「Mares」特別企画 〜イタリア生まれの洗練されたデザインと革新的な技術のダイビングギアとは~(第4回)

Maresからダイブコンピュータ「シリウス」登場!水中写真家・鍵井靖章氏も絶賛する最先端技術に迫る

最先端・高機能のダイビング器材を生み続けているイタリアのダイビングギアブランド「Mares(マレス)」から2023年、抜群の視認性を持った進化系のダイブコンピュータ「シリウス」が満を持して登場。安全なダイビングをするための豊富すぎる機能を持ち合わせたシリウスについて、Maresがダイブコンピュータを開発する上で大切にしているポリシー、シリウス誕生の背景、そして数ある機能の中からを厳選した5機能をご紹介していく。記事最後にはMares愛用歴10年という水中写真家・鍵井靖章氏からのコメントも紹介!

Maresが考えるダイブコンピュータの役割って?

まずシリウスの紹介に入る前に紹介したいのは、Maresが考えるダイブコンピュータの意義や役割について。世の中の多くのダイバーに、ダイブコンピューターを“もっとこうやって使ってほしい”という思いを抱いているというMaresの担当者・寺田さんにお話をお伺いした。
「ダイブコンピュータは“減圧症にならないためのダイバーの必需品”と考えています。もちろん、潜水時間と深度をダイブ後に見直すための“ログを付けるための道具”としての機能も持つのですが、実はダイブコンピュータの本質は、計画通りに潜水することをサポートするための道具だということです。
日本ではガイドさんに案内してもらって水中を楽しむダイビングが一般的ですが、中には安全管理もガイドさんに任せっきりで、ダイブコンピュータもあまり見ないダイバーもいます。レンタルでダイブコンピュータを使っているダイバーも、そのダイブコンピュータを水中で使いこなせる方はほとんどいないので、結局ガイドさんばかりを見てダイブコンピュータをあまり見なくなってしまうのがよくある光景。
しかし世界的に見ると、“ダイビング前に自分たちで潜水計画を立てて、ダイブコンピュータを使ってその潜水計画通りに潜って、減圧症にならないで楽しむ”というのが一般的なので、たとえ日本でガイドさんに案内してもらうダイビングでも、ダイバーみんなにダイブコンピュータを持ってもらい、自分で潜水時間や深度をしっかり確認し、気付いたら減圧停止が必要だった、ということにならないように、自分で安全管理をできるような自立したダイバーが増えて欲しい、とMaresは考えています。
また今の世の中にはダイブコンピュータとしての機能以外にも使えるようなアウトドアウォッチもありますが、ダイビングに特化して開発されたダイブコンピュータだからこその視認性の良さや、安全性や豊富な情報量があるので、後者をおすすめしたいですね」。

左:Maresが過去に開発した未来的なデザインでスタイリッシュなダイブコンピュータ「NEMO」<br>右:日本でのベストセラーダイブコンピュータ「NEMO SPORT」

左:Maresが過去に開発した未来的なデザインでスタイリッシュなダイブコンピュータ「NEMO」
右:日本でのベストセラーダイブコンピュータ「NEMO SPORT」

Mares史上最高のダイブコンピュータ「シリウス」とは?

Mares はダイブコンピュータの本質を追求し、ダイバーが本当に使いやすいダイブコンピュータを製造するために、すべて工程を自社工場で長年製造(他社ではOEMでの製造が一般的)している。そうすることで、Maresのどのモデルのダイブコンピュータもデータや画面表示に統一性をもたせることができ安全性は向上。さらにインターフェースにも長年の培ってきた技術を反映させ開発しているので、常に最先端の技術が用いられるというわけだ。

そんなMaresが開発した今回のシリウスの最大の特徴は、ダイバーが水中で得たい情報を瞬時に得られること。たとえば、流れが強い中で泳いでいたり、緊急事態の時、潜水時間や深度、安全停止時間を知るためにダイブコンピュータをじーっと見ていることはできないはず。理想としてはダイブコンピュータを見て、そういった情報を瞬時に把握できることが理想的だが、そういったダイブコンピュータが多くはないのが現状なのだ。つまり、いくら機能が多くても、水中で即座に情報を視認できなければ宝の持ち腐れである。そこでシリウスは、画面内の情報配置は3段階表示で上段に水深、中段に無限圧時間や安全停止・減圧情報などの最重要な情報、下段には潜水時間や水温・残圧(トランスミッター接続時)などダイバーの知るべき補足情報を表示している形(下図参照)でMaresの他のモデルと同じにし、さらにさまざまな表示をカラーで見やすく、危険な状況のときなどは赤く点滅したり、シンプルな表示にこだわることで、抜群の視認性を実現した。

