キリがないほどの美しさ ~ケビエン・リセナン島の空~
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奇跡のような夕陽を前に言葉を無くした。
無我夢中でシャッターを切るが5分前よりもさらに赤く、そしてそれよりもさらにまた空が赤くなっていく。
どこまで赤くなるのだろう。
キリがないほどの美しさとはこんな光景なのかもしれない。
空っぽになったビール缶を握りしめたままでも、きっとこの場所に佇んでいただろう。
360度周囲を海に囲まれたケビエン・リセナン島。
ここは水平線から昇る朝日と沈む夕陽の両方を満喫できる特別な場所だ。部屋のバンガローから30歩でこの景色が広がっているのだからなんとも贅沢である。
ビール片手に砂浜に横になる者、三脚を何本も立てその瞬間を動画で記録する者、紅に染まる空をぼーっと見つめ瞳を赤く染める者。
それぞれが束の間のマジカルな光景を写真や映像や心に記録している。
しかし不思議だ。
とてつもないサプライズな生物が目の前にいるわけでもない。
誰もが簡単には行けない道中過酷な絶景地でもない。
ごくごく当たり前に毎日必ず訪れる風景を皆が無我夢中になって記録している。
誰の頭上にも必ず存在する空、太陽、雲、そして綺麗な海があるだけである。
だからこそ万人が惹かれるのだろう。
近代写真の父、アルフレッド・スティーグリッツが晩年に空の写真ばかり撮影したという話が頭によぎる。
大切なものと特別なものは違うはずだ。
しかしながらこの先もこんな空が当たり前に見ることができる地球であってほしい。
次第に空の赤みが海に溶けていき満点の星空が顔を出した。
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