【ダイビング入門編】初心者が抑えるべき基礎知識から、器材選びまで徹底解説
ダイビングに漠然と興味があるけど、ダイビングにはどんな種類があって、どんな器材が必要なのか、どんな技術が必要なのかなど、わからないことが多すぎる…、という方のために、ダイビングの基礎知識を要点絞ってまとめてみた。ダイビングを始める準備をする方必見!
ダイビングの基礎知識
ダイビングとは?
ダイビング(スキューバダイビング)とは水中でシリンダーから空気を吸いながら潜水を楽しむマリンスポーツの一種。スキューバは英語で「SCUBA」と書くが、これは「Self Contained Underwater Breathing Apparatus(自給気式水中呼吸装置)」の頭文字を取ったもの。
日常生活では見ることのない、色とりどりの魚やサンゴ礁などの海洋生物や独特な地形など美しい海中世界を観察できたり、まるで宙に浮いているかのような水中ならではの浮遊感を味わうことができる。
ダイビングって泳げない人でもできるの?
ズバリ答えは「Yes」。泳げないことに不安を持っている方も多いが、ダイビングは息継ぎをするわけでもないし、手と足を一緒に動かして泳ぐわけでもない。水に顔を付けられて、ダイビングで使用する器材の操作さえできればダイビングはできるのだ。しかし、泳げたほうがより安全にダイビングを楽しめるという点を
考慮すれば、泳げるに越したことはない。そう考えると、ダイビングを機に泳ぎの練習を始めるのもいいかもしれない。
一般的なダイビングの楽しみ方
マリンスポーツとして、気軽にダイビング楽しむ場合、大きく分けて以下の3コースがある。
・体験ダイビング
・ダイビングライセンス講習
・ファンダイビング
体験ダイビング
体験ダイビングとは、ダイビングライセンス(Cカード)を必要としない、ダイビングのこと。ダイビングに関する知識や経験がまったくなくても、体験当日にダイビングインストラクターから最低限の指導を受け、すぐに海に潜ることができる。水中ではインストラクターがほとんどつきっきりになり、ほぼすべての面倒を見てくれる。参加方法はダイビングショップやダイビングインストラクターなどに申し込みをするのが一般的。ダイビングがどのようなものなのかまずは一度試してみたいという方におすすめのコースだ。
ダイビングライセンス講習
ダイビングライセンス(Cカード)の取得を目指すコース。ここで少し触れておきたいのは、取得するものが正確には“ライセンス”ではないこと。ライセンスとは、国や公的機関が与える法的な免許・許可証を意味しますが、ダイビングで取得するのは、認定証を意味する「Certification Card(Cカード)」なので覚えておこう(※1)。
上記のファンダイビングに参加するためには、このダイビングライセンス講習に参加し、ダイビングライセンスを取得する必要があるというわけだ。このコースでは、ダイビングに関する知識や水中でのダイビングスキルなどを学び、インストラクターなしでもダイビングができる自立したダイバーになることを目指す(※2)。ダイビングライセンス講習には、ダイビング未経験者がダイバーになるために受講する講習と、それを受講済みですでにダイバーの人がスキルアップのために受講する講習などさまざまある。
※1:本記事では一般的に浸透している「ライセンス」という言葉を用いる
※2:インストラクターやガイドが同行しない、セルフダイビングを行いたい場合は、コース終了後、後述するファンダイビングを通じて経験を積んでからの方が安心
ファンダイビング
ダイビングライセンスを保有している人向けダイビングのこと。体験ダイビングでは潜れないダイビングポイントに行くことができるので、ダイビングの楽しさは体験ダイビングよりも格段に広がる。
ダイビング指導団体(教育機関)って何?
