死なないためのダイビングスキル(第10回)

エア切れで死なないためのバディとの「限界移動距離」とは?

この記事は約3分で読めます。

前回、エア切れで死なないために知っておくべきことをお伝えしました。

その内容を軽く復習しておきます。

残圧計がある器材でエア切れになる理由は、以下の通りです。

  • 楽しくて残圧計を見忘れる
  • 強いストレスで残圧計を見るゆとりすらない(海洋に出てはいけないレベルです)

ほぼこの2点が原因ですが、まれに「エアが残っていてもレギュレータから呼吸できなくなる」ケースもあり、考えられる原因は以下のようなものです。

  • バルブの開放が不完全
  • 残圧計が不備
  • 中圧ホースが破裂

前回もエア切れの対処法をご紹介しましたが、今回は、もっと直接的で効果的な対処法を紹介します。

セブ島のフォト派ダイバー(撮影:越智隆治)

今のダイビング器材は、メーカの努力で日々進化し、正しく使っていればほとんど命にかかわるトラブルは起きていないと思います。

だから器材は壊れないと信じてしまうダイバーが多いのも仕方ないのかもしれませんが、前回紹介したように、使う側が使い方を誤れば命にかかわるとトラブルになりうる可能性はありますし、器材は「壊れる」というリスクもあることを知ってダイビングすべきです。

だから、バディシステム。
レジャーダイバーのエア切れや器材のトラブルに関してはバディが最後の砦です。

もし空気の供給が止まった時に、バディのところまで泳いで行けますか?

バディとの距離は、「突然に空気が吸えなくなり、息を吐いた状態で辿り着ける距離」がバディと離れても良い限界移動距離です。

エアが止まる時は空気を吸い込んだ時とは限らないので、息を吐いた状態で浅いプールでどのくらい泳げるか試して、自分の限界移動距離をチェックしてみてください。

講習で「レギュレータが外れたら口から空気を吐き続ける」と習ったと思います。
しかし、水中でエア供給が止まったら、自分より浅い所のバディへ向かって泳がない限りは、予備の空気源に向かって泳ぐ際には、空気は吐き出さなくても問題ありません。
むしろ排気をしていると体が沈みぎみになるので排気しないほうが安全です。

現在のダイビングの認定システムで空気供給におけるトラブルに対処するには、限界移動距離内で維持されたバディシステムが絶対に必要です。

「バディのことを気にしていると楽しめない」とか「自分よりスキルの未熟なダイバーと潜るとリスクが高い」と思っているベテランの方も多いと思います。

もしそのように思うなら予備のタンクシステムを装備し、OWの講習よりもはるかに高度なスキルを持って潜らなければなりません。
ある意味テクニカルの領域のスキルと装備を考えるべきだと思います。

3~4日程度のOW講習で認定をされて気軽に潜るためには、あなたのバディを大切にするのが、大人の選択かもしれません。

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PROFILE
九州は小倉に生まれ、法政大学アクアダイビングクラブでダイビングを始める。

学生時代からインストラクターになり、認定したダイバーは数千人、NAUI時代にコースディレクターとしてインストラクターも多数養成。

インストラクターの集まったNPO日本安全潜水教育協会(JCUE、ジェイキュー)会長、雑誌「月刊ダイバー」ではDUKEヤマナカとしてダイビングテクニックのアドバイザーなどなど、比較的スキルや安全のことに比重を置いて活動している。
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