水深、減圧不要時間、ダイブタイムなどが整理されており一目で必要な情報が確認できる

水深、減圧不要時間、ダイブタイムなどが整理されており一目で必要な情報が確認できる

危険な状態であることを知らせる警告は音と画面表示で、瞬時に気づくことができる。写真は浮上速度が早すぎることを知らせている

危険な状態であることを知らせる警告は音と画面表示で、瞬時に気づくことができる。写真は浮上速度が早すぎることを知らせている

またタウンユースでの着用できるようにコンパクトなウォッチ型でシックなデザインに。画面表示も陸上と水中とでは画面が切り替わり、カラーオプションのある3種類のウォッチフェイスから好みに合わせてチョイス可能。ダイブコンピュータ自体が街中でつけていても違和感ないデザインなので、おしゃれにつけこなすことができる。つまり最先端のテクノロジーだけでなく、デザイン性にもこだったMares史上最高のダイブコンピュータがシリウスなのだ

シックで洗練されたデザインのシリウス

シックで洗練されたデザインのシリウス

水中(ダイビング中)に画面を切り替えることで、さまざまな情報を得ることができる

水中(ダイビング中)に画面を切り替えることで、さまざまな情報を得ることができる

陸上ではその日の気分に合わせてウォッチフェイスの色を変えられる

陸上ではその日の気分に合わせてウォッチフェイスの色を変えられる

次からは数ある機能の中からを厳選して5つご紹介していきたいと思う。

特徴1:圧倒的な画面の見やすさ、視認性の良さの秘密

ダイバーが水中で得たい情報を瞬時に得られるのがシリウスの特徴であることは上述したが、ここでは画面表示についてさらに詳しく見ていこう。
Maresのダイブコンピュータ画面内の情報配置は3段階表示になっているとご紹介したが、シリウスは、シンプルな「E-Zディスプレイモード」と詳細なデータまでも表示する「COMPLICATIONSモード」に、水中でもボタン一つで変えることが出来る(下図参照)。E-Zディスプレイモードでは、最低限の情報(上段に水深、中段に無限圧時間、下段に潜水時間)を表示。上段や下段の情報は、上下のボタンを押すと水温やそれまでに達した最大水深などに変更することが出来る。シンプルに必要な情報だけ表示するので、初心者や年齢問わず誰でもわかりやすく、見やすくなっている。E-Zディスプレイモードでも、減圧が必要になったり、残圧が少なくなったり(トランスミッター接続時)して、警告を知らせる際には、自動でCOMPLICATIONSモードに切り替わり、必要な情報を与えてくれる。

E-Zデイスプレイモード

E-Zデイスプレイモード

COMPLICATIONSモード

COMPLICATIONSモード

また、画面を3つに分ける2つの分割バーは、上が窒素(N2)の吸収を表すバーグラフ、下は残圧を表すバーグラフ(トランスミッター接続時)となっている。窒素バーグラフは、体内に窒素が吸収されていない最初は緑色で、体内に窒素が吸収されていくと徐々に紫色へ変化。また、水面で窒素が排出されていくと緑色に戻っていく。残圧バーグラフは、使用開始から空になるまで4つに色分けされ、青色、緑色、黄色、赤色へと変化。赤色の時点では50bar/500psiになっていることを示しており、残圧が少なくなったことをダイバーに警告してくれる。

またMaresの他モデルと同様にシリウスも、水深が浅くなると浮上スピードを表示する機能がついており、浮上中は、潜水時間の代わりにm/分(またはft/分)の値が表示される。また、2つの水平バーグラフが、限界浮上スピードの80%までは緑色、80~100%までは黄色、それを超えた場合は赤色で表示されるようになっている。

浮上スピードが速すぎると浮上スピードを示す数字と水平バーグラフが赤色に

浮上スピードが速すぎると浮上スピードを示す数字と水平バーグラフが赤色に

特徴2:充電のしやすさ、持ちがスゴイ!

シリウスは、付属するワイヤレスチャージャー(誘電充電器)を使用すれば、パッド部分に置くだけで手軽に充電が可能。ちなみに、機種によってはスマートフォンの充電も可能なので、旅先にはもってこい。さらにフルチャージすると30時間(※)のダイブに使えるのも強み。この30時間という数字は、ダイブクルーズ(ダイブサファリ)で仮に1週間海の上にいたとしても、バッテリーがなくならないことを想定して開発された。例えば充電式のダイブコンピュータの場合はコンセントの数が限られているとなかなか充電できなかったり、ソーラー充電式のダイブコンピュータは天候が曇り続きだと充分に充電できない。そんな心配をしなくてもいいように、ダイバー目線でこだわって開発!
長時間のバッテリーの持ちを実現できたのには、MIP(メモリインピクセル)液晶という最新のディスプレイ技術を新たに搭載したことが大きな理由。これは、液晶ディスプレイの一種で、ディスプレイの文字などを構成する色の1粒である「画素(ピクセル)」の中に「メモリ」を持つタイプのもの。一般的な液晶では、電流を流し続けないと画像や文字を表示し続けることができないが、MIP液晶は一旦表示した文字はメモリされるため、表示し続けるための電力を必要とせず、圧倒的に省電力となっている。さらに、太陽光などの外光を反射して文字を表示する反射型液晶なので、直射日光の下でも見やすい(暗い水中で見やすいようにバックライトも搭載)という特徴がある。

