紀伊半島・串本ダイビング特集(2016Autumn)(第12回)

フィナーレを迎えた「アンドの鼻」で砂泥のハゼを狙え! ~串本変態ダイビング 後編~

ヤツシハゼ

ヤツシハゼ

変態ダイビングを得意とする《マリンステージ串本店》の谷口勝政さんと、まずは、ハナダイを狙う恍惚の深場ダイビングを楽しむ。

お次は、この日、10月31日が、期間限定ポイント「アンドの鼻」の最終日ということで、さらに変態度を盛り、砂泥に生息するハゼを狙うことに。
というのも、串本には「サンビラ」や「ビーチ」のほか、砂泥環境はあまりなく、「アンドの鼻」がいわゆる“泥ハゼ”の聖地となっているから。

ちなみに、日本では“泥ハゼ”とか“変態ダイブ”と言葉のチョイスがイメージを下げているが、海外では“mud dive”なんて呼ばれている。

マッドダイブ……なんか、かっこいい!

自分で言っておいてなんですが、変態ダイブではなく、今度からはマッドダイブでいきましょう。
そして、ガイドは、“泥”と“狂”をかけて、“マッド谷口”。

マッド谷口 (2児のパパ。最近、思春期の長女に邪険にされていて悲しい)

マッド谷口 (2児のパパ。最近、思春期の長女に邪険にされていて悲しい)

早速エントリーし、名物のアザハタの根も人気のハゼ、ネジリンボウもスルーして、砂泥の聖地へ。

砂地にはポコポコとくぼみがあり、マッド谷口がポインターで指し示すくぼみの土手に目をこらすと、スターを支える脇の実力派よろしく、マッドゴビーたちが渋く登場。

ツバメクサハゼ

ツバメクサハゼ

ヤジリハゼ

ヤジリハゼ

カスリハゼ

カスリハゼ

一見地味だが、よく見ると、ツバクサハゼやヤツシハゼの模様や形状は美しく優雅。
ずんぐりむっくりのカスリハゼも可愛いし、顔の周りにきれいなオレンジ色の斑紋が。

泥ハゼがこんなに表情豊かだとは知らなかった。

大瀬崎からやってきた変態ダイバーの小久保さんも「パッと見は地味なんですけど撮ったらキレイなんですよ!」と力説する。
写真の腕によるところも大きいので、「地味な子を美しく撮ってあげる」というのも楽しみのひとつかも。

「なかなか泥ハゼも可愛いじゃないか」などと思いながらエグジットに向かう途中、マッド谷口がスレートで「パンダダルマハゼも撮りますか?」

泥ハゼの可愛さを伝えたい気持ちになっている中で、そんなミーハーなハゼなんか……

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くぅ~、やっぱり可愛いな、パンダダルマハゼ(笑)。

なんか、泥ハゼすまん。

でも、ぜひマッドゴビーたちの知られざる魅力も知って欲しい気持ちは本当。
マッド谷口と、ぜひマッドダイビングを楽しんでみてください。

マッドゴビー界のスター
ダスキースリーパーを撮ってみた

「アンドの鼻」にいるマッドゴビーのスター、ダスキースリーパー。
和名がないのも、何だか外タレ風。

初めて使う一眼カメラ(フルサイズ)に100㎜レンズを付け、まずはレクチャーを受ける。

マッド谷口のレクチャーなう

マッド谷口のレクチャーなう

マッド谷口によると、撮影のポイントは以下。

  • ダスキーがいる穴は深め。土手にライトが蹴られがちなので、ストロボは水平より上から
  • マッドゴビーは全身の模様を出すときれい。カラフルなハゼだちは顔だけピント合わせて体をボカス写真が流行っているが、マッドゴビーは全身で勝負(笑)。
    つまり、絞る。最低でもf8、可能ならf16くらい絞るとキレイに色が出る
  • 光に敏感なゴビーなので大光量のライトを当てない
  • チャンスは少ないので、まずは違う被写体で試し撮りをして、設定を決めてから撮る

ふむふむ。

先生の教えをむねにエントリー。

ダスキーのいる砂地に行くと、かなりの個体数だ。
マッド谷口によれば、これはとても珍しい環境とのこと。

PA310027

早速、撮影しようと近づくと……シュッ! 他のダスキーに向かうと、やっぱり……シュッ!

遠くから一枚切ってはまた近づいて一枚……とセオリー通りに撮影しようとするとが、かなり遠くで引っ込んでしまう……。
時間帯なのか、この種がそもそも警戒心が強いのかわからないが、他のハゼより、なかなか近づかせてくれない。

作戦を変えて、引っ込んだ後の穴に近づいてひたすら待つことに。
待つこと10分。まったく出てこない……。

近すぎたのかと、もう少し離れて待つこと5分。
で、出てきた! ……ところを、何とか撮影したのがこちら。

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う~ん。

トリミングしてなんとかかんとか。

S_5139738369270

マッド先生、写真どうでしょうか?

「まあ、撮れたね。撮れた。うん、撮れた」

推して知るべしのリアクションだったので、「この環境じゃ仕方ないっすよね。撮れないっすよね」と小久保さんに愚痴をこぼしつつ、写真を見せてもらったら……とってもきれいなんですけど!

DSC_0011

同じ環境のはずなのに……、カメラはこっちの方が高いはずなのに……泣。

写真の腕もさることながら、寄り方、そして、ハゼ愛(変態度かもW)が圧倒的に足りていないことを痛感したのでした。

ちゃっかりコンデジで(僕が見た限り、写真で)串本初記録のタテヤマベラを撮影していたマッド谷口。アンドの鼻がクローズするこの日、「寂しな~」を連発していたのでした

ちゃっかりコンデジで串本初記録(自分が知る限り、写真で見たことがない)のタテヤマベラを撮影していたマッド谷口。アンドの鼻がクローズするこの日、「寂しな~」を連発していたのでした

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「生物好き、写真好きダイバーはぜひ僕と潜って欲しいです」というオーナーガイドの谷口勝政さんは、世界のトップ水中ガイド集団「ガイド会」のメンバー。「いつも魚を見つけて自分が驚いて自分が喜んでいるのが伝わってくる。絶対に本人が一番楽しんでいると思う(笑)」とリピーターが言うように、うっかり休みまで潜ってしまうほどダイビングと海の生物が大好き。「珍しいもの見たい」「~の生態が見たい」「マニアックな~がしたい」など、目的がはっきりしていたり、マニアックなリクエストが大好物。フィッシュウォッチングとフォトダイブをじっくりしたいダイバーには最適だ。

港まで車で2~3分

港まで車で2~3分

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マリンステージ串本店
〒649-3503
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Email:kushimoto@marinestage.com
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writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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