ミラーレス一眼 水中撮影徹底ガイドby清水淳(第16回)

GoPro用マクロレンズ「AOI UCL-03」が登場 GoPro水中撮影は新たな領域へ!

この記事は約6分で読めます。

GoPro用マクロレンズ「AOI UCL-03」

GoPro用マクロレンズ「AOI UCL-03」

GoPro用ワイドレンズ「AOI UWL-03」

GoPro用ワイドレンズ「AOI UWL-03」

機動力が抜群で、それでいて高画質な映像が楽しめるGoProは手軽で操作も簡単なので、ダイバーの間でも多くのファンがいます。GoProの水中撮影というとワイドシーン専用といったイメージが誰にでもあるはずですが、今回AOIが開発したGoPro用マクロレンズの登場でGoProの守備範囲も大きく広がることになったようです。

皆さんより一足早くこのGoPro用マクロレンズ「AOI UCL-03」を入手することができたので、今回はミラーレス一眼の連載の番外編として、その実力をご紹介します。

GoProを使った水中撮影の特徴

広い撮影画角を持つGoProですが、空気と水の屈折率の違いで水中に入れたGoProは陸上に比べて画角がかなり狭くなります。たとえば、GoPro HERO11 Blackの陸上での最大画角は約150度ですが、GoProの純正ハウジングに入れて水中撮影になると約94度と画角が狭くなります。そこで陸上と同様に広い撮影画角を確保するために、「UWL-03」といったワイドコンバージョンレンズ(ワイドレンズ)を利用するわけです。

イメージ的には下記のイラストの感じです。

一方でGoProで水中で純正ハウジングを使って被写体の60cm以内に近づいて魚のアップやエビ、カニ、ウミウシのなどの小さな生物を撮ろうとすると、ピンボケになってしまいます。GoProはもともとワイド撮影に長けたレンズ設計で、ピント合わせが要らないパンフォーカス式で、被写体に寄っての撮影は想定されていないためです。そこで、マクロ撮影ではワイドレンズの代わりにマクロレンズ「AOI UCL-03」を付けると、被写体にぶつかる寸前の距離まで近づいて撮影することが可能になります。(ここではマクロレンズとイメージしやすく表記していますが、実際は最短撮影距離を短くさせるためのクローズアップレンズです。)

レンズの接続アダプターは従来のワイドレンズ「AOI UWL-03」と同じ規格なので、今までワイドレンズを使っていた方なら、そのままのシステムに
マクロレンズを取り付けて使うことが可能です。
マクロ撮影のイメージは下記の写真の感じです。

右側がUCL-03をつけたGoPro。左が何も付いていないGoPro

右側がUCL-03をつけたGoPro。左が何も付いていないGoPro

GoPro HERO11 BlackをGoProの純正ハウジングに入れた時の画角は約94度ですが、「AOI UCL-03」を使用した場合には約90度とさらに狭くなります。被写体にはレンズ先端から4cm〜7.8cmとぶつかる寸前まで近づいて撮影することが可能です。

マクロレンズ「AOI UCL-03」を使った撮影の特徴


⚫️レンズ先端から被写体まで4cm〜7.8cmまで近づくことが可能
⚫️小さな被写体を大きく映すことが可能
⚫️このレンズをつけた状態だと7.8cm以上離れた場合にピントが合わない
⚫️近づくと逃げてしまう被写体の撮影には向かない
⚫️GoProにズームレンズの機能がないので、画角自体を極端に狭くすることはできない(水中画角は90度固定)

AOI UCL-03の詳細

レンズ構成

3群3枚

レンズ材質

光学ガラス+マルチコート

本体材質

耐食アルミニウム合金(硬質黒アルマイト)

画角

90度

ワーキングディスタンス

40〜78mm

レンズマウント

クイックリリースシステム(ORS-02)

サイズ

φ81 x 29mm

重量

181g(陸上)、175g(水中)

同梱アクセサリー

ネオプレーンフロントレンズキャップ、リアレンズキャップ 、レンズポーチ(LPC-01)、ストラップ(QRL-01)

システムチャート

GoProを水中で使うためのアクセサリーがいろいろ出揃ってきたようです。下記は水中アクセサリーを取り扱っているフィッシュアイさんから出ているGoPro用システムチャートです。参考にしてください。