指導団体とは、文字どおりダイバーを育成・指導したりダイビングの裾野を広げるための活動をしたりしている、営利もしくは非営利の団体を指す。ダイビングのライセンスは、これらの指導団体が発行している。指導団体は、日本だけでも約30あり、団体によって理念・性特性は少しずつ異なる。ダイビングライセンス講習のカリキュラムやスキルアップの内容・コース名・ランクも異なる部分もある。とはいえ、どの指導団体のライセンスを取得しても世界中でダイビングを楽しめることには違いはないので、悩みすぎる必要はない。
ダイビングに必要な器材とその選び方
では、実際にダイビングを楽しむためには、どんな器材が必要か見ていこう。ダイビングに必要な基本的な器材とその用途は以下の通り。
マスク
水中世界をクリアに観るためにするもの。水泳で使うゴーグルとは違い、水中で鼻に水が侵入しないように鼻まで覆う形になっている。
シュノーケル
水面にいるとき、ダイビング前でシリンダーの空気をなるべく消費したくないときや、ダイビング後でシリンダーの空気残量がなくなってしまったときに、呼吸をするもの。
フィン
足に装着し、キックをすることで推進力を得るもの。かかとまで包み込みフィット感のあるフルフットタイプのフィンと、かかとがストラップになっておりサイズ調整ができるストラップタイプのフィンがある。フルフットタイプのフィンの場合は素足で履くことができるが、ストラップタイプのフィンは、基本的にブーツを着用して装着する。
ダイビングスーツ
ダイビング時に着用するスーツ。水は陸にいるときと比べ、約20倍も早く体温を奪うため、体の保温はダイビングをする上で必須。水温によってウェットスーツとドライスーツの2種類を使い分ける。
シリンダー
水中で呼吸をするための空気が200気圧前後という高い気圧で入っているもの。タンクとも呼ぶことがある。
レギュレータ
シリンダーから送られてきた空気の高い圧力を、周囲の圧力と同じレベルまで下げ、ダイバーが呼吸できるようにするもの。このレギュレータを咥えてダイビングをする。
BC
空気を送り込んで水中での浮力調整を行うもの。英語の「Buoyancy Compensator(浮力調整装置)」の略。
ゲージ
ダイバーが安全にダイビングを行うために確認する必要がある、残圧計、水深計、コンパスなどの計器類のこと。
ダイブコンピュータ
水中での水深や潜水時間、水温、最大水深、そして無減圧潜水時間(※3)など、今潜っているダイビングのデータをリアルタイムで教えてくれる道具。「ダイコン」と略して呼ぶことも多い。
※3:現在の水深にとどまることができる制限時間のこと。ダイブコンピュータが水深や潜水時間から計算し、リアルタイムで教えてくれるこの機能によって、減圧症のリスクを下げることができる。
マスク、シュノーケル、フィン、ウェットスーツなどは聞いたことがあるかもしれないが、BCやレギュレータはあまり馴染みがないかもしれない。ダイビングショップなどでは、これらの必要器材をレンタルすることが可能で、いきなり器材を揃える必要はないので、ご安心を。また、ダイビングライセンス講習では、これらの器材に関することも詳しく学ぶことができる。
ダイビングをするための健康条件
ダイビングは水中で活動するマリンスポーツということもあり、陸上で行うスポーツよりも健康状態に注意する必要がある。たとえば水深が深くなると体には水圧がかかるため、特に呼吸器系や心臓疾患などの病気を持っている人は細心の注意が必要だ。他にも、耳鼻科や循環器系の病気を持っていたり、薬を服用していたり、アルコールが体内に残った状態なのもNG。
ダイビングを行う前には、ダイビングショップやインストラクターから病歴や健康状態を確認するチェックシートへの記入が求められる。チェックシートで当てはまる項目があれば、医師の診断とサインをもらう必要があるため、もし事前にダイビングをすることがわかってたら、チェックシートを確認し、当てはまる項目や不安なことがあれば医師に相談することをすすめる。