※トランスミッターを使用しない場合のバッテリー寿命。トランスミッターを使用した場合は約20時間。時計のみでの使用は約10日間使用可能。

置くだけで簡単に充電

置くだけで簡単に充電

特徴3:Bluetoothでスマホに直結!ログをデジタル化

シリウスでは複数のグラフ表示を備えた100時間以上のダイビングのログを記録することができ、その情報はシリウス上で確認することができる。通常、ダイブコンピュータに記録されたログを見ながら、ログブックに記入していくが、シリウスではその必要なし!ログ情報はBluetoothで、アプリ「Mares」もしくは「MySSI」を介してスマートフォンへの直接接続可能で、シリウスに記録されたログ情報が瞬時に転送されるのだ。アプリでのログ付けをすれば、ペーパーレスに繋がることはもちろん、データでログを残すことができるのでいつでもすぐにログを確認することができる。また、同じアプリ同士ならデータを共有することも可能なのだ。

「Mares」を無料でダウンロード!

スマートフォンのGoogle PlayもしくはApple Storeでダウンロードし、無料アカウントを登録(ブラウザからでも登録可能)。
▶︎iOSの方はこちら(Apple Store)
▶︎Androidの方はこちら(Google Play)
「MySSI 3.0」を無料でダウンロード!

スマートフォンのGoogle PlayもしくはApple Storeでダウンロードし、無料アカウントを登録(ブラウザからでも登録可能)。
▶︎iOSの方はこちら(Apple Store)
▶︎Androidの方はこちら(Google Play)
▶︎ブラウザを使用する方はこちら

アプリではシリウスのファームウェアアップデートも可能となっているので、常に最新の機能を使用することができる。

特徴4、減圧症を予防するために高い安全性を追求!

ダイブコンピュータには、“どのような理論を用いて減圧症を予防するための計算を行っているか”というアルゴリズムがある。そのアルゴリズムがダイブコンピュータごとに異なれば、同じ潜り方をしていても、残りの潜水可能時間は当然異なってくる。シリウスには多くのテクニカル系のダイブコンピュータにも採用されているビュールマンZH-L16Cアルゴリズムにグラディエントファクターを加えたものを搭載。

特筆すべきは、個人の体質やその日の体調(例えば前夜の睡眠不足や十分な水分補給ができていないなど)を基に保守性の調整ができ、安全度のレベルを高くすることができる「パーソナライズ」機能が装備されていること。現状、グラディエントファクターを変更できるダイブコンピュータは他にもあるが、どれくらい調整すれば良いのか、一般的なダイバーでわかる人はそう多くない。そこで、シリウスのこの「パーソナライズ」機能を使えば、「PHYSIO(体質)」、「I TODAY(今日の体調)」、「DIVE(潜水環境)」の3つのメニューから、個人に合わせて保守性を「LOW」、「MEDIUM」、「HIGH」の3段階に簡単に調整することができるのだ。
また、ダイブクルーズなど複数日にわたる潜水によって蓄積される不活性ガスの影響を考慮した「MULTIDAY(複数日のダイビング)」機能や、反復潜水における不活性ガス排出の影響をグラディエントファクターに反映する「REPETITIVE DIVES(反復潜水)」機能も搭載している。

「パーソナライズ」機能の設定画面

「パーソナライズ」機能の設定画面

さらにシリウスは水中で各組織の窒素飽和度を確認できる「組織飽和グラフ」をボタン一つで表示。無減圧限界時間の数値だけでなく、各組織への窒素の吸排出をイメージ出来るので、より減圧症にかかるリスクの低減が可能。

組織飽和グラフ

組織飽和グラフ

特徴5:全傾斜対応デジタルコンパス搭載

デジタルコンパスは、アナログコンパスと比べ、方向を数字や矢印で表示するため、直感的に理解しやすいのが特徴。シリウスに搭載されているデジタルコンパスは、傾いた状態でも正確な方位を表示することができ、水面/陸上およびダイビング中にいつでも起動可能。さらに行きたい方位マーキングをする機能まで搭載されている。たとえば、ボートダイビングの際、到達したい地点の目印が海岸にあるとするとき、ボートの上から予め方位をマーキングして、水中でその方位に泳いでいけば、進行方向がズレることなく迷う心配はなし。

