オーストラリア東海岸、関戸紀倫Dialy〜ドライブ&ダイブサファリ〜(第5回)

【Day6】 水底を埋め尽くすカーペットシャークと100mの大トンネル ~東海岸で人気の「フィッシュロック」を潜る~

この記事は約7分で読めます。

まるで父っつあんから逃げるルパンの様なオオセ オーストラリア東海岸、関戸紀倫Dialy〜ドライブ&ダイブサファリ〜

エントリーまでのスタイル、水中での生物との出会い、ミステリアスな地形。
“おもしろ”いっぱいのフィッシュロックは、物語であふれている。
それは、陸上も例外ではなかった!

Day6〜サウスウエストロックスでダイビング〜

毎日ボートを海まで牽引
小さい町ゆえのレアなスタイル

今日も6:00に起床。
朝食を済ませて、外に出るとボートが2隻並んでいた。
「おはよう! きりんはこっちのボートね!」とケビンに教えてもらい、タンクのセッティングをしていた時のこと。
タンクをよく見ると、なんとタンクに「ナイトロックス」の表記がある。

「あれ? ナイトロックスって言ってないけど、サービス?」とケビンに伝えると「なに言ってんだよ! ナイトロックスしか扱ってないんだぜ!」とケビンが言った。

ここのショップは、すべてのタンクがナイトロックスというサービスを行っている。
日本ではなかなかないケース(!?)だが、Cカードを持っていなくても、ナイトロックスを無料で使うことができる。

全タンクがナイトロックスというサービス

全タンクがナイトロックスというサービス

セッティングを終え、器材を船に積み込んだ。

ちなみにお店は海から少し離れた町のど真ん中にあり、車で牽引して港で降ろすのだ。
小さい町の小さい港なので、船は毎日お店に持って帰ってこないといけないルール。
日本ではなかなかお目にかかれない光景……なんとも面白いスタイルだ。

みんなが準備できたら、「よし! 行くぞ!」のケビンの合図で車に乗り込み、港までボートを牽引しながら10分くらい走る。
大きなボートを楽々と牽引するスタッフ。
さすがに毎日行なっていることなので運転が慣れている。

港に到着すると、さっそく船を降ろす作業へ。
他のスタッフも手馴れた感じで、ブーン。キッ。カチャン。ブーン。ポチャン。とボートを手際よく海へと移していく。
ものの3分でボートを海に入れた。
思わず口が開いてしまうほどの早業!

見事なチームワークで船を海に入れる

見事なチームワークで船を海に入れる

あっという間に2隻の船が準備完了

あっという間に2隻の船が準備完了

そして、よく見ると川!
実は、海ではなく、川に港がある。
この町の船着場が川にしかないため、川を5分走ると海に出る。
そこから、15分くらい行ったところに見えてきたのが今回のポイント「フィッシュロック(Fish Rock)」。
名前通り「魚岩」で、サウスウエストロックス沖にポツンとあるひとつの岩だ。

港からボートでおよそ30分のポイント「フィッシュロック」

港からボートでおよそ30分のポイント「フィッシュロック」

海底を埋め尽くす生物の
正体とは???

早速、決められたブイに船をつけて、ブリーフィングが始まった。
今回は取材という事もあったので、無理を言ってマンツーでガイドしてもらった。
ガイドはなんと日本とオーストラリア人のハーフのジョー。(日本語はまったくしゃべれない)

ブリーフィングを聞いてると、普通に基本的なポイントをゲストに説明していた。
しかし、一点だけ耳に残ったことがある。
「水底付近で岩に手を置くときは、必ずつかむ前につかむ場所を確認してください」と。

んーーー。
ガンガゼとかオコゼがいるからかな? と思いながら、さらに聞いていると「そこら中にいますから」「嘘じゃありません、そこら中で岩と同化していますので、気をつけてください」とのこと。
その忠告が気になりながら、エントリー。

透明度は12mくらいとそこそこだった。
とりあえず左にフィッシュロックを見ながら、水底付近を泳いでいく。
水底を見てみると、何やら目のようなものが見えた。
そして思わず「うぉ!!」とびっくりしつつ、ブリーフィングの言葉を思い出す。

床一面いた噂のカーペットシャーク(オオセ)

床一面いた噂のカーペットシャーク(オオセ)

目にしたのは、英語でカーペットシャークともいわれている、オオセというサメだ!
それもあっちこっちに!
しかも、大きいもので2mくらいある子もいた。

これか!!!
散々ブリーフィングで言っていたのは。
冗談抜きで1ダイブで20〜30匹以上はいた。
しかも、近寄っても全然逃げない。

ワイドでは、すごい広角のフィシュアイレンズ(魚眼レンズ)を使っているため、生物を撮影するときはなるべく寄って撮るが、レンズが当たるくらいまで寄ってもビクともしない。

オオセは夜行性のサメなので、昼間は寝ている。
まぁ、寝ているから動かないのだろうが、それにしてもピクリともしない。

ピタリとも動かないオオセとガイドのジョー

ピタリとも動かないオオセとガイドのジョー

そして、さらに進んでいくと、無数の小魚の群れの間からシロワニ参上!
オオセに夢中になっていただけに、ちょっとビックリ。
最後にシロワニとちょっと遊んで、1本目は終了した。

なんて濃いダイビングだったんだ!
驚きを胸に、ボートの上でしっかり水面休息をとって2本目へ。

2本目はトンネルで大冒険
アニメの場面を思い出す!?

