神様に泥を塗りたくられる!宮古島の奇祭「パーントゥ」
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台風の影響でダイビングができず、ホテルに閉じこもっていると、大司さん(山本大司潜水案内)に宮古島北部の島尻に伝わる「パーントゥ」という祭りに誘っていただいた。
どんな祭か聞いてみると、「全身泥まみれの神様が襲って来て、容赦なく泥を塗りたくられるんですよ(めっちゃ笑顔)」。
「お、おもしろ…そう…ですね?(困惑)」
正式には「パーントゥ・プナハ」と呼ばれ、国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統ある行事。
パーントゥは妖怪や鬼、プナハは祈願祭という意味があり、全身泥まみれの3匹の神様が現れ、人はもちろん、新築の家、パトカーなど、容赦なく泥を塗りまくるとのこと。
ということで、汚れてもよい格好をし、カメラはハウジングに入れて、大司さん一家とパーントゥの里、島尻へ。
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到着したのは17時過ぎ。
パーントゥが生まれるとされる聖地「ンマリガー(生まれ井戸)」から、17時にパーントゥは現れるそうなので、すでに集落を歩き回っているころ。
集落は異様な熱気に包まれています。
すでに泥だらけの人たちとすれ違いつつ、集落の中心部までやってくると、いました!
パーントゥ2体が、人々に泥を塗りたくりながらやってきます。
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独特の仮面と蔓草のシイノキカズラをまとい、ンマリンガーの井戸からくみ上げた泥を全身に塗るパーントゥ
最初はゆっくり歩いていたパーントゥですが、ターゲットを定めると、いきなりダッシュをかけて、どこまでも追いかけて泥を塗りたくってきます。
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百数十年前のお祭りの日に、島尻の北の海岸に流れてきたクバの葉で包まれた仮面を、神女たちは海の彼方からの来訪神だと考え、大切に保管するようにと村の人々に伝えたといわれている
選りすぐりの若者に追いかけられれば、そうそう逃げ切れるものではありません。
女性の方が追いかけられる確率が高く、密着度も高い気がするのは気のせいでしょう(笑)。
早々に大司さんもやられ…。
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ダイバーの仲良し三人組もこの通り。
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どう見ても襲われているとしか見えない人も……。
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それでも皆、嬉しそうなのは、泥を塗られると無病息災、厄払いになるからです。
しかし、小さい子供たちにとっては厄払いもへったくれもありません。
ただひたすらの恐怖。
真剣に逃げまどい、泣き叫んでいますが、子供に容赦するパーントゥではありません。
逃げても無駄。
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泣き叫んだって無駄。
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むしろ、嫌がる子供を捕まえて、パーントゥに差し出す親も。
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特に赤ちゃんや新築の家屋に泥をつけると、悪霊を祓うのと同時に祝福するという意味もあるので、大人たちは泣き叫ぶ子供を喜んで差し出します。
昔は子どもが生まれた際に、ンマリガーの井戸の水を産湯に使っていたとのこと。
でも、差し出した大人に二度と寄り付かなくなった子供もいたり。
へっちゃらな赤ちゃんも。
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強烈なヘドロ臭、子供の絶叫、笑い声に包まれるパーントゥ狂騒曲。
17時に始まった祭は、途中、パーントゥの具合が悪くなって2体になってしまうというハプニングがあったものの(笑)、20時まで続くのでした。
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漂着した仮面を親(んま)、残り2つの仮面を、中(なか)と子(っふぁ)として、選ばれた若者が体中に泥を塗り、神の化身となって人々の無病息災を願う
パーントゥが開催されるのは、ダイビングのベストシーズンでもある10月ごろ。
ぜひ、アフターダイビングで遊びにいきたいところですが、開催日は、旧暦9月の戊の日から数日内とのことで、開催日の発表も直前。
※旧暦について→旧暦のしくみ – 旧暦入門
台風で気分もどんよりしていましたが、思いがけず珍しい祭りに参加することができ、楽しいひと時を過ごすことができました。
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