その他にもラップタイムも計測できるストップウォッチ機能やカウントダウンタイマーなど便利な機能が豊富に備わっているので、講習などでも役立つはず。

ストップウォッチ

ストップウォッチ

カウントダウンタイマー

カウントダウンタイマー

ここではレクリエーショナルダイビング向けの機能や特徴を紹介したが、将来的にレクリエーショナルダイビングからテクニカルダイビング(減圧ダイビングなど)にも挑戦しようとしている方にも長くお使いいただける機能がたくさん。例えば、アルゴリズムに減圧症の発症率が現状最も低いと言われているビュールマンアルゴリズムを採用していたり、ナイトロックス及びトライミックス対応で、5種類のガスまで登録することも可能。

水中写真家・鍵井靖章氏コメント

撮影協力:JiC久米島

撮影協力:JiC久米島

最後に、約10年、Maresのダイブコンピュータを愛用している水中写真家・鍵井靖章氏からのコメントをご紹介したい。実際にシリウスを使っていただいた率直な感想について
「私は長年Maresのダイブコンピュータを使っているのですが、このシリウスはなんといっても画面の見やすさが抜群です。一目瞭然で得たい情報が瞬時に得ることができることで、ストレスも一切なく非常に嬉しいですね。画面がシンプルに整理整頓されている印象です。撮影に集中することもできますし、ダイビングの安全性がより高まると思います。
あと、私は普段モニターのサイズが大きめのダイブコンピュータをつけているのですが、それに比べるとシリウスは小型ですが、画面の見やすさで劣らないだけでなく、スーツ着脱のときも邪魔にならないのでいいですね。ダイビングが終わってそのままタウンユースでも使えるのも嬉しいポイントです」と画面の見やすさについて特に評価したいとコメントをいただいた。

撮影協力:JiC久米島

撮影協力:JiC久米島


撮影協力:JiC久米島

撮影協力:JiC久米島

購入できる場所

ダイビングショップやダイビング器材販売店にて購入可(下記一覧参照)。また一部のダイブセンターの中には、実際にSIRIUSを使用しているインストラクターもいるので、使用感等購入前の相談に乗ってくれる場合もある、対応していないダイビングセンターもあるので、事前に確認しよう。
▶︎取扱店舗一覧

ダイビングギアの中でも高額なダイブコンピュータ。ダイビングを続けていく上で、安全性は最も重要な項目になってくるため、機能や使いやすさを重視して選びたいところ。そういった意味でもこのシリウスは申し分ないダイブコンピュータだろう。ぜひ一度、販売店で実物を手に取って、じっくりと検討してみていただきたい。

製品詳細

ブラック

ブラック

ブラックシルバー

ブラックシルバー

  • ●価格 税込み176,000円(本体価格160,000円)
  • ●バッテリータイプ 充電式200mAh
  • ●寿命目安 30時間の潜水時間/ 500回の再充電サイクル
  • ●ナイトロックス EAN from 21% to 99%
  • ●トライミックス ハイポクシック、ノームオクシック
  • ●シリウス専用トランスミッター「LEDタンク モジュール2.0」は別売
トランスミッター接続でシリウスの真骨頂を最大限発揮!

シリウスと連動できるトランスミッター「LEDタンク モジュール2.0」をファーストステージ部に取り付けると、シリウスにエアの残圧が表示されるだけでなく、現在のエアでその水深にあとどれくらい、いられるか表示される機能(TTR=Time to Reserve)や複数の酸素濃度のガスを切り替えて使用するマルチガスダイビングにも対応している優れもの。残圧が半分になった時の警告もされるので、特にエアの消費が早い人にとってはおすすめで、ダイビングをより安全なものにしてくれる。

  • ●価格 税込み57,200円(本体価格52,000円)

▶︎詳細はこちら

トランスミッター

トランスミッター

Powered by HEAD Japan
創業70年を迎える老舗ダイビング器材メーカー「mares」と50年の伝統をもつ指導団体「SSI」を運営。自然を舞台に楽しむことをサポートする会社として、持続可能な社会への取り組みにも力を入れている。
 
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PROFILE
0歳~22歳まで水泳に没頭し、日本選手権入賞や国際大会出場。新卒で電子部品メーカー(広報室)に入社。同時にダイビングも始める。次第に海やダイビングに対しての想いが強くなりすぎたため、2021年にオーシャナに転職。ライターとして、全国各地の海へ取材に行く傍ら、フリーダイビングにゼロから挑戦。1年で日本代表となり世界選手権に出場。現在はスキンダイビングインストラクターとしてマリンアクティビティツアーやスキンダイビングレッスンを開催。
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