パプアニューギニア ”濃密の瞬間(とき)”(第5回)

憧れの海、パパはニューギニア!? 

この記事は約2分で読めます。

パプアニューギニアアロタウ(撮影:中村卓哉)

アロタウの海中風景

今から10年前、沖縄から拠点を東京に移し、満を持して水中カメラマンとしてステップアップしようとしていた時のことである。
オリンパスギャラリーで親子写真展の企画を頂いた。

オリンパス初のマイクロフォーサーズの一眼レフカメラを使用して、好きな海をテーマに撮り下ろしをするというのが展示の条件だった。

沖縄で経験を積み、多少なりとも写真の腕に自信がついた時期ではあったが、正直プレッシャーも感じていた。
親父は私にとって水中写真の師匠でもあるからだ。

私は通い馴れた国内の海で写真展のための撮影を敢行することにした。
そして数ヶ月後、いよいよ写真展前日の飾り付けの日のこと。
挑戦者の意気込みで作品を対峙させたわけだが、いきなりの親父の一言で肩透かしをくらう事に。

「どうだ、俺はパプアニューギニアで撮影した写真だ。パパはニューギニアなんてね(笑)」

「パ、パパはニューギニア!?・・・」

まさかの親父ギャグ。

しかし、余裕の一言と共に並べられた親父の写真は生命力に満ちていた。
中でもアヤコショウダイの群れが揃ってこっちを見つめている写真は強烈なインパクトだった。
私にとって初めてそこでパプアニューギニアへの強い憧れを抱く事になった。

あれから10年経ち、幸運なことに今月取材するマダンでパプアニューギニアの代表的なダイブリゾートを全て訪れた事になる。
強い憧れであり、大切な目標でもあったパプアニューギニアの海の魅力を一滴も溢さず今後も伝えていきたい。

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

writer
PROFILE
1975年東京都生まれ。

10才の時に沖縄のケラマ諸島でダイビングと出会い海中世界の虜となる。

師匠は父親である水中写真家の中村征夫。
活動の場を広げるため2001年に沖縄に移住。その頃から辺野古の海に通いながら撮影を始める(現在は拠点を東京に置く)。

一般誌を中心に連載の執筆やカメラメーカーのアドバイザーなどの活動もおこなう。
最近ではテレビやラジオ、イベントへの出演を通じて、沖縄の海をはじめとする環境問題について言及する機会も多い。

2014年10月にパプアニューギニア・ダイビングアンバサダーに就任。

■著書:『わすれたくない海のこと 辺野古・大浦湾の山 川 海』(偕成社)、『海の辞典』(雷鳥社)など。
FOLLOW