はじめての水中写真上達サプリ(第14回)

拡大レンズではなく、近寄れるレンズ!? クローズアップレンズでマクロ撮影

大川さん連載用

みなさん、GWはどちらへお出かけになりましたか?
冬眠ダイバーの方は、そろそろ動き出していますか?

この時期はダンゴウオをはじめとした、小さな被写体をクローズアップで狙うマクロ撮影で盛り上がっていますね。
今回は、マクロ撮影に使う「クローズアップレンズ」を掘り下げてみます。

クローズアップレンズって?

まずここで、「クローズアップレンズ」の定義を確認しておきます。

水中ハウジングのレンズ部分先端に、ねじ込んで装着する外付けレンズを「マクロレンズ」と呼んでいる事が多いと思います。

実はこれ、「クローズアップレンズ」または「クローズアップフィルター」と呼ぶのが、用語としては適切です(マクロコンバージョンレンズと呼称するメーカーもあります)。

マクロレンズという呼び名は、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラに代表されるレンズ交換式カメラで使う“クローズアップ撮影に対応したレンズ”を指すのが一般的です。

これを機会にぜひ正しい呼び名を覚えていただき、「ダンゴウオの幼魚は2~3mmくらいだから、“マクロレンズ”に“クローズアップレンズ”も併用した方がいいよ♪」なんて感じで、かっこよく使いこなしてください。笑

クローズアップレンズの一例(INON製)

クローズアップレンズの一例(INON製)

マクロレンズの一例(キャノン製)

マクロレンズの一例(キャノン製)

ということで、前置きが長くなりましたが、クローズアップレンズについて説明していきますね。

クローズアップレンズは付けただけじゃ大きく写らない!?

小さな被写体を大きく写すには近寄って撮影する必要がありますが、カメラのレンズには近寄ってピントの合う限界の距離があります。
オリンパスのXZ-2を例に挙げると、仕様欄にはこのような表記があります。

<撮影範囲(レンズ先端より):W5cm~∞、T20㎝~∞> ※オリンパスHPより

・ズームをワイド側(W)にしたときは5㎝まで近寄ってもピントが合います。
・ズームを望遠側(T=テレ側)では20㎝まで近寄ってもピントが合います。

という意味です。
つまり、これ以上近づくとピンボケ写真になってしまうのです。
実験してみましょう。

大川さん連載用

こんな感じで、被写体とカメラの間にメジャーをあてて、どこまで近寄ってピントが合うかを試してみます。

カメラのズームを望遠側(T)にしてピントが合うギリギリまで近寄って撮影した結果がこちら。

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ハウジングの先端から被写体までの距離は17.5㎝でした。
カメラのレンズの先端はハウジングの中に2㎝ほど奥まっていますから、合計で19.5㎝、ほぼ仕様通りですね。

これ以上近寄るとピンボケになってしまいますから、これ以上大きく写すことができません。

次に、クローズアップレンズを装着してみます。

大川さん連載用 大川さん連載用

ずいぶん大きく写すことができました。その距離は5㎝。
(クローズアップレンズの厚み2㎝を加味すると、カメラのレンズ先端からの距離は9㎝程となります)

これがクローズアップレンズの効果なのです。
つまり、装着した途端に大きく写る拡大レンズなのではなく、さらに近寄ってピントを合わせる事ができるようになるレンズなのです。

その結果としてさらに大きく写すことができるというわけです。
Close up Lensの”Close”とは動詞の「閉じる」と言う意味ではなく、形容詞の「接近して」という意味の方ですね!

クローズアップレンズはピントの合う範囲が限定される

近寄って撮れるようになるクローズアップレンズ。
なら、付けっぱなしにしておけばいいじゃん? と思うかもしれません。
しかし、ある距離以上遠ざかることでも、ピントが合わなくなってしまいます。

先ほどの実験で使ったクローズアップレンズの場合は、レンズ先端から10㎝以上離れるとピントが合いませんでした。

つまりこのレンズの場合は、5㎝から10㎝の範囲でしかピントが合わないという事なのです。

ハゼなど警戒心が強くなかなか近寄れない被写体には向いていないレンズということになりますね。

クローズアップレンズにはメガネと同じように「度数」があります。
度数の強いレンズは、かなり近寄れる代わりにピントの合う距離範囲が狭くなります。
反対に、度数の弱いレンズはそれほど近寄れませんが撮影距離範囲は広めです。

ということで、撮影したい被写体の大きさと距離によりクローズアップレンズの度数を選ぶ必要があるのですが……長くなりましたのでこの続きは次回に説明させていただきます。

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PROFILE
グアムでCカードを取得~沖縄リゾートダイバーだったはずが、新千歳-那覇直行便が廃止となったのを機に?北海道で潜り始める。
 
セルフでしっかり潜りたくてプロダイバーになったはずなのに、インターンで目覚めて?ガイド業へ。

テレビのカメラマンだったはずが、水中デジフォトインストラクターに。
 
積丹半島をベースに、北海道を幅広く潜っています。
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