死なないためのダイビングスキル(第12回)

潜降できないダイバーは潜ってはいけない?適正ウエイトで潜降するコツ

宮古島の青い海とサンゴ(撮影:越智隆治)

私のコラムを読んで頂いた皆さんは、「死なないスキルに潜降スキルはないの?」と思われた方もいらっしゃったのでは?

死なないためのスキルを大胆にまとめて4つあげると、以下の4つになります。

  • 水面で落ち着いて自分の体を浮かせる事ができる
  • 水中でレギュレータークリアーなどのコントロールがストレスなくできる
  • マスク無しで潜りたい最大水深から浮上ができる
  • 残圧コントロールとエアー切れの時にバディが近くにいて予備空気源を使って浮上ができる

以上が出来れば、ダイバーは死ぬことはないのです。

水中でパニックになって溺れたというけど、パニックになったストレスの原因のほとんどは、

  • 呼吸コントロールができていない
  • レギュレーターから水を飲んだ
  • マスクに水が入った

などが原因で、これは上記の死なないための4つのスキルのうちの3つのスキルが完全にできていないからです。

では、潜降はできなくてもいいのか?と思っている皆さん!

自分を浮かせられるウエイト量で潜れない人は、潜れない“はず”なのだから水中で死なないのです。

それを親切なガイドが無理に潜らせようとウエイト足してあげたり、上から押したり、下から引いたり…だから事故につながる。

潜れないのだから潜らなければいいのです。本来は!
潜降できな人は潜ってはいけないのです。

自力で潜れない人はダイビングをする認定レベルには達していない、体験ダイバーと同じ。
自分を浮かせられるウエイト量で潜降できない人は、死なない前に水中へ行ってはいけないのです!

では、適正ウエイトで潜るために何をすべきか?

  • 窒息感の克服
  • 耳抜きの方法の工夫
  • 潜降中にバタバタしない

たったこの3つができれば潜降は簡単です!

窒息感を克服するためのトレーニング

たくさんのウエイトが無いと潜れない人は、肺の空気を排出して、しばらく我慢できないから肺の空気が満たされた(肺空気だけで3~4キログラムの浮力がある)状態のために沈めないのです。

肺の空気を排気して我慢できない原因は「窒息感」と「ストレス」です。

「窒息感」「水へのストレス」は微妙にリンクしています。
窒息感のある人は、少しでも息を止めるとおぼれると感じます。

水へのストレスの原因の一つは、呼吸の閉塞感(実際は十分に空気が供給されていても)です。

窒息感を克服するのは、潜る前に陸上で簡単な息堪えの練習をすることです(3回目のコラムで詳しく書いています)。

耳抜きは肺に空気を吸い込まなくてもできる

耳抜きの際に、ほとんどの人は肺に空気を吸い込みます。
耳抜きが必要な水深まで肺の空気を排気して沈んでも、耳抜きのために肺に空気を吸い込めば再び水面に浮いてしまいます。

耳抜きは肺の空気を排気した状態でもできます。
このコラムを読んでいる今でもできるので、ぜひお試しください。

潜降中にバタバタしない

潜降中にバランスを崩してバタバタすればするほど、フィンが動いて沈みづらくなり、さらに動くことで呼吸が乱れて肺に空気を吸い込みぎみになります。

潜降中に体がバタバタするのは、バランスが悪いからです。
バランスを良くするには、

  • たくさん潜る
  • 講習でフィンキックを正しくならってバランスを整えておく
  • 水泳などをして、浮いている状態になれる

などなど。

適正なウエイトで潜降するにも、バランストレーニングや窒息感に慣れること必要です。
それを教えるのが面倒だと、ウエイトをたくさん足すことになり、簡単に死ねるダイバーを育てることとになります。
 
何度も書いていますが、アウトドアスポーツはオウンリスクで楽しむべきです。
このコラムを読んだ方は、適正ウエイトで潜れる死なないダイバーになってください。

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PROFILE
九州は小倉に生まれ、法政大学アクアダイビングクラブでダイビングを始める。

学生時代からインストラクターになり、認定したダイバーは数千人、NAUI時代にコースディレクターとしてインストラクターも多数養成。

インストラクターの集まったNPO日本安全潜水教育協会(JCUE、ジェイキュー)会長、雑誌「月刊ダイバー」ではDUKEヤマナカとしてダイビングテクニックのアドバイザーなどなど、比較的スキルや安全のことに比重を置いて活動している。
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