ダイビングの基本技術
体験ダイビングをしようと思っている方でも知っておけば損はない、ダイビングでの基礎となるスキルをご紹介していきます。
①マスククリア
陸上では顔にフィットしていても、水中に入って顔を動かした際にマスクに水が入ってくることもある。他にも一緒にダイビングをしている仲間のフィンがマスクに当たって、マスクがずれて水が入ってきたりなんてことも。少しの水の量であればそのままでも問題ないかもしれないが、視界を遮るほどの水が入ってくると快適性や安全性を損なうことにもなる、そこで、マスククリアをしてマスクから水を出すことが大事になってくる。
口から息を吸って、マスクの上部を軽く手で押さえ、やや上を向きながら鼻からゆっくり息を吐く。鼻から出す息を使って、マスク内の下に溜まった水をマスク外に押し出すイメージ。1回で十分なマスククリアができなかったら、繰り返しやってみよう。
②耳抜き
水深を下げていくと水圧が増していき、鼓膜が内側に曲げられて耳に圧迫感を感じる。これを解消するために耳抜きをしなければならない。ほとんどのダイバーが教わる方法が鼻を摘んで息を吐くバルサルバ法。そうすることで「プシュ」という音とともに鼓膜が通常の位置に戻り、耳の圧迫感から解放される。圧迫感をとおりり越して痛みを感じてから行うのでは遅く、その時点では鼓膜を損傷する可能性もある。だからこそ、ダイビング中は耳に少し圧迫感を感じた段階で耳抜きをすぐに行おう。
③フィンキック
ダイビングで水中を移動するために必要なフィンキック。足を上下に動かすフラッターキック(バタ足)や平泳ぎのように足を左右に動かすフロッグキック(あおり足)が主なもの。どちらのキックも効率よく推進力を得るために足で水を捉える感覚を大事に、大きく動かすことを意識する。
フロッグ・キック ~最も効率よく“泳ぐ”ことができる “フィンキック”~
④ハンドシグナル(水中でのコミュニケーション)
ハンドシグナルとは、言葉が話せない水中で手を使ってコミュニケーションを取る手段。ダイビングではさまざまな場面に遭遇する。何かトラブルが発生したり、次の行動を仲間に示したり、珍しい生物に遭遇したり。そんなさまざまな場面で自分の意思を伝えるために、「OK」、「耳抜き」、「異常あり」、「浮上する」、「潜降する」、「寒い」といった基本のハンドシグナルを使えるようにしよう。
⑤中性浮力(浮力のコントロール)
中性浮力とは水中でバランスよく、安定してホバリング(一定の水深で静かに浮いている状態)すること。具体的にはプラス浮力(浮こうとする力)とマイナス浮力(沈もうとする力)がちょうどバランスを取って、浮きも沈みもしない状態ともいえる。中性浮力をとることができると、シリンダーに入っている空気の消費を抑えることができたり、水中ならではの気持ち良い浮遊感を体感することができる。以下の3つを意識しよう(※4)。
ウエイトの調整
ウエイトが重すぎると、BCに余分に空気を入れる必要があり、そうするとBCの中で空気が移動してバランスを取るのも難しくなる。逆にウエイトが軽すぎるとそもそも潜降することができない。
BCでしっかりと浮力を調整する
水中で体を横(水平)にして体勢を整えたら、BCに空気を短く何回かに分けて給気し浮力を調整。浮き過ぎた場合は、適度にBCから空気を排気。
呼吸で浮力の微調整
空気を吸うと肺が膨らむことで浮き、空気を吐くと肺が縮まり沈む。このときもタイムラグがあるが、その感覚を掴むことも大事。
【中性浮力が苦手なダイバー必見!】コツを掴んでダイビングのスキルアップ
※4:体験ダイビングの場合は、浮力の調整(ウエイトの調整やBCの操作)をインストラクターが行うことがほとんど
まとめ
ダイビングを通じて、普段見ることのない水中世界を見てみよう。ここで紹介したダイビングの基礎知識が、水中世界に一歩踏み出す役に立てば幸いだ。
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