいですね」

うなり西表2017

うなりざき社長の大島佐喜子さん

「鹿ノ川にブラックマンタが登場するのは初めてだ」と驚きを隠せない様子の大島さん。
少なくとも大島さんがうなりざきに来てから33年間は見ていないとのこと。

イソマグロやカスミアジの大群が見られたり、ブラックマンタが登場したり、奥が深い西表島。ジンベエザメも、時折登場するらしい。

今回ブラックマンタが見られた鹿ノ川でのマンタ遭遇率は、私も越智カメラマンも今のところ100%!!

驚くべきは、16年間西表でガイドをしている森脇さんが、ブラックマンタ自体人生で初めて見たということ(言うまでもなく、私も人生で初めてのブラックマンタ)。
そして、越智カメラマンも、日本でブラックマンタを見たのは初めてとのこと!

うなり西表2017

大島さんと、人生初ブラックマンタに出会ったガイドの森脇さんと

そんな、超レアなブラックマンタが見られるかもしれない、鹿ノ川でのマンタの時期はこのあと6月中旬まで!

そのあとはカーチバイ(梅雨明け後の本格的な夏を告げる夏至南風のこと)が吹くので、南側は波が高くマンタのポイントにはあまり行けなくなるとのことだったけれど、また11月頃からはマンタも出始め、ポイントに行けるようになるとのこと。

うなり西表2017

マンタの進路を邪魔しないようにして待ち受けると、マンタに嫌がられることなく至近距離まで近づくこともできる

善は急げ!
遭遇したらぜひ編集部までご一報を!

■Supported by ダイビングチームうなりざき西表店

うなり西表2017

オープンして32年の老舗店で、西表でも一番人気のダイビングサービス。
62フィートの大型船3隻と42フィートの小型ボート1隻の計4隻で、様々なダイビングに対応してくれる。

西表島の鹿ノ川にブラックマンタが初登場!!

オガンでのダイビングを最優先したスタイルが人気で、リピーターも多い。
宿泊施設は、全室オーシャンビュー40室、レストラン併設のイルマーレと、西表パイン牛のBBQコースが楽しめるヴィラがあり、多くのダイバーの受け入れが可能。
西表島のお土産には、西表島パインをぜひ!

沖縄県八重山郡竹富町字上原10-172
TEL.0980-85-6146
E-mail:info@unarizaki.com
URL:http://www.unarizaki.com/iriomote/

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writer
PROFILE
成蹊大学文学部国際文化学科卒業。
ナレーター、司会、ダイビング・モデルとして、TV、雑誌、モーターショー、トークショーなどで活躍。宝くじのキャンペーンガール「幸運の女神」では、46都道府県を旅する。

2013年からは、大物運・海況運をつかさどる「海の女神」へと転身し、舞台を海に変えてオーシャナの突撃体験レポートを担当。
潜水士資格も取得し、2014年は伊豆大島復興観光大使「ミス椿の女王」として、伊豆大島をはじめとした被災地復興支援活動にも尽力する。

「ダイビングがきっかけで、物の見方も感じ方も生き方も180度変わり、自分の周りまでもキラキラ輝き出したことを実感。 
いろんなことを体験しながら、たくさんの“きっかけ”を届けていきたいです」

【経歴】
・第25期 日本テレビイベントコンパニオン
・第11~12期 スバルスターズ
・第33期 宝くじ「幸運の女神」
・第23代 ミス椿の女王(2014.2~)
・第29代「ミス熱海・桜娘」(2016.1~)
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