「海洋プラスチック」の存在について、私たちが知っておきたい8つのこと
2019年3月、国連環境計画は世界の海洋生態系におけるプラスチック汚染を取り上げている3つのレポートを発表した。
プラスチックが海にとって大きな問題であることはすでに多くの議論をうんでおり、プラスチック汚染は実際にどれほどの脅威をもたらすのか?
海洋プラスチックに関する衝撃的な情報を、国連環境計画のレポートもベースにまとめてみた。
1. 海洋ゴミの60〜80%はプラスチック
海洋ゴミの60〜80%はプラスチックであり、800以上の海洋種に悪影響を与えている。
国連環境計画のサンゴ礁ユニットの責任者、ジャーカータメルランダーのコメント。
「海洋プラスチックのごみ汚染はすでに摂取、巻き込み、生息地の変化を通じて800を超える海洋種に影響を与えています。廃棄物は土地から海へ流れ込み続けており、サンゴ礁によって受け止められています。その上サンゴ礁は、多くの漁具や水産養殖で使用され、流されてしまったプラスチックも捕獲しています。気候変動によりサンゴ礁の生態系に及ぼす悪影響がすでに著しい中、さらにプラスチックによるインパクトには真剣に取り組む必要があります」
2. 世界のすべてのウミガメにプラスチックの影響がある
世界のウミガメ、7種すべてがプラスチックの影響を受けている。
さらに、海洋哺乳類の66%と海鳥の半分も影響を受けている。
残念ながらこの状況は悪化しており、過去20年間で、プラスチックの摂取、そしてプラスチック製品による巻き込みの被害となった実例は49%増加している。
3. 何百万トンものプラスチック廃棄物が年間海に侵入している
2010年時点で、192か国から約2億7500万トンのプラスチック廃棄物が発生し、そのうち、およそ480万から1270万トンものプラスチックが海に流れ込んでいる。
4. 2025年には、アジア太平洋地域には157億トンのプラスチック製品が存在する
2010年時点で、アジア太平洋地域の浅瀬のサンゴ礁の環境のみでも、すでに約111億のプラスチック・アイテムが存在すると考えられている。
この数字は、2025年までに157億トン以上まで増加すると予測される。
5. ゴーストギアは海洋生態系への最も重大な脅威の1つ
「ゴーストギア」とは、海で失われた廃漁網や装備。
これらは、海洋生態系における最も重大な脅威の1つと考えられている。
国連によると、「浮遊ゴミパッチ」(またはジャイア)に含まれるプラスチックの46%以上がこのゴーストギアでできている。
6. 現在までに生産されたプラスチックのほぼ半分は2000年以降の製造
「海洋におけるプラスチックごみとマイクロプラスチックの監視と評価のためのガイドライン」によると、プラスチックは19世紀の終わりから開発されてきたが、生産のブームは1950年代頃に始まった。
また、これまでに生産されたすべてのプラスチックのほぼ半分は2000年以降に製造されている。
7. プラスチックは分類しても、消えることはない
プラスチックの問題は、プラスチック自体が長持ちしてしまうこと。
通常のプラスチックは長期間、海洋環境に留まる。
紫外線はプラスチックの破砕を引き起こすが、海底に沈んだり、堆積物に埋まってしまうと、無期限に無傷のまま保存されてしまう可能性がある。
8. 深海にもプラスチックは存在する
近年実施されたマリアナ海溝(球上で最も深い自然の海溝ー10,994メートルの深さにある)への遠征でもプラスチック汚染の証拠が発見された。
これほどの海の深さでも、ビニール袋やお菓子の包み紙が発見されている。
途方もないシチュエーションもあるが、まだ希望はある。
このようなレポートやデータからの結果は、衝撃的で悲観的になってしまうが、「私たちはサンゴ礁をプラスチックから保護をしないといけない」という強い理由にもなる。
これらを実行することにより、サンゴ礁をプラスチックから守ることができる。
2.ペットボトル、プラスチックストローやマドラー、1回分のシャンプーや砂糖などが入っている小さい袋を使わない
3.ゴミの仕分けをして、出来る限りリサイクルする
4.ダイビングショップやボートには適正なサイズのゴミ箱を設置する
5.ダイビングボートには蓋つきのゴミ箱を設置する
6.ダイビングボートで出たごみはきちんと陸に持ち帰られ処理されることを確認する
7.ダイビングガイドやインストラクターはロールモデルとして、ダイブ中にもゴミを集める
8.出来る限りビーチや水中クリーンアップに参加・実行する
9.クリーンアップの写真・ビデオ等をSNSでシェアする
一人一人が行動をとることによってサンゴ礁を守ることに参加できる。
ダイバーとしてサステナブルなダイビングをするには
1.グリーンフィンメンバーのショップを選ぶ
2.ダイビングショップにプラスチックの対応について確認する
3.ゴミの仕分けをして、出来る限りリサイクルする
4.使い捨てプラスチックを使わない
5.マイボトルを持ち歩く
6.プラスチックストローを断る
7.エコバッグを使い、レジ袋を使わない
8.カトラリーは持参する
9.安全に出来るなら、ダイビング中にゴミを拾う
10.ビーチや水中クリーンアップに参加する
翻訳:Naomi Tashiro
元記事:GREEN FINS「8 Things You Need to Know about Ocean Plastics」
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