死なないためのダイビングスキル(第7回)

あなたもパニック予備軍?レギュレーターリカバリーで見る、死なないためのスキル

レギュレーターリカバリー、本当にできていますか?

レギュレーターが口から外れても、レギュレーターリカバリーができるので大丈夫と思っている人は多いですよね?

では、まず自己診断をしてください。

口からセカンドステージを外す指示が出たら、あなたはどういうリアクションになりますか?

1.怖くてはずせない
2.数回呼吸を整えてからはずす
3.息を吸ってからはずす
4.指示が出た瞬間にはずせる

1.の怖くてはずすのも嫌な人は論外ですが、一見、できているように見える2と3でも明らかにストレスの徴候でありパニック予備軍です。

4.の「指示が出た瞬間にはずせる」以外の人は、急にセカンドステージがはずれたらパニックになるので、足の立たない海洋でスクーバダイビングをしていけません。
浅いプールでのトレーニングが必要です。

レギュレーター呼吸の再開は完全自己完結型スキルであり、誰も手助けができないのです。

セブ島の魚の群れ(撮影:越智隆治)

水中で「息を止めてはいけない」という都市伝説

水中でしばらく空気が吸えなくて慌てるようなパニック予備軍から卒業するためには、以前のコラムにも書いた、息堪えを1~2分できるようになることです(やり方は前のコラム「潜降できないダイバー必見!息こらえでオーバーウェイトを解消できる理由」を読んでください)。

セカンドステージを外すことに少しでも抵抗のある人は、窒息感を直さないと、いくらレギュレーターリカバリーの練習をしても意味がないのです。

このことを言うと、「水中で息を止めてはいけないと習った」と言われます。
確かに、体験ダイバーや初心者に対しての講習では、浮上時や浅い水深への移動の際の肺損傷のリスクを減らすために「絶対に息を止めない」と教えます。

さらに、レギュレーターをくわえていない時は小さな泡を出し続けるようにも教えます。
しかし、物理的に考えて、水深が変化しない、または深い所へ移動している際には呼吸を止めたところで肺損傷の可能性はありません(一気に深い所へ移動すると肺もスクイーズを起こす可能性はありますが、30mくらいの深度への移動なら問題ありません)。

浅い水深へ移動しない限りは多少呼吸を止めても、肺への負担はないのです。

まずは、

1.陸上で、2分間を目標に息堪えの練習をすること
2.次に、足の立つところでセカンドステージをくわえずに息堪えを1~2分できるようなること

しばらくダイビングから遠ざかったら、2.ができることを確認することで、ダイビング中の窒息感がほぼ解消されます。

もし、1~2分間息堪えができて、マスク無し呼吸もストレスなくできるのに、水中で窒息感を感じるようなら、「精神的ダイビング適正」という大きな課題と向き合わなければならないかもしれません。

すぐに予備のセカンドステージを使える準備

自分のくわえているセカンドステージのコントロールができるようになっても、水中でレギュレーターのトラブルやエアー切れなどのために、同じセカンドステージで呼吸をし続けることができなくなることもあります。

マスクトラブルなら、マスク無しで水面に浮上できますが、レギュレーターをくわえずに浮上することはできません。

ダイバーの中には、排気だけして浮上すれば、肺に負荷がかからないと思っている人が多いようです。
しかし、肺は一つの風船ではなく、肺胞というミクロ単位の小さな袋が無数に集まってできた組織なので、排気だけして浮上すると肺胞内のガスがうまく排気されない可能性もあるので、換気(呼吸)しながら浮上しないと、肺への負荷が高くなるのです。

躊躇なくセカンドステージが外せるようになっても、メインのセカンドステージが使えなくなったら、予備の呼吸源(予備のセカンドステージなど)は目をつぶっても確保し呼吸が再開できなければなりません。

予備のセカンドステージは、エアー切れの人に渡すためのセカンドステージというイメージがありますが、自分のために使うことの方が多いのです。

例えば、

  • メインのセカンドステージのマウスピースを噛み切った
  • リカバリーしたけどメインのセカンドステージが見つからなかった
  • バディがエアー切れで自分のくわえているセカンドステージを奪い取った(後述)

とっさの場合に、慌てず焦らず、予備のセカンドステージを確保し呼吸ができないと、呼吸源を失って排気だけの急浮上をせねばならなくなります。

メインのセカンドステージが何らかの理由で確保できなくても、予備のセカンドステージを決まった位置にホールドし(PADIは胸の前にホールドするように教えています)、プールワークで予備のセカンドスージでも呼吸を確保する反復トレーニングを行っていれば、自分自身のためのバックアップ呼吸源として予備のセカンドステージが使えます。

予備のセカンドステージは右側から出す!?

一般に予備のセカンドステージを左から出すにはそれなりの覚悟と心構えが必要。
予備のセカンドステージを左側から出している人は、左側のセカンドステージを自分で呼吸するには不向きです。

左側から出たセカンドステージを自分で呼吸するには、ホースを一旦反転させないと、セカンドステージの上下逆にくわえなければならなくなるのです。
セカンドステージを上下逆に咥えると排気バルブが上側に来て絶えず水が入った状態になります。

セカンドステージがスイベル(セカンドステージが回るタイプ)で回転したり、排気弁がサイドにあるタイプのセカンドステージは左から出ていても呼吸が普通にできますが、それ以外は、一般的にセカンドステージは右側から出すべきです。

テクニカルのダイバーは、ホースが長めのセカンドステージを普段の呼吸器として使い、予備のセカンドステージはネックレスのように首にぶら下げ、いつでも自分自身で呼吸できるように装備しています。
良い習慣だと思います。

死なないダイバーは、どんなタイミングでもセカンドステージが外れても、メイン・予備どちらかのセカンドステージでも落ち着いて、笑顔で呼吸が再開できなければなりません。

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PROFILE
九州は小倉に生まれ、法政大学アクアダイビングクラブでダイビングを始める。

学生時代からインストラクターになり、認定したダイバーは数千人、NAUI時代にコースディレクターとしてインストラクターも多数養成。

インストラクターの集まったNPO日本安全潜水教育協会(JCUE、ジェイキュー)会長、雑誌「月刊ダイバー」ではDUKEヤマナカとしてダイビングテクニックのアドバイザーなどなど、比較的スキルや安全のことに比重を置いて活動している。