死なないためのダイビングスキル(第4回)

ダイビング中にマスクに水が入ってこないようにする方法

マスクに水が入ることに強いストレスを感じている人は、簡単にパニックに陥りやすい。

水中でパニックになればほとんどの人が急浮上し、肺損傷からエアーエンボリズムや気胸を起こして死にいたる重大な事故につながる可能性があります。

また、過度のオーバーウエイトだと、水面でBCの給気ができずに溺れて水没してしまうかもしれません。
(2回目と3回目のコラムでウエイトのことは書きました)

マスククリアは初心者のダイビングスキルの中で難易度の高いスキルだと思われているし、ダイバーの中にはマスクに水を入れたくないために、ストラップを目がつり上がるほど締めている人が多い。
心当たりのある方もいるのでは?

まず、これを諦めてください。

「マスク内に水が入らないようにするのは無理」

残念ながら、水の入らないマスクはあり得ないと諦めてください。
ベテランのダイバーに聞いてみるといいですね。
皆さん、マスク内に定期的に少しの水が入り、それを無意識に近い意識でクリアしているはずです。

そこを踏まえた上で、マスクに水が入ってこない方法を考えましょう。

セブ島のクマノミ(撮影:越智隆治)

マスクの中になんで水が入ってくるの?

マスクに水が入ってくる方、こんなことしていませんか?

  • マスクのストラップを堅く締めている
  • いつも鼻から排気してマスクに水が入らないようにしている
  • マウスピースを堅く噛んでいる

水が入ってくる3大要素でビギナーダイバーの証明ですよ。
逆に言えば、これらにきちんと対処すれば、マスクに水が入ってこなくなります。

マスクはストラップをはずしても水が入ってきません!

水が入らないテクニックに思えますが、顔にマスクのスカートがきつく押しつけられるので、わずかな顔の変化(笑うとか)で隙間ができきてしまって、逆に水が入りやすくなります。
顔にスカートが柔軟に接しているほうが顔の動きにも合ってフィット感が維持できるのです。

さらに、適度に顔にあっているマスク(購入の時に鼻から軽く息を吸ってフィットする)なら、水中でストラップを外しても水は入ってきません

水中ではマスク内の空間は軽く圧縮されているので、マスクはストラップ無しで顔に張り付いています。
鼻息を吸い続けていなくても、顔を振ってもマスク内に水は入ってきません。
ぜひ一度チャレンジしてください。
マスクのストラップをきつく締めることに意味がないことに気づきます。

もしストラップ無しで水が入るならマスクがフィットしていないか、鼻からの排気を止められないことが原因です。

ストラップをきつく締めていると初心者丸出しですよ!

鼻から排気しちゃう人は口笛を吹こう!

マスクに水が入るのが嫌な人と、鼻からの排気を止められない(口だけ呼吸が理想)人は、マスクの上部から絶えず排気がされて、マスクがずり上がり、鼻が豚鼻(凄い顔)になり、マスク内に水が入りやすくなります。

マスクに水が入っても簡単にクリアできるスキル(後述)は大切ですが、鼻からの排気を止める方法は、レギを咥えて口笛を吹くように排気をすることです。
口笛を吹きながら鼻から排気できる人は滅多にいないはずです。

さらに、口笛を吹くようにして吸気・排気することで、鼻からの排気が止まるだけではなく、ノドも渇きづらくなります。
水中で口笛を吹きながら潜れば気持ちも落ちつくのでぜひお試しください。

また、マウスピースの咥え方が悪い、もしくは上の歯茎の形がマウスピースに合っていないために、上唇と鼻の間が突出して、マスク上部へ押し上げ、鼻から排気しているのと同じように豚鼻になって水が入りやすくなります。

心当たりのある方は、マウスピースを軽く咥えて鏡でチェックしてみてください。
またはマウスピースを自分の口に合ったものに変えると顎の疲れも格段に減ります。

さて、鼻からの排気を絶えずしている人やストラップをきつく締めている人は、ここから先を必ず読んでくださいね。

マスクに水が入ってきてもダイバーは死なない!

例えば18mの水深でマスクに水が入っても、またはマスクが無くなっても、マスクのレンズが外れても(有り得なさそうですが見たことあります)、マスクなしで1分間落ち着いて呼吸ができれば、毎分18mの浮上速度で浮上すれば、1分間で水面に戻れます。

PADIの基準ではOWダイバーは水中で1分以上マスクなし呼吸ができなければならないとなっています。

OWダイバーの最大水深は18mですから、規準通りのスキルが身についているなら、落ち着いてマスク無しで泳いで水面に戻れば溺れることはないのです。
もし36mの水深に潜りたければ2分間落ち着いてマスクなしで呼吸ができればいいのです。

きちんと講習通りにやっていれば、マスクに水が入っても死なない。

今回はそのことをわかっていただいた上で、次回はマスクに水が入ってきたときの対処法・マスククリアについてのお話。

マスククリアは苦手な方が多いですが、その理由は、マスクなし呼吸が出来ないのと窒息感が強いからです。
ではどうしたら?

次回もお楽しみに!

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PROFILE
九州は小倉に生まれ、法政大学アクアダイビングクラブでダイビングを始める。

学生時代からインストラクターになり、認定したダイバーは数千人、NAUI時代にコースディレクターとしてインストラクターも多数養成。

インストラクターの集まったNPO日本安全潜水教育協会(JCUE、ジェイキュー)会長、雑誌「月刊ダイバー」ではDUKEヤマナカとしてダイビングテクニックのアドバイザーなどなど、比較的スキルや安全のことに比重を置いて活動している。