「SSI」50周年特別企画 〜SSIでダイビングの冒険をはじめよう~(第3回)

トレーニング教材はスマホだけ。DXの先端を行くSSIが取り組む環境保全とは【連載vol.03】

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月1の連載でダイビング指導(教育)団体「SSI(Scuba Schools International – スクーバ・スクールズ・インターナショナル)」(以下、SSI)を紹介する本企画。

連載第三弾となる今回ご紹介するのは、SSIの環境保全に対する取り組み。ダイビングは自然をフィールドにしたアクティビティであるからこそ、環境保全に積極的に取り組むダイビング指導団体を選びたいもの。SSIでは、環境負荷のかかる紙を使用したトレーニング教材をゼロにし、100%デジタル化したり、海洋環境について学べる独自のプログラムを提供するなど、環境保護に積極的に取り組んでいる。今回はその根底にある想いや実際の取り組みについてご紹介していきたいと思う。

環境保全に対する根底にある想い

海をフィールドにするダイビングと、海洋環境問題は密接に関係すると考え、美しい海を守るために提供するすべての商品やサービスは、環境に対する負荷をできる限り削減することを念頭に置き活動するSSI。

2018年からは、「サステナビリティ」をメインテーマとした「ブルーオーシャンズ(※)」という環境保護プロジェクトを開始。たとえば、環境保護について特化して学べる無料の「ブルーオーシャンズプログラム」を提供したり、SSI主催で定期的にビーチクリーンを行ったりするなど、さまざまな取り組みを行なっている。これら環境保全への取り組みは、持続可能なダイビングの実践や、環境を意識することができるダイバーを育てることが、海洋環境の保全・改善、さらにはサステナブルな経済成長に繋がる、という想いが根底にはある。

※2018年当時は「ミッションディープブルー」という名だったが、2019年に「ブルーオーシャンズ」に変更。ブルーオーシャンズについて詳細はこちら

美しい海を守るための5つの取り組み

1.100% デジタル! 紙を使用したトレーニング教材はゼロ

通常、ダイビングのCカード(ライセンス)取得やトレーニングを受ける際に、紙の教材を大量に使用する。この紙を作るための森林伐採も、海へ濁った水が流れ込むことによる海洋環境破壊の大きな要因だ。また印刷インクには、VOC(揮発性有機化合物)という物質が含まれているものがあり、人体に悪影響を与えたり、環境を汚染する可能性があるとされている。使い終わったプラスチック製インクカートリッジもごみになる。

そこで2006年にSSIは、グローバル展開する他指導団体の中で最も早く、トレーニング教材を完全にデジタル化する方針に切り替え、2015年にはすべての教材をデジタル化。このことで、環境負荷を減らすだけでなく、私たちダイバーにとっても、教材が更新されたときには、いち早く最新の情報が手に入るようになるメリットが。

2.デジタルトレーニングレコードで紙の使用をさらに少なく!

トレーニング教材は100%デジタル化されたと上記でご紹介したが、SSIは昨年10月からトレーニング過程で記入する記録や必要書類までもデジタル化!環境負荷軽減はもちろんのこと、書類の紛失や記入漏れなど人的ミスの発生を防ぐことにもつながる。

デジタルトレーニングレコードについて詳しく知る

3.生分解性の環境に優しいCカード

一般的にダイビングのトレーニングを修了し発行されるCカードは、プラスチック製が主流。毎年、トレーニングを受けるダイバーの数に比例して、Cカードも大量につくられていた。しかし、昨今の深刻なプラスチックごみ問題を受け、SSIは2014年から、デジタル版のCカードをメインとし、プラスティックのCカードをオプションにする方針へシフト。さらに、Cカードも正分解できないプラスチック製ではなく、環境に優しいバイオPVC(バイオポリ塩化ビニル)製のものを発行している。この物質は100%生分解性で、微生物の働きにより堆肥化させることができる素材なのだ。現在、プラスチックの使用量は70%削減に成功した。

左:デジタルCカード、中央・右:生分解性のCカード(裏表)

左:デジタルCカード、中央・右:生分解性のCカード(裏表)

4.プラスチックゴミは徹底的に出さない!

SSIでは、製品を包装するための梱包材に、プラスチック製のものではなく。100%生分解性のセルロースや紙を使用することで、プラスチックの使用削減をさらに推進。また、社内でもプラスチック製のペットボトルやストローを使用しないようにしている。

5.SSI 独自のエコロジープログラム

私たち海洋環境保全の最初のステップは知識をつけること。海洋環境や海洋生物について学べるさまざまな独自のスペシャルティプログラム(※)が用意されている。たとえば海の生態系などについて学ぶ「マリンエコロジースペシャルティ」、なぜ海にとってサメが重要なのかなどを学ぶ「シャークエコロジー」、ウミガメの歴史やウミガメへの脅威などを学ぶ「シータートルエコロジー」、その他にも魚やサンゴの識別方法を学んだり、イルカやクジラ、マンタの生態などについて学ぶプログラムがある。これらは全7種(今後新たに2種追加予定)あり、自分の好きなタイミングで受講可能。
▶︎プログラム一覧はこちら

※特定(=スペシャル)の分野について、学ぶことができるプログラムの総称。たとえば、ダイビング(ディープダイブやナイトダイブなど)の仕方や、初めて使う器材(ドライスーツや水中スクーター、水中カメラなど)の使い方、海洋環境(サンゴの生態や魚の識別方法など)のノウハウなど、種類はさまざま。

美しい海を守るためにも、海洋環境について学べるプログラムが充実しているSSIで環境に配慮できるサステナブルなダイバーを目指してみるのもいいかもしれない。次回はSSIの“機能が充実しすぎている!? 独自の「My SSIアプリ」をご紹介!その使い勝手の良さに圧倒されること間違いなし。

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50年の伝統をもつ指導団体「SSI」と創業70年を迎える老舗ダイビング器材メーカー「mares」を運営。自然を舞台に楽しむことをサポートする会社として、持続可能な社会への取り組みにも力を入れている。
 
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PROFILE
ダイビング指導団体「SSI(Scuba Schools International – スクーバ・スクールズ・インターナショナル)」 。
日本におけるSSIは、オーストリアに本部を構えるスポーツ総合メーカー「HEAD」の子会社「HEAD Japan株式会社」にあるダイビング事業部が、創業70年を迎えるイタリアの老舗ダイビング器材メーカー「Mares」とともに運営。 「トレーニング、器材、旅行を一1つにする」というSSIのビジョンを見据えている。
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