ミラーレス一眼 水中撮影徹底ガイドby清水淳(第15回)

水中マクロ撮影ビギナーにおすすめのマクロレンズと撮影方法 ミラーレス一眼徹底解説

前回は、OLYMPUS /EM-10MarkⅣ用の防水ハウジング「UH-EM10Ⅳ」と「OLYMPUS EM-10MarkⅣ」の組み合わせでマクロ撮影にチャレンジしてみよう! の前編としてどんな機材が必要か? カメラの設定は? について解説しました。今回の後編では、マクロ撮影に最適なレンズは? と実際の撮影の仕方を完全解説します。

前回の記事:初めてのミラーレス一眼におすすめのOLYMPUS EM-10MarkⅣとAOIのNEW水中ハウジング使い方徹底解説

復習になりますが、このUH-EM10Ⅳを使ったシステムが初めてミラーレスカメラで水中撮影する方におすすめな理由は下記になります。

  • ●操作が簡単/難しくない
  • ●導入コストが低い/リーズナブル
  • ●重量が軽い/持ち運びが楽
  • ●取り扱っているお店が多い/購入しやすい
  • ●撮影の仕方が解説されている/わかりやすい

マクロ撮影におすすめのレンズは?

左からM.ZUIKO DIGITAL90mmF3.5Macro IS PRO、M.ZUIKO DIGITAL 60mmF2.8Macro、M.ZUIKO DIGITAL30mmF3.5Macro、M.ZUIKO DIGITAL 14-42mmEZ&EM-10Ⅳ

左からM.ZUIKO DIGITAL90mmF3.5Macro IS PRO、M.ZUIKO DIGITAL 60mmF2.8Macro、M.ZUIKO DIGITAL30mmF3.5Macro、M.ZUIKO DIGITAL 14-42mmEZ&EM-10Ⅳ


前編で紹介した標準ズームでの水中撮影に慣れてきたら、マクロ撮影専用レンズを使ってみましょう。

マクロ専用レンズを使うメリット

マクロレンズの種類によって特性が変わりメリットも変わりますが、以下のようなメリットが挙げられます。

  • ●撮影倍率が上がり被写体を大きく写せる
  • ●最短撮影距離が短くなり、被写体に近づいて撮影ができる
  • ●背景をぼかした作風に仕上がる
  • ●解放F値が上がる(明るいレンズ)
  • ●離れた位置から撮影しても大きく写る

さまざまなレンズがあるので、撮影したい被写体によってレンズを選びましょう。コスパで選ぶ方法もありますが、お気に入りのマクロレンズを見つけてください。

オールマイティー&安価な
「M.ZUIKO DIGITAL60mmF2.8Macro」

オールマイティーで導入コストも安価に導入できるのがM.ZUIKO DIGITAL60mmF2.8MacroとレンズポートFLP-02P。標準ズームレンズより焦点距離が長く、最短撮影距離も短いので近づいても大きく写せるし、やや離れた位置の被写体も大きく写すことが可能です。オートフォーカスの速さは業界屈指です。動きの速い被写体の撮影にも向いているのが特徴です。

レンズ長も短く、コンパクトな撮影システムを構築できます。撮影に向いている被写体は、ウミウシなど接写系からエビカニ甲殻類、動きの速いスズメダイやハナダイ。皆さんが撮りたいと思っているマクロの被写体全般がターゲットにしやすいです。標準ズームからのステップアップにはおすすめのレンズと言えます。

ハゼ撮影に最適!
望遠的マクロレンズ「M.ZUIKO DIGITAL90mmF3.5Macro IS PRO」

臆病な被写体をやや離れた位置から狙うのに向いている望遠的マクロレンズも、ラインナップにあります。M.ZUIKO DIGITAL90mmF3.5Macro IS PROとレンズポートFLP-08&ER-PN_OD-37の組み合わせです。

レンズがプロ向きの高価なレンズであり、IS機能付(レンズ内手ぶれ補正)35mm換算で180mmと少し特殊なレンズになりますが、ハゼ撮影には最適なレンズです。

個人的には大好きなレンズで、私は普段使いにこの90mmMacroレンズを装着しています。オートフォーカスの速さも魅力の一つですが、被写体を脅かさない距離から迫力のある大きさに撮影できるのが最大の魅力です。

実際の撮影の仕方

標準ズームレンズでもマクロ専用レンズでも、撮影の仕方は同じです。撮影モードは、色々迷わないようにP(プログラムオート)モード。ダイヤルでモードを選んだらダイヤルで露出補正を0.0EVから-1.0EV程度にセットします。カメラのフラッシュをONに設定したらあとはピントを合わせて、外部ストロボをコントロールしていくのみ。

できるだけシンプルに多くのことを望まずに、カメラの操作で頭を悩ませないように撮影すれば被写体とのやり取りを楽しめるはずです。

ビギナーの方にマクロ撮影で気をつけていただきたいことは、以下の2点です。

  • ●ピントを被写体の目に合わせる
  • ●ストロボ光を過不足なくコントロールする

被写体を画面中にカッコよく見せるために配置したり、背景が綺麗なものになるようにカメラの構える高さに工夫をしたり、ボケ味が生かせるように被写体と背景の位置関係を配慮したりといろいろなポイントはありますが、まずはピントとストロボ光のコントロールです。