2本目のブリーフィングがはじまり、何やらフィッシュロックにはトンネルがあるらしく、岩の反対側に抜けられるとのこと。
「えっ!? もしかして、これがメイン?」
自分的にはさっきのオオセとシロワニだけでもじゅうぶん濃かったけど、メインはこっちみたい。

ブリーフィングを聞いていると、トンネルは水深24m付近から入り、長さ100mのトンネルを抜けて、反対側の水深12m付近に抜けるらしい。
結構長い洞窟なので、自信がない方にはオススメしていない、とのこと。

2本目もジョーとマンツーマンで潜る。
エントリーしてすぐに洞窟の入り口めがけて行き、水深24mの洞窟の入り口に到着。
入り口は比較的大きい。
さっそく入って、無数に群れているハタンポの壁を抜けると、V字型のトンネルが奥に続いていて、どんどん暗くなっていく。

V字型の洞窟の入り口

V字型の洞窟の入り口

ライトをつけて進んでいくとジョーが急に5mくらい浮上し始めた。
「こっちこっち!」というのでついていくと、なにやらエアードーム(洞窟内にダイバーなどによって吐き出された空気が天井にたまる空間)があり、長年ダイバーなどの吐いた空気が溜まってできたものらしい。
なので、安心してエアードーム内の空気を呼吸できる。
僕も思い切って水深20m付近でレギュを外してみると、あたたかい空気が吸えて、なんだか不思議な感じだった。

洞窟内にあるエアードーム内

洞窟内にあるエアードーム内

再び潜降し、出口を目指して進んでいく。
すると途中で後ろの方で気配がした。
慌ててライトを向けてもなにもいない。
「おかしいな……」と思ってると、今度は横の壁付近で何か気配が!

ライトを向けると、大きなオオセが泳いでいた!!

その姿はまるで、あのジャパニーズアニメの有名作「ルパン三世」の父っつあんから逃げるルパン三世そのものだった。
かっこいい! と思ったのもつかの間、気づけばルパンはガイドのジョーに突進していった。
あれ!? これはスマートな逃走劇じゃなく、寝ぼけているだけ???

まるで父っつあんから逃げるルパンの様なオオセ

まるで父っつあんから逃げるルパンの様なオオセ

僕もアニメ「名探偵コナン」のコナンばりに推理を働かせる。
おそらく洞窟内で寝ていたオオセは、我々のライトで起こされてしまい、寝ぼけたまま泳いでたらジョーにぶつかってしまったのであろう。
そんなオオセを洞窟内で2、3匹見かけた。

出口付近に来ると、光が差しこみ、なんとも綺麗なブルーが入り込んできて、カゴカキダイとハタンポの仲間がいい感じに絵になる。
するとジョーが再び僕のところにきて、「ホレホレ」と言うので、視線をうつすとカエルアンコウが洞窟の中にいたり、ミナミハコフグの幼魚などが!
マクロも豊富だった。

洞窟の出口付近は神秘的なブルー

洞窟の出口付近は神秘的なブルー

洞窟内にいたカエルアンコウ

洞窟内にいたカエルアンコウ

洞窟を出るとそこは地元では「アクアリウム」いわれているところに出て、名前の通り水槽の中のようにいろんな種類のお魚が群れていた。

洞窟を出るとまるでアクアリウムの様にお魚が群れていた

洞窟を出るとまるでアクアリウムの様にお魚が群れていた

船に戻り、ケビンが「どうだった??」と聞くので、「うわお!」一言言うと「Good」とよろこんでいた。

カンガルーに雷に
陸でも自然を享受

ダイビングから上がってきて今度は陸の取材へ。
サウスウエストロックスは陸もオーストラリアならではの絶景が見られる。

まずはショップから車で20分くらいで着く、キャンプ場にもなっている公園へ。
そこには、野生のカンガルーがいっぱいて、すごく近寄れるので、写真を取りたい方にはオススメ!

キャンプ場など普通にその辺にいるカンガルー

キャンプ場など普通にその辺にいるカンガルー

町のビーチに戻り、ビーチの写真などを撮っていると雲行きが怪しくなり、遠くからちらっと雨雲と雷が光ったのが見えた。
慌てて、海辺に行き三脚を取り出して写真に夢中になった。
そして、雨が降ってくる少し手前で、ギリギリ雷を写真に収めることに成功!

タイミングよく雷をビーチから撮った

タイミングよく雷をビーチから撮った

なかなか雷をおさえる機会は少なく、また天気に関してもあまり詳しくないため、事前にどこに雷が落ちるなんて予測もできない。
こういうチャンスには、なかなかめぐり合えない。

またじっくり時間をかけて、海も陸も撮影しにきたい場所のひとつだ。
明日の移動に備えて、今夜も早く就寝することにした。

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writer
PROFILE
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。
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