パプアニューギニア ”濃密の瞬間(とき)”(第6回)

マダンで“歩くサメ”の別種をまたまた発見 ~エポレットシャークの仲間、カーペットシャーク!?~

歩くサメ・エポレットシャーク(撮影:中村卓哉)

トゥフィで撮影のエポレットシャーク

今年5月、トゥフィで行われたファムツアーにて参加者のダイバーたちを虜にしたある生物がいた。
歩くサメとも呼ばれているテンジクザメの仲間でその名はエポレットシャークという。

エポレットとはトレンチコートなどの肩の部分にある飾りのことらしいが、たしかに肩口のあたりに大きな斑紋がある。

このエポレットシャークに出会うためにファムツアーに一緒に参加していた、シャークジャーナリストの沼口麻子さんに詳しいお話を聞いたところ、ニューギニア周辺に生息しているエポレットシャークの仲間は全部で8種類。

中でもトゥフィで出会った個体はミッシェルズエポレットというかなりのレア物らしい。

日中はテーブルサンゴの隙間に身を潜めているが、夜になるとカエルアンコウのように胸ビレで地を這うように徘徊する。
その生態は謎だらけで、私自身も過去にミルンベイで一度だけしか出会ったことがなかった。

そして、つい先日マダンを訪れた際、なんと初日のダイビングでまたまた出会ってしまった。

ハマサンゴの奥を何気なく覗き込むと、長細いサメの胴体が見え、間違いなく形状や模様からエポレットシャークの仲間であることが確認出来た。

しかし顔が全く見えない。

そうこうしているうちに一緒にいた欧米人のダイバーが岩の隙間に手を突っ込んだ。
その瞬間、その子はとてつもない速さで泳ぎクレパス状の岩の隙間の奥に逃げ込んで出てこなくなってしまった。

まったくひどいことをしてくれるものだ。
しかし、歩くサメがこんなに早く泳げるなんて聞いてないよ……。

逃げる瞬間、とっさに一枚シャッターを押していたのでかろうじて証拠写真程度は抑えることが出来た。

歩くサメ・エポレットシャーク(撮影:中村卓哉)

マダンで撮影のエポレットシャークの仲間。英名Hooded Carpetshark

なんとこの個体は、トゥフィで出会ったものとは別種で英名をHooded Carpetsharkというらしい。

カーペットシャーク? エポレットじゃないの?
おそらくエポレットシャークの一種で、この子もかなりレアに違いない。

そしてマダンで撮影されたのは初めてじゃないだろうか。
名前が長いので今後勝手に“マダンエポ”と呼ぶことにした。

こんなサプライズがあるからパプアニューギニアの海は飽きることがない。

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PROFILE
1975年東京都生まれ。

10才の時に沖縄のケラマ諸島でダイビングと出会い海中世界の虜となる。

師匠は父親である水中写真家の中村征夫。
活動の場を広げるため2001年に沖縄に移住。その頃から辺野古の海に通いながら撮影を始める(現在は拠点を東京に置く)。

一般誌を中心に連載の執筆やカメラメーカーのアドバイザーなどの活動もおこなう。
最近ではテレビやラジオ、イベントへの出演を通じて、沖縄の海をはじめとする環境問題について言及する機会も多い。

2014年10月にパプアニューギニア・ダイビングアンバサダーに就任。

■著書:『わすれたくない海のこと 辺野古・大浦湾の山 川 海』(偕成社)、『海の辞典』(雷鳥社)など。