ストロボ光を自動調光でカメラ任せでも正確な光量調整をさせるには、Q1RCストロボのモードをRCにセットします。

カメラのメニューからRCモード撮影をONに設定します。

ハウジングとカメラを繋ぐコネクターを奥まで差し込み、カメラがフラッシュとの通信ができることを確認します。OKボタンを押してスーパーコンパネを表示させて、⚡️フラッシュマークが明るく点灯しているかを確認します。コネクターの差し込みが不十分だと⚡️フラッシュマークが暗く点灯します。

水中ではこの作業ができないので、カメラとハウジングをセットアップするタイミングで確実にセットすることが必要です。

ハウジングとカメラを繋ぐコネクターコード

ハウジングとカメラを繋ぐコネクターコード

この稲妻マークに注意

この稲妻マークに注意

ストロボの光量調整は、OKボタンを押して表示されるスーパーコンパネからフラッシュ補正→OKボタンで詳細画面を表示させて行います。


    
環境やシーンによっても異なりますが、-0.3〜-1.0程度にセットしておくと失敗が少ないです。一度撮影してみて、ストロボ光が強かったらマイナス側に調整します。ストロボ光が弱くてプラス側に調整したい場合は、発光がうまくいっていない場合が多いので、その場合は、ストロボ関係のセットアップを再点検しましょう。

ストロボとハウジングを接続する光ファイバーコードが折れていたり、伝達力の弱い細い光ファイバーケーブルを使用していたりすると正しい発光が行われません。613芯マルチコアケーブルを採用した製品がおすすめで、私は「MPマルチコアケーブル613」を使用しています。

被写体に正確にピントを合わせるには

ピントを検出するAFターゲットモードは、シングル(1点)を選択するOKボタンを押してスーパーコンパネを表示させたら、AFモード設定を選びOKを押します。ダイヤルを回してシングル1点にセットしましょう。ダイヤルを動かしても表記が変わらない場合にはINFOを押して、ダイヤルでAFターゲットモードをダイヤルで変更できるように設定を変える必要があります。

この表記の場合には十字キーを動かすと、AFターゲットモードと顔認識モードが変更できます。十字キーでAFターゲットの位置を変更するモードに変更させるためにINFOボタンを押して、下記の表示に変更します。

この表記の場合には十字キーを動かすとAFターゲットの位置を変更することができます。この状態にセットすることがオートフォーカスを効率よく正確に使う大切なポイントなので、しっかり理解していただきたいです。

たとえば被写体が右上を向いていた場合には十字キーを操作して、AFターゲットを目の位置がある右上の方へ移動していきます。
 

下記のようにAFターゲットの位置は、画面中自在に十字キーを上下、左右に動かして設定します。

この機能はスーパーコンパネから呼び出すほか、撮影中に十字キー左を一度押すとAFターゲット選択の画面をダイレクトで呼び出すことが可能です。

慣れてくれば、画面から被写体を見ながら目を離さずにAFターゲットを操作できるようになります。

色々と設定項目がありますが、TGシリーズと違って水中モードを搭載していないのでカメラを水中向けにカスタマイズすることがいかに大切であるかがわかって頂けたと思います。
あとは、ダイビングポイントのガイドさんやショップのインストラクターさんと一緒に被写体へのアプローチや、どこに行けば被写体に会えるのかなど相談しながら、現地で少しずつ撮影手法を広げていきましょう。

最後に一枚、先日沖縄本島の恩納村で大好きなハゼ撮影を行った時の一枚です。

カメラ

OIYMPUS EM-10Ⅳ

レンズ

OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 90mmF3.5MacroIS PRO

撮影地

恩納村/沖縄本島

EM-10Ⅳは小型で扱いやすいカメラです。撮影上で困ったことがあれば、毎月行っているインスタライブで質問していただければ色々とアドバイスができると思います。

インスタライブ

9月6日(水)20:00〜
※インスタライブは終了しました。アーカイブはこちらから↓


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writer
PROFILE
1964年生まれ。水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室マリーンプロダクトを主宰。 また、カメラメーカーの研究開発にも携わり、水中撮影モードや水中ホワイトバランスの開発アドバイザーも務める。1998年にデビューしたOLYMPUS C900Zoomから最新機種まで全てのOLYMPUS水中モデルのチューニングテストを行なっている。カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーメーカーのアドバイザーやテスト撮影の要望も多い。執筆活動では、水中撮影機材の解説や撮影の仕方、楽しみ方の記事をPADI Japan/デジカメ上達クリニック、OMDS/水中デジタルカメラ・インプレッション、マリンダイビング.ウェブ/水中デジカメ撮影教室、オーシャナ/カメラレビューを現在連載中。最近では、「清水淳のマンツーマン水中写真教室」が好評いただき熱意あふれるフォトグラファーたちと一緒に撮影をしている。
公式ホームページ https://shimizu.marine-p.com/ 公益社団法人日本写真家協会会員。
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