清水が使用しているGoProアクセサリーも紹介しましょう。
最近のいちばんのお気に入りはこちら。

GoPro HERO12 WIDE & MACRO SET

まだ試作段階のアクセサリーも含みますが、ワイド撮影とマクロ撮影をこのセットでレンズを交換しながら一度に楽しめます。老眼の私にはGoPro HERO12の小さなモニターでマクロ撮影のピント合わせをすることが難しいので、試作段階の拡大鏡が取り付けられるGoPro純正ハウジング用のバックドア「AOI RK-GP11-BD」を使っています。

「AOI RK-GP11-BD」

GoPro純正ハウジングのバックドアを外して「AOI RK-GP11-BD」を取り付けています。難しくはありませんが、GoPro純正ハウジングの保証は受けられなくなるので注意が必要です。あくまで自己責任で使用してください。

拡大鏡は「AOI UMG-01」 。拡大鏡のレンズの長さを伸縮して視度調整が可能なので、シニアはもちろん若い方にもおすすめです。

AOI UMG-01

AOI UMG-01

マクロレンズやワイドレンズをGoPro純正ハウジング部に取り付けるためのアクセサリーは「AOI QRS-02-MB1P WHT/BLK」

AOI QRS-02-MB1P WHT ※カラーは白と黒の2色

もう少しコンパクト装備が良いかな?という場合にはRGBlueさんから発売されたGoPro用のツインライトキットがおすすめです。この撮影セットを使ってワイド、マクロの撮影をしてきました。

GoProとマクロレンズAOI UCL-03を使った水中写真の作例

静止画を撮影するのではなく動画で撮影して、撮影後に気に入ったシーンを静止画として切り出します。簡単な切り出しの方法は、スマホで撮影したムービーを再生。気に入ったシーンでスクリーンショットを行います。これだけの簡単な手法で、ムービーからの静止画切り出しが可能です。

それでは私の作品をご覧ください。

「SYSTEM01:re Twin Light & 3DC ツインライトマウントアダプターLセット」&AOI UCL-03

GoPro11で撮影(撮影地:沖縄/慶良間)

GoPro11で撮影(撮影地:沖縄/慶良間)

画質

4.0K60P

画角

広角

HyperSmooth

ブースト

EV修正

0.0EV

ISO最小

100

ISO最大

1600

ホワイトバランス

自動

シャープネス

カラー

自然な彩度

4Kムービーからの静止画切り出しでここまで綺麗なマクロ作品が撮れるのは素晴らしい。

ワイドレンズ「AOI UWL-03」をセット

GoPro11で撮影(撮影地:沖縄/渡名喜島)

GoPro11で撮影(撮影地:沖縄/渡名喜島)

画質

4.0K60P

画角

広角

HyperSmooth

ブースト

EV修正

0.0EV

ISO最小

100

ISO最大

1600

ホワイトバランス

自動

シャープネス

カラー

自然な彩度

4Kムービーからの静止画切り出しで、透明感があり鮮やかなワイド作品が手に入ります。もちろんムービーで撮影しているので、動画としてもクオリティーの高い作品となり得ます。

使用したアクセサリー

RGBlue 3DC ツインライトマウントアダプターLセット

RGBlue 3DC ツインライトマウントアダプターLセット

RGBlue SYSTEM01 :re Twin Light

RGBlue SYSTEM01 :re Twin Light

いかがでしょうか?GoProでも簡単に高画質な撮影データが手に入ります。お手頃なGoProも工夫次第で色々楽しめる時代になりました。
今度のインスタライブでは、GoProのワイドレンズ、マクロレンズ、照明アクセサリーについて詳しく解説しますね。
お楽しみに!

インスタライブで詳しく解説!

インスタライブ

10月3日(火)20:00〜
※インスタライブは終了しました。アーカイブはこちらから↓


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writer
PROFILE
1964年生まれ。水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室マリーンプロダクトを主宰。 また、カメラメーカーの研究開発にも携わり、水中撮影モードや水中ホワイトバランスの開発アドバイザーも務める。1998年にデビューしたOLYMPUS C900Zoomから最新機種まで全てのOLYMPUS水中モデルのチューニングテストを行なっている。カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーメーカーのアドバイザーやテスト撮影の要望も多い。執筆活動では、水中撮影機材の解説や撮影の仕方、楽しみ方の記事をPADI Japan/デジカメ上達クリニック、OMDS/水中デジタルカメラ・インプレッション、マリンダイビング.ウェブ/水中デジカメ撮影教室、オーシャナ/カメラレビューを現在連載中。最近では、「清水淳のマンツーマン水中写真教室」が好評いただき熱意あふれるフォトグラファーたちと一緒に撮影をしている。
公式ホームページ https://shimizu.marine-p.com/ 公益社団法人日本写真家協会会員。
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