紀伊半島・串本ダイビング特集(2016Autumn)(第3回)

狙って会えた回遊魚! 串本№1遭遇ポイント「島廻り」 ~カンパチの集め方は「どんだけ~」~ 

今日はあいにくの悪天候。
午前中はちょい時化てしまい、海況の回復を待っての遅めの出航だったが、外洋はまだうねりが残っている。

しかし、そこは外洋大好き「コーラルクイーン号」。
もちろん、外洋へ(笑)。

悪天候だったこの日、帰港する時間になるとすっかり晴れ……。これもまた海

悪天候だったこの日、帰港する時間になるとすっかり晴れ……。思い通りにならないのが海

外洋といえば回遊魚。

前日は、「撮れるもの」を中心の撮影となったが、今日は思いきって回遊魚狙いをリクエストしてみた。

キャプテンの小松誠司さん(好みのタイプはガッキー)いわく、「最近は、外洋ポイントの中でも『島廻り』の確率が高いんちゃう? 見れるんちゃう?」。

あまりのポップな返答に、内心、ちょっぴりホントかなって(笑)。

狙って会えた回遊魚
ツムブリの編隊に遊ばれる

トップ5mほどの台地状の岩峰「島廻り」へエントリー。

眼下の寄れるシラコダイの群れが気になったものの、狙いは回遊魚。
根と少し距離をとり、中層に目を凝らす。

これといって気配がないまま15分。
「誠司さんってば……」と思い始めた瞬間、チリンチリンチリンと水中ベルを激しく鳴らす音が!

離れ根の方まで探索に行っていたガイドの大ちゃん(好みのタイプはガッキー)の方へダッシュすると、目の前から、ツムブリの大群……とまではいかないが、編隊がこちらへ向かって突っ込んでくるではないですか!!
驚いて、体を起こしてブレーキをかけると、自分を避けるように編隊は左右に割れ、一瞬にして脇を通り過ぎ……。

とりあえず、オヤジの疑いを晴らした大ちゃんなのでした。

串本ツムブリ(撮影:越智隆治)

ただ、ここで終わらないのが「島廻り」の回遊魚。

「『島廻り』の回遊魚は、結構遊んでくれる」という誠司さんの言葉通り、ツムブリやカツオ、シマアジなどが、目の前をビュンビュン通り過ぎたかと思うと踵を返してこちらへやってくる。

なぜか、そんなヒット&アウェイを繰り返し、しばらく“遊んで”くれた……というより遊ばれたのかな。

ツムブリだけでなく、カツオもグルグル旋回していた。「フィッシュアイじゃなく、今度はショートズームで狙いたいな」

ツムブリだけでなく、カツオもグルグル旋回していた。「フィッシュアイじゃなく、今度はショートズームで狙いたいな」

ちなみに、串本を潜って23年の誠司さんいわく、回遊魚の中でも圧倒的に“遊べる”のはカンパチだという。

目の前をぶっちぎってまったく相手にしてくれないブリ系と違って、カンパチはこちらに興味津々。
時に止まって(回遊魚なのに!?)、こちらを向いてキョロキョロしている感じがするそうだ。

何はともあれ、回遊魚を狙って、一発で回遊魚と会えたのは、外洋大好きなガイドの力であり、串本のポテンシャルということだろう。

串本(撮影/越智隆治)

外洋ではしばしば鳥山が見られた。大群の目印でもある。飛び込めばよかった……

カンパチの集め方は「どんだけ~」

水中で気になったことが。
大ちゃんがしきりに人差し指を左右に振っているのだ。

最初、自分が「違う違う」と言われていると思ったのだが、よく見ると回遊魚に向かってしているようだ。

エグジット後、「あれ、何をしているの?」と聞くと、「回遊魚を呼んでいた」と。
なんでも、オヤジから息子受け継がれた技で、動くものに興味を示すカンパチが集まってくるという。

カンパチを呼ぶ仕草は意図さし指を左右に振る「どんだけ~」。ルアーのように、カンパチの気をひけるような動きを試してみよう

カンパチを呼ぶ仕草は人さし指を左右に振る「どんだけ~」。ルアーのように、カンパチの気をひけるような動きを試してみよう

さらに、誠司さんいわく、「オクトパスからエアを出して、指で泡を散らすと、カンパチが興味を示して近づいてくる」そうだ。
機会があれば、お試しあれ。

「下浅地」ではキンギョハナダイが大爆発!

2本目は名物外洋ポイント「浅地」で、やはり回遊魚狙い。

しかし、ロープを伝って潜降すると、巨大根が鋭利にえぐられたようなクレバスにキンギョハナダイが大爆発。
前日の「双島2の根」の何倍も群れている。

1本目に回遊魚と会えたこともあり、まったりと華やかな雰囲気を楽しんだのでした。

串本浅地キンギョハナダイ(撮影:越智隆治)

オレンジのイボヤギに群れるキンギョハナダイの群れは串本の外洋を象徴するシーン

「浅地」ではトゲトサカとハードコーラルが混じる不思議な光景が見られる。温帯と熱帯を象徴するシーンだ

「浅地」ではトゲトサカとハードコーラルが混じる不思議な光景が見られる。温帯と熱帯を象徴するシーンだ

串本コーラルクイーン(撮影・越智隆治)

コーラルクイーンのスタッフ=小松ファミリー。誠司さん、美津子さん夫婦と息子の大ちゃんこと大祐さん(絶賛、嫁募集中)

大型ボートCORAL QUEEN号で、串本の外洋エリアをメインに潜る老舗店。小松ファミリーがアットホームにお迎えしてくれる。「来てくらんしよ~」

串本コーラルクイーン(撮影・越智隆治)

広々とした施設は使い勝手もよい。更衣室には、ドライヤーやシャンプー・リンスなどもあり、バスタオルの無料貸し出しや脱水機など、ちょっとしたことが嬉しいサービスが充実

串本コーラルクイーン(撮影・越智隆治)

器材洗い場・干場も充実。フォト派のために空気を飛ばせるエアジェットも

串本コーラルクイーン(撮影・越智隆治)

ランチを食べたり、潜った後に飲めるバーカウンターも。さながら、「スナック美津子」!?

串本コーラルクイーン(撮影・越智隆治)

ランチは美津子さんの手作り。温かくて家庭的な味がダイビングの合間に食べられるのは嬉しい

CoralQueen号で人気の浅地へ! 定員33名 630psツインターボ搭載だから串本外洋ダイビングポイントまで快適なクルージング

CoralQueen号で人気の浅地へ! 定員33名 630psツインターボ搭載だから串本外洋ダイビングポイントまで快適なクルージング

コーラルクィーン
串本ダイビングサービス
〒649-3513
和歌山県東牟婁郡串本町高富357
TEL/0735-62-6318
http://www.coralqueen.co.jp/

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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